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ある日森の中聖女ちゃんを拾った。

作者: つこさん。
掲載日:2020/12/01


こちらは「なろうラジオ大賞2」の参加作品で、「ある日森の中おねぇさんに出会った。」の姉妹作品です。



「で、あなたはそこでなにをしてるの」



 リュシアンが森の中で出会ったのは、やたらと小さな女性だった。

 いや、女性というよりは少女だろう。

 だがその瞳を見たときにその素性を察し、たしか成人をいくつか過ぎているはずだ、と頭の中の情報と照合する。

 生真面目な視線を真っ直ぐに向け、彼女(・・)はうずくまったままリュシアンを見上げる。



「はい、足を痛めてしまい、木の根元にかがんでおります」


「ええ、そう見えるわ」



 そのまんまやん、と内心つっこみつつ頷き、「問題は、なんでこんな森の奥で、あなたが足を痛めているのかということよ」と疑問を述べる。



「とても込み入った事情がございますので、ひとことでは説明しかねます」


「そうでしょうとも」



 そりゃ込み入った事情がなかったらこんなとこにいないだろ、と大きく頷き、リュシアンは彼女(・・)(かたわ)らにしゃがんだ。


「見せてご覧なさい」


 恐る恐る手を離した左足首は、触れると熱を持っていた。

 彼女(・・)は痛みに声を上げる。

 こんなところまで散歩に来るような靴ではない。



「腫れてるわね。

 とりあえずあたしの小屋(ロッジ)に行きましょう。

 立てる?」


「……ムリです」


「そう、じゃあちょっと失礼するわね」



 リュシアンは彼女(・・)を抱え上げると、慌てた早口で彼女(・・)は言った。



「いえ、大丈夫です、おかまいなく、大丈夫ですから!」


 意に介さずリュシアンは自分の森の拠点へと足を向ける。

 そしてため息混じりに言った。



「大丈夫なわけがないでしょうし、おかまいなくで済むわけもないでしょうが。

 一体どうしてあなた様(・・・・)がこんなところに居るのかしら」



 その一言で彼女(・・)は身を固くした。



「……わかっちゃいましたか?」

「わかっちゃったわね」

「見逃してくださいませんか?」

「それは難しい相談だわ」

「お願いします、後生ですから」

「供もつけずに森の中で怪我をして動けないでいる女性を、見ぬふりできるほどあたしも悪人じゃないのよお」



 (うまや)には二頭の馬がつながれたままだが、相棒の従者の姿はなかった。

 あいつがいると騒がしいから都合がいい。

 中に入りリュシアンは彼女(・・)を椅子に座らせた。



「靴を脱いで、冷やしましょう」


 桶に水を汲んで手ぬぐいをしぼり、彼女(・・)の足首に当てる。

 安堵のため息を()らすその姿は、色素の薄い茶髪と相まってごく普通の少女に見えた。



 真っ直ぐに彼女(・・)の『黄金色(こがねいろ)の瞳』を見てリュシアンは言った。



「さあ、ちゃんと説明してもらうわよ、聖女エヴリーヌ様(・・・・・・・・)

 いったいどうしてあなたはこんなところにいるの?」



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― 新着の感想 ―
[良い点]  これから何かが起こりそうという感じがしました。 [気になる点]  話が途中で終わっている感じを受けてました [一言]  読ませて頂きありがとうございました。
[一言] この流れ、『僕のお姉ちゃんは悪役令嬢』を彷彿としますね( ˘ω˘ )
[良い点] 見事な合わせ鏡です。
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