ある日森の中おねぇさんに出会った。
こちらは「なろうラジオ大賞2」の参加作品です。
続きはなんとなくあるのでご要望あれば連載します。
「で、あなたはそこでなにをしてるの」
エヴリーヌが森の中で出会ったのは、やたらとでかい図体の女性だった。
いや、女性というにはでかすぎる。
だが身に着けている服はどう見ても女性のもので、黒い頭髪は長く毛先は丁寧に巻かれている。
問われたからには答えねばならぬと、エヴリーヌはうずくまったままその巨躯を見上げる。
「はい、足を痛めてしまい、木の根元にかがんでおります」
「ええ、そう見えるわ」
ゆっくりと女性らしきその大きな人は頷き、「問題は、なんでこんな森の奥で、あなたが足を痛めているのかということよ」と疑問を述べる。
「とても込み入った事情がございますので、ひとことでは説明しかねます」
「そうでしょうとも」
大柄の女性は大きく頷き、エヴリーヌと同じようにしゃがんだ。
「見せてご覧なさい」
言われて押さえていた足首から手をはずす。
他人に触れられるとさすがに痛くて、エヴリーヌは声を上げた。
「腫れてるわね。
とりあえずあたしの小屋に行きましょう。
立てる?」
「……ムリです」
「そう、じゃあちょっと失礼するわね」
そう言うと女性はエヴリーヌを軽々と抱え上げた。
「いえ大丈夫です、おかまいなく、大丈夫ですから!」
慌ててエヴリーヌが言うことにも注意を払わず、女性は大きなため息をつきつつ更に森の奥へと進んで行く。
「大丈夫なわけがないでしょうし、おかまいなくで済むわけもないでしょうが。
一体どうしてあなた様がこんなところに居るのかしら」
その一言で察し、エヴリーヌは身を固くした。
「……わかっちゃいましたか?」
「わかっちゃったわね」
「見逃してくださいませんか?」
「それは難しい相談だわ」
「お願いします、後生ですから」
「供もつけずに森の中で怪我をして動けないでいるか弱い女の子を、見て見ぬふりできるほどあたしも悪人じゃないのよお」
問答無用で連れてこられたのは、小屋というには立派な二階建ての木造の家だった。
厩舎もあり、馬が二頭つながれている。
器用に足で扉を開けて中に入ると、女性はエヴリーヌを椅子に座らせた。
「靴を脱いで。
冷やしましょう」
桶に水を汲んできて手ぬぐいをしぼり、エヴリーヌの足首に当てる。
痛みが和らいでエヴリーヌは安堵のため息をついた。
その様子を見てから、真っ直ぐに青い瞳でエヴリーヌの目を覗いて女性は言った。
「さあ、ちゃんと説明してもらうわよ、聖女エヴリーヌ様。
いったいどうしてあなたはこんなところにいらっしゃるのかしら?」




