外伝P1-03-10 異次元生活の雑知識
現代の文化をいろいろと体験することで、サリーは急速にこの世界の生活に馴染んでいってます。
習うより慣れろのOJTですね。
これは少し時間がたち、サリーも生活に落ち着いてきた頃のお話です。
本物語は当初本章で公開されていたお話になります。
外伝として、こちらに移動しました。
本編 パラセル - 俺が異次元娘の身元引受人になった件
https://ncode.syosetu.com/n5859gc/
公開時にあった場所
1-03-08 現代生活の基礎知識 に2話に分けて続く形で公開されていました。 その2です
https://ncode.syosetu.com/n5859gc/11/
「気になることがあるのだけど、もし慎二の秘密でなければ教えてほしいの」
「ん? 何だい?」
「慎二は、電気や水道などを使う時に、いろいろなことにはお金がかかると話してたよね。
ということは、私の世界と同じで、この世界でも生活していくためにはお金が必要よね
慎二はどうやって、この世界でお金を手に入れているの?」
さすがに商人の娘。 そこに気が付いたか。
「俺はサラリーマンだから、仕事をすることで、会社からお金をもらっているよ」
「サラリーマンって何?」
「会社、まあこれは商会みたいな組織、組合みたいなものかな?
そこと働く契約をして、決まった時間、契約した仕事をすると、月に一回まとめて月給、お給料として賃金を払ってくれる。
このような会社と契約し、きちんと仕事をし、その報酬として給料をもらうような仕事をしている人の事をサラリーマンと呼んでいるね。
俺は、エンジニアという仕事、新たな装置を考え出す仕事を契約して働いているんだ」
「あら、それだと工房の職人に近いわね」
「工房の仕事は良くは知らないが、近いのかな?
この国には多くのサラリーマンがいるよ。
サラリーマン以外には、毎日仕事が募集され、選んだ仕事をすると、その日に日給、賃金をもらえる仕事もある。
これは工事など肉体労働に多いな。
これは日雇い労働といいます」
「あ、それはギルドの掲示板による仕事の募集と同じね。
毎回仕事を探して働いて、仕事が終わるとお金がもらえるよ」
どうもギルドという仕事を斡旋する組合か、仕組みがあるらしい。
「あと、農業など、自分達で作った物を売ることで収入になる仕事もある」
「それは自営農民ね」
「漁業など、海や川などで魚を取っり売ることで収入になる仕事もある」
「それはハンターかな? 私の国では、魚はほとんどとれなかったので、狩ってくるのは主に動物だったけど」
「自分たちで、物を作り、それを自分のお店で販売し、お金を得ている人もいる。
いろいろな道具や洋服などの物のほか、パンを焼いたり、お料理を作ったり、売ったお金で生活している」
「それは、私の世界の普通のお仕事ね」
「また、作った人が自分では売らずに、お店に卸して、お店が販売する。
自分で売るよりも、そちらの方が多いと思うよ」
「あ、これは普通のお店ね。
私の国では、作った人が直接売る事が多かったけど、私達商人はそれらを仕入れて売っていたわ」
「あと個人で作るのではなく、メーカーって呼ばれる会社が、大きな工場で多くの人を雇って、そこで沢山作る場合も多いけどね」
「大きな工場っていうのはなかったわ」
「町で商品を売ったり、ご飯が食べられたり、何かしてあげる... 例えば髪の毛を切ったりするお店をしてお金をもらうこともある」
「うん。うん。
お仕事の中身は違うかもしれないが、やはり働いてお金を得ることは同じね」
「うん、そして俺はサラリーマンとしてお金をもらって生活をしている。
当然もっとたくさんの仕事があるが、簡単に説明すると以上かな」
「慎二、どうすれば、私はこの世界でお金を稼ぐことができるのかな?
私でも露店が出せる、市場はどこかに無いの?」
「そうだね。サリーはこの世界に来たばかりなので、まだ働くのは難しいな。
基本的に許可がない個人が、自由にお店を出せる場所ってないよ。
でも、時々フリーマーケットと言ってお祭りのように、個人がモノを売ることができることもあるけど、そこではその売り上げで生活できるような市場じゃないな。
いろいろ決まりがあり、自分で作った食べ物を売ることは難しいし、お金を稼ぐと税金と言って売り上げの一部を国に納める必要があるが、サリーは日本の戸籍が無いので、たぶんややこしいことになりそうだな。
とにかくこの国では、身元がはっきりしない人がお金を稼ぐことは難しいね。
俺は働いているし、少しはお金も持っているから、二人で生活するくらいなら何とかなるよ。
これから先のことは、また一緒に考えよう」
「そのうちに頑張って稼ぎますので、しばらくは慎二のご厄介になります!
お世話になります!」
「それは覚悟できたから、心配しないで。
そのうち、サリーにも稼げることを探すし、サリー一人ぐらいは全然大丈夫だから」
そう言いながらも、大食女王サリーさんに俺はちょっと恐れ戦いていた。
「ところで、俺もサリーに聞きたいことがあったのだが、サリーの国の時間や日付ってどうなっているの?」
「そうね。
この世界とは違うようね。
まず、世界の一番大きな括りとしては、気温が寒くなったり暑くなったりする季節があり、これはシーズンと呼ばれているの。
シーズンには、シーズン0 からシーズン3 まで4シーズンあります」
数は0からカウントするんだ。
多分このシーズンの数字が季節のようなので、日本の4季のようなものかな?
「シーズン0 は、寒くなるときに始まります
シーズン1 は、暖かくなり、多くの作物を植えるときになります。
シーズン2 は、暑くなり、作物が育ちます。
シーズン3 は、涼しくなるとき始まります。 このシーズンではシーズン1で植え育てた多くの作物を収穫します。
当然すべての作物がこれ通りではないのですが、1つのシーズンはこんな感じで、4つのシーズンをまとめて1年と呼んでるわ」
サリーの国は農業基準の国か。
「朝太陽が昇る時から、太陽が沈んで次の朝に太陽が昇るまでを1陽として数えてます。
それぞれのシーズンの最初の陽は始まりの陽として、この陽は国を挙げてお祝いをします。
シーズンが新たになったことを、皆で祝い、楽しいです。
このお祝いが、陽0 よ。
お祝いの陽の次の陽からお仕事の陽が始まります。
陽1 から陽90 まで、90回の陽が1つのシーズンで、これが4シーズンあります」
ということは、1シーズンは0から90までの91日か。
「あと、国王様の生まれた陽には特別なお祝いがシーズンの途中に入ります。
そのため、そのシーズンは陽91まで増えることになります。
国王様が新しく代わると、新しい国王様の陽は別のシーズンに変わります。
これ以外にも、国のお祝いがあるとき、1陽増えることがあります。
シーズンが増える場合は、シーズンの前に発表されます」
てことは、シーズンが月で4月あり、日は陽で1シーズンに91日まであるわけか。
+1日が王の誕生日でり、91*4+1で1年365日で、時々のお祝いで366日となるから、1年の日数は地球と同じか。
「先ほども言いましたが1陽は太陽が昇る時に始まり、次に昇るまでを1陽として数えます。
また1陽は大きくは3つに分かれ、
太陽が昇り初めて、一番高くなるまでが登。
太陽が一番高い位置から下がり始め、沈むまでの明るいときが過。
太陽が沈んだ時始まり、太陽が登る前の暗い時が失。
この3つに分かれます。
それから、登と過はさらに3つに別れていて、あと失は長いので6つに別れています。
それぞれ、登1とか、失2などと呼びます」
ということは、1日の12分割が時間の最小単位か。
「1つの陽のうち、登と過と失が替わる3回について、王宮では銅鑼がその回数鳴らされるので、王都の人達は回数で時間を知ることができます。
これが私たちの世界のシーズンと陽です」
太陽高度による基準なので、今のような絶対的な時刻という概念はないらしい。
太陽位置を分割することで、時間を決めているので、地球の時間とは少し考え方が違うな。
でも、この世界でも1年間の太陽の位置を基準で時間を作っているので、自転速度が同じであれば、1年間を平均すると同じような時間であると考えれそうだな。
サリーの生活リズムをみていると、特に無理はしていないようなので、1陽と1日の絶対的な時間は近いのかもしれない。
「サリーはこの世界に来て、その陽と比べ、こちらの1日は長く感じる? それとも短い?」
「なんかいろいろあって、早く感じますが、暗くなっても起きているので、良くわかりません」
カレンダーの数え方自体は異なるが、年間としては地球と同じ365日だな。
あと、お祝い日を入れることで、暦を微調整してるな。
しかし、サリーの世界の1日の正確な時間がわからないので、これが地球と同じかどうかはわからない。
また、シーズンからわかるように、サリーの世界も季節があるようだ。
更に大まかに言ってしまえば、生活の最小の時間単位は2時間のようだ。
太陽に合わせる生活の方が、自然界の理に近く、動物的にも本来よいのだろうな。
そんな事を考えていると、
「慎二、3分たちましたよ。
早く食べないと麺が伸びちゃいますよ!」
いつの間にかすっかり現代生活に馴染んでしまったサリーであった。
この世界で3分は大事な単位ですね。 昔は公衆電話で話すとき、10円で3分って刻みがありました。