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外伝P1-04-02 ドリームフィールド商会の設立


 行商中にスレイトを手に入れたオブライアンさん。

 うまくつかいこなせるといいですね。



 本物語は当初本章で公開されていたサイドストーリーになります。

 外伝として、こちらに移動しました。


 本編 パラセル - 俺が異次元娘の身元引受人になった件

 https://ncode.syosetu.com/n5859gc/


 公開時にあった場所

 1-04-01 オブライアン に3話に分けて続く形で公開されていました。 その1です

 https://ncode.syosetu.com/n5859gc/16/



 商売人にとって、スレイトは素晴らしいものであった。


 私ことオブライアンは、宿の部屋にて、何かパラセルに売ってみることにした。

 次の街で商いを行う為に仕入れた手持ちの商品であれば、いくつか売ってみることはできる。

 そこで、パラセルの買取り査定を行ってみたのだが、私が仕入れた商品では僅かなパラスにしか値段が付かない事がわかった。


 パラセルで販売している商品はすべてが高価というわけではなく、果物や野菜などの食品や生活雑貨など、安価なものも存在していた。

 それらであれば、少ないパラスしか持っていなくとも、いくつかは買えそうな値段である事がわかった。

 私は試しに、手持ち商品をパラセルに販売し、試しにいくつかの値段が安い果物をパラセルから購入してみた。


 そして、パラセルから購入した商品は、どれも払った価格以上に質が高く、果物はとにかく甘くて美味しかった。


 これほどの味の物は、たぶん王都でお金を積んでもなかなか手に入らないのではないか?

 私はその時、最初のパラセル取引として、ほんの少しの手持ち商品だけを売ってみるつもりであった。

 しかし、旅に必要なわずかな物資を残し、買い付けてきたほとんどの荷をパラセルに売り払い、すべてパラスに換えてしまった。


(私の直感が外れていたら、これで破産だな)


 翌早朝、ほとんどの積み荷が無くなったロバにまたがり、彼は王都を目指して宿を後にした。



 手持ちのお金で買い付けた商品は、すでにパラセルにほとんど売り払ってしまった。

 途中の宿代も惜しいので、道中はマントにくるまり、木陰で相棒と野宿である。

 私と相棒の食料のほとんどをパラセルに売り払うなど、普通であれば自殺行為である。

 そこで、ロバには周りの草を食べさせ、私はパラセルで買い付けた商品を食べている。


 せっかく貯めたパラスを使って、単においしいからパラセル商品を食べているわけではない。

 限りあるパラス残金であるからこそ、王都到着までに売るべき、いや売れるであろう商品を見つけ、その価値を自分自身で買って、食べて判断する必要がある。

 この試食に選んだ物が外れであった場合、王都で売るべき物が見つけられない事になる。

 そうなると、私は本当に破産するので、命がけの試食である。



 大量に持ってきた商品をすべてパラセルに売ってしまった事により、身軽となった私と相棒は、予定よりも早く移動することができ、3日後の夕方までにはなんとか王都に到着できた。


 到着と共に、閉まる直前の商業ギルドに飛び込み、そこで露店の鑑札を買った。

 きちんとした店鋪を借りる権利金は高価で無理であるが、商う場所さえ贅沢を言わなければ、露天の鑑札は悩むような金額ではない。


 王都の市では、物々交換ではなく、貨幣を使用する。

 店を持てない流れの商人にとっては、鑑札さえあれば利用できる、ありがたい市である。


 王都では、このような鑑札さえあれば露天を出せる市場が何箇所もあり、市場周辺は毎日沢山の人々で賑わっていた。

 仕入れ方法は各店の一番の秘密であり、私は販売する量を極力目立たないように少なくして、周囲の露天商人の目を注意しながら、露天市での販売を始めた。


 価格が安く、利益の薄い、野菜や果物の類は、狭い露店の中に大量に積み上げて商うことが普通である。

 しかし私は、パラセルで調達した商品なので、果実なども周囲の一般的な価格より高めに設定し、さらに店には一度にたくさん並べずに、少しずつを販売した。

 それが良い方向に働き、少ない商品であるがため、それぞれの商品が厳選された物である事が分かり、よく目立つ事となった。

 普段お目にかかれない異国の果物や、本来生産できない時期の立派な野菜などが並び、目ざとい人達にそれら商品はすぐに見つけられた。


 露店に来る一般の人にとっては少し高い値付けであるが、王都には目が肥えた商人や大きな屋敷の調理人、高級食堂の主人など、多くの人々が買い物に来ており、そして彼らは私の商品を目ざとく見つけた。

 その最上級の品質である商品は、舌の肥えた館のご主人やお客様に好評を得て、すぐに露店の常連となってくれた。


 少しづつ評判が広がっていくうちに、やがて一定量を固定的に仕入れていただけるお客さんが何人か付き、いまでは露天には並べてない商品も増え、商い量はかなり増えていった。


 そしてそんな中、ちょっとした事がきっかけで、私は王都のはずれに小さな自分の店を持つことができた。


 何のコネもない人間が、たとえ小さいといっても王都に新たに自分が所有する店を持つ事は、普通考えられない。

 限られた王都の土地の中では、お金だけを持っているだけでは自分の店を構えることはできないからで、高いお金を払って借りることが精いっぱいだ。

 ところが幸いなことに、固定客になっていただいたお客さんの中に、王宮との繋がりがある方がいらして、その方の口利きのおかげで、私は小さいながら王都に店が持てたのであった。


 その方は、後に王宮にポーションを納める事になる薬師さんであった。

 出会ったときは時は、彼もまた小さな薬屋さんを街で開いている方である。


 その時、薬屋さんは自分の店で売るポーションの原料を探しに、主人自らが市場をまわり、商品を見定めていた。

 並べている商品を眺めて、各地を巡って商売している露店を見つけると、彼が欲しい薬草を持っていないか、常に声をかけられていたとのことであった。


 たまたま私が並べていた異国の果実を見かけられた事から、薬屋さんは私でも知っているような一般的な薬草を持っていないかと聞かれました。


「今は持っていないが、必要ならば明日までには手に入れておく」


 と、その日はお伝えし、宿に帰った私はスレイトを使い、その薬草を調達しました。


 それは私も良く見知っている、ごくごくありふれた薬草だったので、それほど深く考えずにパラセルで購入し、翌日その商品を販売してあげました。

 その薬屋さんの主人も、それほど困っているようには見えず、強くお願いされたわけでもないので、私は気軽にそれを引き受けていました。

 しかし、この年は多くの薬草が不作で、王都に限らず、多くの国でも薬草が手に入りにくく、特に今期はこの薬草の入手は絶望的であった。


 翌日店に来ていただいた薬屋さんのご主人に実際に薬草を渡すと、ご主人はたいそう驚かれ、それも品質が飛び切り良い新鮮な物であったため、主人の勢いでその場で追加の注文を受けてしまいました。

 それからも毎日のようにお願いされ、それは新しい薬草が手に入る季節になるまで続きました。


 当然、王都でも手に入らない薬草から作られるポーションは、この薬屋さんからでしか手に入らなく、それが大量ではないが重い病気に必要なポーションであったため、市場ではどんどん高騰していった。

 しかし、市場に全く無いのと、例え高くとも手に入るというのは、人の心理的には全く異なる。

 僅かな量であっても、市場に流し続けた薬屋さんのおかげで、街からポーションが無くなるという噂は打ち消され、パニックは発生しなかった。

 王宮に出入りする商人により手に入れられたポーションは、王宮で薬を使う人にまで伝わり、その品質の高さに驚いた王宮薬師の推薦により、やがて薬屋さんは王宮とのポーションの直接取引に繋がっていった。

 この後、薬草危機を乗り越え王都を救ったということで、その手柄として、薬屋の主人は正式に王宮との直接取引が許される、薬師という称号を与えられた。


 私は薬師様となった薬屋のご主人には、薬草を私から調達していたことを他の方には内密にしていただくことを条件に、その後も手に入りにくい薬草が必要になると、薬師様が露天にまでいらしてご相談頂けるような、とても良い関係になっていった。


 薬師様は既に王宮からの称号を得ていらしたので、街でも顔が効くようになっており、私に王都への定住を勧めてくれました。

 当然薬師様としても、特別な薬草を手に入れる特別なルートを持つ私を手離したくなく、色々と手を尽くしていただいた結果、なんと私は王都に店を出す許可を得ることが出来ました。



 そして、小さいながらも王都の片隅に店舗が開店でき、ドリームフィールドと言う屋号を掲げた商会を発足したのです。

 お店を開店したのですが、その後も薬草は薬師様にしか売りませんでした。

 パラセルで仕入れる商品は、その後も販売する量や商品を絞って慎重に商いを続けました。


 しかし、露店の中では図抜けていた商品も、一流品がなんでも揃った王都の商店としては、お金さえ出せばそれなりに良い物が入手できます。

 更に王都の中心にあるブランド力のある大きなお店と比べると、王都の片隅で小さくやっているお店の商品は、例え品質がよくとも見劣りがする事となり、はっきり言って最近は苦戦しています。


(まあ、自宅兼用店舗だし、男やもめ一人くらいなので、なんとかなるさ。)



 一人ぼやく、オブライアンさんであった。


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