おまけの小話2つと、謎解きを兼ねた人物設定集
ここからは本編と印象が変わるので載せられなかった小話二つと、本編に残った謎解きを兼ねた人物設定集
になります。
小話1
普段スティーブと喧嘩をし、周囲に怒られていたリヨネッタはアイーシャに屋上で相談をしていた。
「のぅ、アイーシャよ。何かスティーブに嫌がらせできて怒られない案はないかぇ?」
「うーん??キスはもうされているのよね?いっそディープキスで相手をノックアウトしちゃうとか??」
「キスでノックアウト??なるほど、それなら見た目は怒られぬな…どうすればいいのじゃ??」
親友のアドバイスを受けて、魔王はさくらんぼのくきを口の中で結ぶ訓練を数日間した。
チャンスはすぐにやってきた。口論の末に、スティーブからキスを仕掛けてきたのだ。
(今までの反撃のチャンスだぇ!!)
勇者は普通のキスだったのに、相手にディープなものをかます魔王は間違えた知識で相手の舌を結ぼうとして苦戦した。
(さくらんぼと違って、上手くいかぬなぁ…。これは勇者をノックアウトは無理か…)
しかも何故か口の中が血なまくざくなっている気がした。
「うむ??っげ!?」
リヨネッタは目を閉じてディープキスに集中をしていたが、目を開けるとスティーブから鼻血が噴き出していた。彼はよろめいて座り込んでしまう。呆然とする勇者に魔王は勝利を確信した。
(これは勝った!勇者の鼻血を口にしてしまったが、これは妾の勝ちじゃ!!)
「ふふん。勇者よ、ざまぁみよ!」
喜んだ魔王は高笑いでおおいに笑って立ち去ろうとするも、がっちり背後から抱き着かれた。
止まらぬ鼻血を手でこすり落とし、殺気めいた勇者が唸る。
「どこで…、だれから…習った!!」
「離せ、そなたに勝つためにするためにさくらんぼ使って練習したんじゃ!!どうだ、無様に尻餅を付いて悔しかろう??やーい、鼻血王子!!」
「どこの男だ、殺す!…さくらんぼ、植物のか??」
傍からみればケンカップルによる仲の良い交流なので、邪魔をするものはいない。
何やら不名誉な勘違いをされたことに気が付いたリヨネッタは、抱き着かれたまま怒ってもう一度キスで相手を負かそうとした。それに気づいたスティーブは応戦するように、喧嘩を吹っかける。
「植物のさくらんぼ以外にあるわけなかろう?妾は浮気はしないぞぇ、ばかめ!!」
「なんだ。紛らわしい…。そんなに俺とのキスのために練習をしたのか…。魔王も可愛いところがあるなぁ!」
「は?なんだこいつ、鼻血たらしてニヤニヤしてきめぇ!こっちくるな、ぎゃー!」
結婚間近なツンデレカップルここに極まれり。
小話2
アイーシャとリヨネッタが一緒に帰ろうとしていた時のこと。
スティーブ以外の攻略対象たちが集団で2人と出会ってしまった
アイーシャはヒロイン強制力でスティーブ以外の攻略対象一行に絡まれた。
その中にはダヴィデもいた。
焦るアイーシャとリヨネッタ
「やばいわ!好感度下げなきゃ!あの、パンツの色何色ですか?!」
「え…下着??女性からは下着の話題はしないほうがいいと思いますが…」
焦ったアイーシャの質問にダヴィデが嗜める様に返事を返した。
一緒にいたリヨネッタは、選択肢とやらにない返事を返した方が良いと判断をした。
「スティーブなら可愛いレース下着じゃったぞ。」
「こら、リヨネッタ様は黙って…」
「待ってリヨネッタ、何で知ってるの?」
少し興奮気味にアイーシャはリヨネッタに尋ねる。
「昨日(スティーブがお茶こぼしたから)ズボンを脱がしたのよ。」
「リヨネッタ様、本当にやめてください。ここでする話ではありません。」
慌ててダヴィデと他の攻略対象たちが、リヨネッタをとめにかかった。
「悪役令嬢が攻め、いえ上ポジ…リヨネッタならありだわ。」
「アイーシャ??良からなぬことを考えていることはわかるぞ!止めよ…何やらゾワッとする!!」
「ふふっ」
ドン引きした攻略対象を尻目に、晴れやかな顔で笑いながらヒロインは悪役令嬢の腕を引いて帰っていった。
本作の謎解きを兼ねた人物設定集
魔王を倒して世界の秩序を取り戻した5人は、神様に願いを1人一つ叶えてもらえることになっていました。
勇者の願い
魔王復活を心配して神様に魔王がどこにいても気づき、追いかけるようにしたい。(倒すのは自分でやるつもりでいた。)
これが記憶ないときにリヨネッタと再会して発動
なんか気になる女の子から恋に発展。
記憶が戻った際には恋と使命で葛藤し、周囲を信じて自分の使命を言ったら全否定をもらい、魔王から肯定を受けたことで好意的な感情が加速
勇者は聖女のことを同情と尊敬はしていましたが、恋愛感情はありませんでした。
なんなら聖女の悲惨な過去を知っているので、自由にしたいと婚姻を反対したのに理想カップルを押し付けられて、色々強行結婚させられて逃げれなくなりました。
実は彼自身は、亡国の生き残りになったさいに家族と仲間を酷い失い方をしており、心が欠損して深い感情を抱けなくなっていました。だからこそ恐怖に勝って魔王を倒せたとも言えますが、密かに感情を取り戻したいという自分だけの願いも転生後の本編で抱えていました。特に怒る、嫉妬、困惑などの負の感情は勇者だった頃には消えてしまったものでした。
王妃
世界中の誰もが死んで尚も、勇者への重い期待と信心を抱えていました。
だから彼が転生する際に、彼にいい影響を与えられる、何なら世界を変えられる強い女性を世界が望んで、王妃の魂を持った女性が勇者の世界に来ました。
特に王妃の時にリヨネッタたちの世界が乙女ゲーム展開と酷似していたのは、実際にある世界がベースに他世界でこんな世界があっとほしいと沢山の人が願い影響が出ており、勇者一人に傾倒する世界を変えたいと神様が動いていたからです。
聖女の願い
正教会に監禁に近い状態で利用され続け、勇者に勧誘を受けて旅に出たが救われなかった人。旅に出てさらに人の醜い面をみて、世界に絶望を抱いて魔王に共感すらしていた。討伐が終わった後、自由に旅に出ようとしたら、国民の願いとかで尊敬する勇者と結婚させられ、世界を呪ってすらいました。
彼女の願いは、この世界以外で来世は生きたいか、かわいそうな魔王を幸せにしてあげたいの2択でした。
でも選ばれたのは前者の願いでした。
実は日本のある世界では2回人生を生きていました。
1回目は色素日本人の美しい聖女の容姿のまま自由を謳歌して、物凄くモテて好き勝手して、最後は人生をまとめた伝記と前の世界の人生を創作小説として世にだして人気を博しながら、大往生。
2回目は彼女の伝記を元に作られた異世界の乙女ゲームをする受験期の学生さんでした。日本人になった聖女の大往生後に10年ちょいでですでに3作とが作られており人気作で、新作の4作目が出た時にハマっていました。
受験が不安で「このゲームの世界にいきたいなぁ。」発言からの、神様がその言葉を聞いてやっぱり元の世界が良いよね!からの早死にで転生してきてました。
この作品ではちょっとだけ日本の方が時間の流れがゆるやかでした。
魔法使いの願い(のちのサンチェス公爵家)
優秀な大魔法使いとして讃えられながら距離を取られていた彼はずっとひとりぼっちで、討伐の旅の勧誘に来た勇者と聖女に救われたので2人が大好きでした。
彼の願いは、2人の願いが叶うこと。
そのため、勇者が密かに抱えていた感情を取り戻したいという願いと聖女のかわいそうな魔王を幸せにしたいと言う願いが半分ずつバランスをとるように叶う形になりました。
スティーブが泣き虫でいじっぱりで恋に一途な面が増え、リヨネッタは人が良い両親の元へ王家の者と結婚という宿命をつけられて人間として生まれてきました。
僧侶の願い(のちの宰相一家)
勇者の作った国がずっと栄え続けてほしい。と願いました。
そのためなら勇者と結ばれなくても良い。と、健気な女の子でした。
ただし潔癖で爬虫類嫌いのため、汚い、気持ち悪い!と、魔物たちには残酷なことをしており、聖女と勇者から距離をとられてました。後々、魔王の未来を心配した四天王フローグに目をつけられ呪われてしまいました。
剣士の願い(のちの女好き公爵家)
彼は剣一筋でモテることもなかった剣士でした。
せめて子孫は恋愛に困らず、容姿の整った一族になるよう願いました。
しかし、脳筋美形なので作品の中でやらかします。その結果、これまた魔王を心配していた四天王の怨霊スライム集合体に呪いを受ける流れになってしまいました。
四天王
フローグ
最期は魔王を庇って死亡。
心配で転生できずに悪霊化してして生まれ変わった魔王のそばにいましたが、なんか良い感じに取り憑けて罪悪感わかない嫌な女の子孫見つけたのでダビィデに取り憑いて見守っていました。しかし元来が優しく、だんだんダヴィデにも愛情が湧いた彼は、リヨネッタが幸せになれるとわかった段階で憑依を解除。怨霊スライムの集団に混ぜてもらい、今世も最後までそばにいました。
ドラゴン
作内ではボーンドラゴン
最初に倒された四天王。
魔王が復活することを信じて、終盤で彼女が倒された後に恨みでゾンビドラゴンになって暴れました。でも、また勇者一行に倒されて、骨にされて棟の骨組みに使われてしまいました。実は棟を壊せば、巨大なボーンドラゴンになってリヨネッタに巨大な力を貸すことができる存在でした。
114年目にしてやっと主人の元に帰れて、今のリヨネッタも大好きな忠臣。
怨霊スライム集合体
元は人間に強い恨みだけを抱えた悪霊の集団でしたが、同じく人間に強い恨みを抱えた魔王に共感して支配下に入りました。
主に諜報活動をしており、1番の魔王の手足の役でした。
聖女の祈りで浄化され2番目に倒された四天王です。そのまま消えかけたので、近くにいた魔王大好きスライム団体に共存する形でとりつき怨霊スライム集合体になりました。
魔王の最期にも一緒にいましたが、ちょっとだけしか生き残れずに何十年もかけて新たに増える怨霊やスライムを取り込んで増えていきました。いつか魔王復活を信じていた忠臣。
作中では魔王を侮辱、セクハラを働いた剣士の子孫にずっと嫌がらせをしていた。
ウルフ族の族長
人情熱く、子分を助けた勇者たちに度々力を貸してしまい、忠誠と裏切りの狭間で自害した四天王。
今世は記憶はなく、スティーブの愛犬として心健やかにすごしている。
魔王と勇者の結婚後は、大好きな2人と仲良くできて、幸せいっぱい。作中に出ませんでしたが、勇者と魔王を大切に思っていました。
これでこの作品は完結です。
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最後まで読んで下さり、本当にありがとうございました。




