はっかく
数日後、部活に行くと、先生が別の用事が入ったため、
皆、個人練習をやっていた。
そんな時、ついに恐れていたことが起きてしまった。
ゆうが、立ちながら曲中にあるソロの練習している時のこと。
突然、吹き止め、頭をおさえた。そして、そのまま後ろに倒れた。頭をおもいっきり打って。
周りは騒然となった。
私は急いで、救急車を呼んだ。
5分後、救急隊員到着。
ゆうから持っている楽器を取り、救急車に運ばれ、大学から去って行った。
救急車が見えなくなったことを確認すると、近所のおばさん同士がやる世間話が、部活内ではじまった。
「佐田先輩……、大丈夫かな?」
「大丈夫だよ、先輩なら」
「でも、最近体調優れないんだなぁ(笑) って言っていたからさ」
「あら、そうなの?」
えっ? 体調優れていなかったの? もしかして私のせい……なのかな。
どこか罪悪感を感じていた。
「とりあえず、私、先生に連絡してきます!」
私は、周りの人にそう言って
その場を去った。
翌日、先生から連絡が入った。
ゆうは、しばらく安静にするため、1か月前後の入院をする とのこと。
私は1か月会えないのかと思うと寂しかった。
その間にすこしでも上達していないと会わせる顔がない。
私は必死に練習に励んだ。先輩の驚く顔、いや、ゆうの驚く顔を見るために。
そんなことばかりやっていると、
前よりも疲れが溜まってくる。
口がバテてきそうだ
その結果、周りから
「野巻さん! 一緒に頑張ろう! 佐田先輩はね、私たちの希望なの。先輩が居て、今の私たちがあるのよ。私たちも頑張るから、あまり無理しないでね」
励ましのコメント……。
心にジーンとくる。