表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あやかしあやし  作者: 武者小路 きんぎょ
2章:初めて会ったその日から、変な話になることもある
12/12

今、そこに在るトンデモ

ようやく更新です。

ペースは落ちますが、長く細く頑張っていきまっす!!!

「うぉ、すげぇ!!優哉、理々、見に行こうぜ!!」


俺が止めるよりも早く、ゴムボールを放り投げられた犬のような猛スピードで忠が大通りへと走っていく。制止しようとして少し上げた手の行き場がなく、ちょっと切ない。


「もぅ、灰島くんったら・・・」

「・・・まぁ、奴もめったなことはしないだろうけど。どうする、行く?帰る?」


このまま置いて帰ったところで、たいした問題じゃない。グチグチ言われるかもしれないが、所詮はHRが始まるまでの話だ。終わった後にはすっかりそのことを忘れてるに違いない。


心配があるとすればバカが騒ぎを起こしてしまわないかという1点に尽きるが、まぁそれも問題ないだろう。

何かあっても護衛が取り押さえるだろうし、そうなれば忠が2、3日独房に行き、その後学園から1週間程度自宅謹慎を命じられるくらいだ。俺たちには何の影響も無い。

さすがにそれが分からないほどではない・・・・・と、思いたい。


「うーん・・・まぁでも、ちょっと見てみたい、かな?」


えへへ、とはにかんで笑う理々。

属性持ちなら間違いなく撃ち抜かれそうなものであるが、残念ながら実妹のいる俺には効果がない。

・・・というかそんなことになったら、俺か理々の心臓が物理的にぶち抜かれる。

確かにちょっと可愛いとは思ったけど。


「ま、俺も興味がないわけじゃないし。じゃ、行こうか」


こういう場でもない限り、俺たちが魔王の姿を目にすることはないだろう。

エリートクラスの連中ならいざ知らず、迷宮に侵入して数々の罠や戦闘を乗り越えて魔王のもとに到達するなんて、俺たちができるはずがない。


連れ立って歩いて行くと、少し離れたところに忠の姿があった。

何でそんなところに・・・と言いたいところに登っているのだが、確かにこの人込みでは高いところに登らなければお目当てを見ることはできないだろう。

まぁ、心の中で郵便局員に謝っておけばいいか。


「忠、どうだ?見えるか?」


その近くまで行きはしたが、さすがに俺たちまで登るようなことはしない。

高校生二人が立てるようなスペースでもなかったし、理々ならば大丈夫だろうが彼女はスカートだ。


「ああ、バッチリだ!」

「ふーん・・・どうだ?魔王様はいたか?」

「んー・・・考えてみれば俺、魔王様の顔なんて知らないんだけど」

「お前なぁ」


さっきから魔王に敬称を付けているのには訳がある。

別に本人はどうでもよかったようだが、腹心や側近たちから『臣民には敬称を付けて呼ばせるべきだ』と言われてそうしたらしい。

面従腹背で応じてる奴もいることにはいるのだが、そう取り決められる前から普通に『魔王様』と呼んでいる奴は非常に多い。

ちなみに、呼び捨てにしたりしなければ名前で呼ぶのも可だ。もっとも名前の方は、特に認められた者でなければ呼び捨てにしたのと同じ扱いで不敬罪を適用されて連行される。一説には魔王を名前で呼べるようになることが権力者のステータスになっているというのだから、遅かれ早かれこの国は滅ぶかもしれない。


「あれ・・・何か来たぞ?」

「・・・・・ああ。ここからでも見えるくらいにでかいな」


遥か向こうから。距離的には相当あるにも関わらず、山が歩いて来る(・・・・・・・)のが俺の視界に入った。


「うお、でけー」

「すごい・・・ね、あれが魔王様の『騎獣』のドナウテア=テンパリス=ティン、かなぁ?」

「知らん」


そんな長い名前覚えていられるか。


しかし、それにしても大きい。

段々と近づいてきて分かったことだが、ドナ・・・何とかは、見た目的には犬のような姿だ。普通ならば2メートルの犬でさえも大型の部類に入るだろうが、桁が違っていた。

体高は、ざっと見て10メートル。体長は30メートル以上だろうか。重さも相当なものだろうが、不思議と道路にめり込むということもない。


「おっきなわんちゃんだね~」


さらに近づいてきて、なるほどと納得する。

足底と道路との間に、50センチほどの間があった。つまり浮いている(・・・・・)のだ。

トンデモ生命体の乗り物は、やはりトンデモ生物らしい。こちらの常識を覆すことこの上ない。


「ふわぁ・・・・」


間近まで来たトンデモ生物をまじまじと見つめながら、微妙に気の抜けた声を発する理々。


「うおっ!やべっ!マジでけっ!!」


その隣で単文を連発するしかできなくなっている忠。


かくいう俺もその巨大さ加減に圧倒されて口を開くこともできない状態だったのだが―――――

突然、周囲がバタバタとし始める。それもそのはずで見れば巨大犬は俺たちのすぐ近くに止まったまま、動こうとしていない。その前後を更新していた護衛兵たちもその周囲を取り囲むように移動を始め、興奮して近付こうとする野次馬たちを抑えにかかっていた。


そして、明らかに一般の兵士とは姿の異なる者が一歩進み出て、高らかに告げた。


「皆、静まれ。これより、魔王陛下よりのお言葉を下賜する」

次回、魔王様本格始動。

やっぱりトンデモな方です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ