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神僕検察官  作者: 杠葉 湖
2章 ブリガランド騒乱
12/12

11話 軟禁、そして現状確認

説明回です。

「ふぅ……」


 俺はため息をつくと、天井を見上げた。


「やはり、こうなったか」


 そして、誰もいない部屋でひっそりと呟く。

 結論から言う。俺は軟禁されることになった。


 本来なら地下牢へと連行されるはずだったのだが、クレーラが頑張ってくれたおかげで、それは何とか回避された。

 そして地下牢の代わりに連れてこられたのが、この部屋というわけだ。


 おそらくそれほど重要ではない相手をもてなす時のゲストルームか使用人の部屋なのだろう。

 8畳ほどの広さの部屋は、ベッドが1つ置かれるだけの簡素な作りで、入口も1箇所しかない。

 その入口にある木造の扉の向こうには近衛騎士が2名立っており、絶賛監視中なわけだが。

 まぁ、最悪の事態も想定していたから、まだマシと考えるべきか。


 それよりもあのステータス。

 アレは絶対に偽装した数値だと思われるが、もしあの通りだとすると、少しマズいことになるな。

 やはり確認しておくことに越したことはない。


「メニューオープン」


 俺がそう呟くと、目の前に俺にしか見えない半透明のウィンドウが現れる。

 左側に<マップ><亜空間収納><装備><科学><どこでもテント><異世界ステータス><転移座標><別チャンネル>が縦列で表示される。右側は空白だ。


 これがワット博士から貰った新しい指輪の力か……

 俺はため息をつきたい気分に駆られる。


 あのおっさん、俺が異世界に飛ばされるってのを分かっててこの指輪を渡したんじゃないだろうな?

 明らかに見慣れぬ項目がいくつか存在するわけだが。


 ……とりあえず、一つ一つ機能を確認してみるか。


 まずは<マップ>を選択する。

 すると「範囲選択が可能。範囲は<世界><国><領><街町村><限定範囲>が選択可能。2Dまたは3D表示。尺度調節可能。<探索>併用で敵味方、罠などの識別表示可能」とガイダンスがウィンドウ下部に表示される。


 試しに、<世界>を選択してみるか。


 俺はそう思いながら<世界><2D>を選択する。

 ウィンドウいっぱいにブリガランドの地図が表示され、左側のメニュー項目が消える。

 そして左上の地に白い点が表示された。


「……………………」


 俺はそれを呆然と眺めるしかなかった。


 なんでこの世界の地図があるんだよ!?

 あのおっさん一体何者だよ!?


 突っ込みたいところが山々だが、生憎当の本人がいないのでそれもままならない。

 とりあえず、帰ったらいろいろと問い詰めないとな。

 超科学の賜物とか一言で返されそうな気がするが。


 まぁそれはさておき。今いるのが、白い点で表示されている地のようだ。

 四方を海に囲まれ、陸路での移動が絶たれている。

 女神様の話だと、明日出航するっていう船で、この国から脱出しないといけないんだよな。

 後で乗船場とか確認しておかないと。


 そう思いながら、範囲を呼び出し、今度は<限定範囲><3D>を選択する。

 すると、この部屋及び近辺がウィンドウに3D表示された。


「<探索(サーチ)>」


 俺がそう呟くと、俺の立っているところが白色表示、扉の前に立っている近衛騎士2名が赤色表示されている以外は、特に変わったことはない。


 これは、盗聴とか監視者が潜んでいないという解釈でいいんだよな?

 この状況なら、気兼ねなくいろいろと確認することが出来そうだ。


 次に<亜空間収納>を選択する。

 すると、「亜空間に収納されたアイテム項目の表示される」とガイダンスがウィンドウ下部に表示され、今所持しているアイテムのリストが、一覧として表示された。


 あのおっさんが「異次元、異空間への干渉」とかのたまってたのはこれか……

 って言うか、なんで俺の持ち物が既に収納されてるんだよ。


 そう思いながら、右手を前に向かって伸ばす。


神誅剣(しんちゅうけん)


 俺の呟きに応えるかのように、剣身が白い輝きを放ち、グリップに八咫烏の刻印が行われた剣が俺の手に収まる。

 神誅剣は伝説の鉱石である神鉱石から特別な製法で創られた、俺の最大武器だ。


 おそらく、この城を斬って破壊することも容易に可能だろう。

 まぁ、それは最終手段だが、無事アイテムも呼び出せるようだな。


 確認を終えたので、神誅剣を亜空間へと収納する。


 そして今度は<装備>を選択する。

 「現在装備中の物、及び効能を表示」とガイダンスがウィンドウ下部に表示され、装備中のアイテムが表示される。


 俺はそれを一つ一つ確認する。


 上半身1:祝福のワイシャツ

 説明:女神の祝福を受けた特製の白いワイシャツ。

 効果:異常耐性(大)。防汚付与。破損後自動修復(小)。


 上半身2:検察官のジャケット

 説明:女神の祝福を受けた特製の黒いジャケット。

 効果:防御力(大)上昇。物理攻撃耐性(大)。魔法攻撃耐性(大)。防汚付与。破損後自動修復(小)。


 上半身3:ネクタイソード

 説明:ダイヤモンドより硬いウルツァイト窒化ホウ素を元に、特殊科学処理を施しネクタイ型に加工した剣。剣身が青い。通常はネクタイとして使用。

 効果:キーワードによる着脱可能。防汚付与。破損後自動修復(小)。攻撃力(大)上昇。


 上半身4:聖なるペンダント

 説明:母の形見のペンダント。未知の宝石が使われている。威力の高い攻撃や致死性の攻撃を受けると、特殊結界を自動展開して攻撃を防ぐ。

 効果:物理攻撃無効化。状態異常攻撃無効化。魔法攻撃無効化。正し、一定時間内の回数制限あり。防汚付与。


 下半身1:検察官のスラックス

 説明:女神の祝福を受けた特製の黒いスラックス。

 効果:防御力(大)上昇。魔力(大)上昇。防汚付与。破損後自動修復(小)。


 足1:漆黒のソックス

 説明:科学の粋を極めて造られた長めの黒い靴下。

 効果:速度(大)上昇。防汚付与。破損後自動修復(小)。


 足2:天馬のスニーカー

 説明:科学の粋を極めて造られ、女神の祝福を受けた黒いスニーカー。高さ100Mの場所から飛び降りても、着地の際に怪我を負うことはない。

 効果:自動HP回復(大)。自動MP回復(大)。衝撃吸収(大)。ジャンプ力(大)。防汚付与。破損後自動修復(小)。


 ここまでは変わりはない。




 右手薬指:女神の指輪

 説明:八咫烏の彫像が刻印された指輪。

 効果:自身の身分を証明する。指輪を通して女神の力を得ることが出来る。不壊。可視不可視の設定が可能。防汚付与。


 以前は「自身の身分を証明する。不壊。可視不可視の設定が可能」だったから、少し効果が変わったな。




 右手中指:超科学の指輪

 説明:科学の粋を極めて創られた金色の指輪。

 効果:メニューをオープンすることが可能。<マップ><亜空間収納><装備><科学><どこでもテント><異世界ステータス><転移座標><別チャンネル>が使用可能になる。不壊。防汚付与。


 以前の指輪は<マップ><装備><科学><別チャンネル>が使えてたから、これも効果がパワーアップしたな。


 装備を確認し終えた俺は、今度は<科学>を選択する。

 「現在使用可能な科学機能項目を表示。<???>表示は条件を満たせば使用可能」とガイダンスがウィンドウ下部に表示され、いくつかの項目が表示される。


 <亜空間収納><言語理解><探索><解析><罠検知><罠解除><ホーミングレーザー><ミサイル乱舞>以外は<???>表示になっている。


 これも一つ一つ確認する。


 科学機能:<亜空間収納>

 効果:亜空間収納が行える。なお、亜空間の中は時間停止、及び容量無限。生物は収納不可。


 なんだよこのチート。とんでもない物付けやがったな……

 まぁ、あっても困らない、と言うかむしろ必須なものだから、ありがたく使わせて貰うが。

 今まで似たようなもの使ってたし。

 さて次は――




 科学機能:<言語理解>

 効果:使用したことのない言語や未知の言語に対しても読み書きが行えるようになる。


 これか。玉座の間で俺が相手の話し言葉やステータスの文字を読むことが出来た原因は。

 本当にワット博士がチートを付けていやがった。

 クレーラやクリスティアは女神チートだったが、俺は超科学チートか。


 そして――




 科学機能:<探索>

 効果:指定対象の探索が行える。マップと併用で識別可能になる。ただし、罠の検知は行えない。効果範囲は10メートル。


 科学機能:<解析>

 効果:指定対象の解析が行える。対象が人の場合は能力を、アイテムの場合は効能の鑑定、解析が可能。効果範囲は10メートル。


 科学機能:<罠検知>

 効果:罠の検知が可能。効果範囲は10メートル。


 科学機能:<罠解除>

 効果:罠の解除が可能。効果範囲は10メートル。




 なんだよこのチート機能は!

 こんな便利な物があるなら、もっと早く付けてくれよ!

 こんな機能をもっと早く使えていれば、どれだけ捜査や公判が楽になったことか……

 帰ったらワット博士に抗議しておかないとな。


 まぁ、でも、この辺りまでは、まだ許容できる。許容できるんだが――




 科学機能:<ホーミングレーザー>

 効果:数百発のホーミング式レーザーを敵に向かって撃ち込み、致命傷を与える。攻撃力(大)。


 科学機能:<ミサイル乱舞>

 効果:数百発の小型ミサイルを敵に向かって発射し、致命傷を与える。対空、または対地用。攻撃力(大)。




 これは使っちゃあかんやつやろ絶対……

 なんでこんな壊れチート付けてんだよ。

 それとも、この機能が必要になるくらいヤバい場面に遭遇することもあり得るって事か?


 とにかく、もし使用に迫られた場合は、慎重に考えるようにしよう。

 このふたつだけで簡単にこの城を火の海に、いや破壊することは可能っぽそうだが。


 次は……<どこでもテント>か。

 そう思いながら、<どこでもテント>を選択する。

 すると、「どこでもテントがどこでも展開可能」とガイダンスがウィンドウ下部に表示されるが、<どこでもテント>の文字はグレイアウトされており、何も起こる様子がない。


 説明がいい加減なような気がするのがアレだが、これはひょっとして、何か条件を満たさないと使用できないって事か?

 まぁ、いずれ使えるようになるのだろう。今は深く考えるのはよそう。


 それから、<異世界ステータス>を選択する。


 「鑑定や解析を受けた際に表示されるステータス値を表示。テスト実装により一部値変更不可」とガイダンスがウィンドウ下部に表示され、ウィンドウ右側に何やら見慣れたステータス値が表示された。




 <ステータス>

 ジョン・スミス 男 Lv1

 【種族】人間

 【職業】村人

 【HP】1

 【MP】1

 【攻撃力】1

 【防御力】1

 【魔攻力】1

 【魔防力】1

 【敏捷力】1

 【知力】1

 【運】1


 【スキル】(女神カヤナルミの加護)

 【称号】異世界転移人




 お前が犯人かー!!


 思わず心の中でツッコミを入れる。


 おそらく、鑑定を妨害していたのは指輪の機能ではなく「女神カヤナルミの加護」という見慣れないスキルなのだろう。

 解析されてもスキルが表示されなかったのは、括弧で括られているからか?

 そういえばあの腐れ女神、人の尻を叩いて寵愛を授けたとかいけしゃあしゃあと抜かしてたからな。


 まぁ、今回は助かったと少しだけ感謝しておくか。

 ダミーステータスのおかげで、いろいろと面倒なことにはなっているが。

 勇者扱いされるよりは数倍、いや数百倍マシだろう。


 それにしても、俺の実際のステータスはどれくらいなのか確認したいが、その確認できそうな項目がまったく見当たらない。

 これは、確認する必要がないって解釈でいいのか? 異世界人だし。

 それに「テスト実装」って、とってつけたような説明が書かれていたし。

 本来は必要ない物だったのかもしれない。


 とりあえず、値を怪しまれない程度に変えておくか……

 そう思いながら各パラメーターの値を変更しようとするが、名前以外は変更ができない。


 なんて中途半端な実装なんだ……

 一部じゃなくて、名前以外変更不可じゃねーか! はぁ……


 ぼやいても始まらないので、とりあえずこのまま何も変更せず、次の<転移座標>を選択する。

 「リスト登録した座標に転移が可能。対象は転移者及び転移者に触れている者全て」とガイダンスがウィンドウ下部に表示され、右側に空欄のリストが表示された。


 壊れチートキター!!


 思わず拳を握りしめる。


 やっぱチートと言ったら転移だよな!

 移動がどれだけ楽になることか!


 早速、この部屋をリスト登録する。

 すると、リストに「ミグリット王国 王都スイレーン 王城客間」と表示が行われた。

 船旅でもし何かあった場合は、ここにこっそり戻ってくるようにしよう。


 最後に<別チャンネル>を選択する。

 「盗聴カメラや精霊等第三者から入手した情報の表示、展開が可能」とガイダンスがウィンドウ下部に表示され、ウィンドウ右側に空欄のチャンネルリストが表示される。


 俺はゆっくりと深呼吸をすると、右手を前に突き出し、召喚呪文を口にする。


「我が命に応えよ。召喚、シルフィ」


 魔力が全身を駆け巡り、右手から放出されていく。

 床に魔法陣が浮かび上がり、ポン、と言う音ともに、緑色の長髪で、探究心旺盛そうな顔立ちをした、手のひらサイズのかわいらしい少女が目の前に現れる。


 惑星セムリアに棲まう風の精霊シルフィだ。少しお転婆なところがあるが、索敵や偵察などでは割と協力して貰っている頼もしい存在だ。

 俺と契約している精霊ではあるが、異世界だから正直呼び出せるか不明だったんだが……何とかうまくいったようだ。


 というか、魔法使えること自体驚きなんだが……異世界とか関係ないのか?


「なーにラムダ。何か用……って、ここどこよ?」


 シルフィはいつもと違う雰囲気を感じ取ったのか、キョロキョロと物珍しそうに辺りを見回す。


「異世界だ。カヤナルミ様の命で、な……」


 俺は必要最小限の返答を行う。


「ふーん」


 それだけで、シルフィはある程度状況を理解してくれたようだ。


「で、何を調べればいいの?」

「その前に」


 俺はチャンネルリストに表示された「シルフィ」を選択する。

 すると、目の前に半透明のウィンドウがもう一つ現れ、シルフィの見ている光景が映し出された。

 視覚の共有は問題ないようだ。


 俺はホッと一息をつき、シルフィを見る。


「ここからそう遠くない場所に、俺の魔力を検知できる場所があると思うんだが、わかるか?」

「待って」


 シルフィはそう言うと、目を閉じる。


「……2カ所、あるわね。これは?」

「俺の名刺を持っている人間二人だな。その二人の居場所は?」

「同じ場所にいるみたいだけど?」

「なら好都合だな。ちょっと姿を消して、そこでどんな話し合いが行われているのか、確認してきてほしい」

「わかったわ」


 シルフィは姿を消すと、指示された場所へと向かう。

 クレーラとクリスティアに渡した名刺には、俺の魔力がほんの少しだけ込められている。

 どうやら、所在場所の割り出しに大きく貢献してくれたようだ。


 俺はゆっくりとベッドに腰掛けると、シルフィからの連絡を待つことにした。

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