表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
会社をクビになった俺、深夜ダンジョンでゴミ拾いしてたら【鑑定】が覚醒して配信界のトップになった  作者: 小狐


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/82

アンデッドグランドドラゴン戦②+???

 連絡通路を抜けて大屋根リングの内側通路に出ると、暗がりの先で何かの蠢く気配があった。

 桐野が左手の指先を、暗がりに向ける。

 指先から青白い小さな魔力弾が連射された。

 弾は通路の暗がりを直線で抜け、徘徊していた黒狼系の小型魔獣の頭部に次々と当たって沈めていった。

 弾自体のサイズは小さい。

 だが、当てる位置は全て眉間を貫通していた。


 『武器持ってないのに撃ててる』

 『あれが桐野の射手スキルか』

 『普通に連射ヤバい、でも威力やっぱ低めじゃね?』


 桐野は撃ちながら、通路の奥へすたすたと進む。

 撃ち終わったあとに、指先を一度振って軽く息を吐いた。


 「やっぱ威力ぜんぜん足りてないなぁ」


 「一発で仕留めてるじゃないですか」


 「あれは雑魚よ。中層くらいで多く見かけるけど、あれ以上のランク出来てたら対処難しいかな」


 「そう、なんですね…」


 「自分のスキルを何も触媒無しで使うことってそうないからなぁ。緊急的に使う触媒とか携帯しとくべきだったか」


 「八咫烏のメンバーはそれぞれ武器携帯してましたよね」


 「あぁ、あの人たちは別格よ。多分個人でマジックバッグを所有しているでしょうし」


 「なるほど…」


 迂回ルートを抜けて、フレームの外周通路に降り立つと、空気の流れが変わった。

 西ゲート方向からドラゴンの咆哮が、まだ続いている。

 5階建てのビルが動いているようなその巨体は、周囲の建物を容赦なく薙ぎ払っていく。

 その周囲に米粒くらいの何かが動き回っているのが見える。


 「八咫烏の方たちはほんと凄いですね…。竜種と戦い合えるなんて」


 俺の言葉に桐野は難しい表情を見せる。


 「うーん。絶秒なバランスの中で成立していると思うわ。出来立てのダンジョンに中途半端なダンジョンボス。もし完璧な形で出来上がっていたら、恐らくは私たちは生きてない」


 「それほど…ですか」


 「相手は竜種よ? 世界で発見例が稀だし、見つけたとしても通常戦うことはしないわ。あの元になったグランドドラゴンを討伐するのに、どのくらい人類が犠牲を払ったか知っているでしょ?」


 1970年代に起こったブルックリン大橋の事件は、探索者でなくても大筋は知っているほどに有名な話だ。


 「私たちはダンジョンが成長する前に、早くダンジョンコアを止める、よ」


 「その通りです」


 会話の途中で桐野が通路の途中で身体の向きを変えて、暗がりの方を見た。


 「真壁さん、止まって」


 俺は足を止めた。

 

 四つ足の輪郭が、低い姿勢で並んでいる。

 先ほどの小型より一回り大きく、首から肩にかけての筋肉がはっきりと見える。

 3体、いや4体だ。


 それを確認すると桐野が小さく舌打ちをした。


 「これはパス、迂回しましょ」


 桐野が外周通路横に開いた、点検用の狭い通路を顎で示した。

 俺はシオを肩に乗せたまま、頷いて足を進める。


 保守通路の中は配管と細い照明帯だけが続いていた。

 桐野が前を走り、俺は死でその後ろをついて行く。


 そして階段を駆け上がると、リングのアッパーデッキへと降り立った。

 すぐ先にはウォータープラザが見え、そしてフレームが怪しい光を発していた。

 フレーム上部にはダンジョンコアが少しだけ浮いており、溝に光を定期的に走らせている。


 『大きさ的にはバレーボールくらいか?』

 『真っ黒。あれがコアか』

 『光の明滅がいかにもって感じだな』

 『ここだけ見るとすげぇ幻想的なんだが…』

 『地獄は意外と幻想的なのかもな』


 ダンジョンコアが設置してあるフレームは池の中央に立っており、それは独立している。

 フレーム最上部へ上がるには、水面近くにある出入口から上がっていかないといけないのだが、周囲には魔獣系の魔物が集団になって周囲を警戒している。


 「おそらくダンジョンコアを守護する魔獣ね。ただラッキーなことにまだ出来たばかりだから、ランクの高い魔物は召喚できてないみたい」


 「あれで、ランクが低いんですか??」


 「下層に入ったくらいに出るレベルのやつね。あの数は厄介だけど、消耗度外視でやれば追い払うのは難しくないわ」

 

 「……わかりました。ここから下の階段でフレームの後ろ側に降りれます。そこから池を横断して近づきましょう。その前にダンジョンコアを鑑定します」


 「この距離でいけるの?」


 「視認出来てますし、認識も出来ているので大丈夫です」

 

 《鑑定》


 目の前に、文字列が走る。


 ──────────────────────────

 名称:ダン博中央フレーム ダンジョンコア(暫定)

 希少度:規格外(鑑定枠外)

 生成属性:魔獣系

 現在状態:アンデッド属性が外部から重ねられている/暴走中

 起源:ダン博運営が外部から調達した未登録個体/詳細不明

 制御方法:筐体側面の手動制御パネル経由で出力減衰可能

 推定価値:算定不能

 注意:接触は危険、外部干渉痕跡が継続中

 ──────────────────────────


 俺は文字列を二度読んだ。


 外部から、誰かが触っている。

 干渉痕跡が継続中、ということは、いまもどこかで誰かがコアに何かをしているということだ。


 「だれかが現在進行形でダンジョンコアに干渉していますね」


 「誰かって言うと…あのフレーム上部に立ってたっていう2人組?」


 「それはわかりませんが…一番怪しいと思います。問題はあんなダンジョンコアをよく制御できているなってとこですが…」


 「真壁さんは制御できる?」


 「ダンジョンコアの側面部分に、手動制御可能なパネルがあるみたいです。それで出力コントロールを通じて。非活性までもっていけそうです」


 「……改めて思うけど、真壁さんの鑑定ってちょっと次元が違い過ぎるっていうか」


 『それな』

 『鑑定スキルの範囲を超えてる件』

 『世の中の鑑定スキル持ちに希望を与える配信』

 『いやそれはどちらかというと誤解を与える配信じゃね?』


 「とりあえず行きましょう。近づいてから二手に分かれます」


 「分かったわ。お互いきっちりとミッションを完遂しましょう」


 リング下まで降りると、ウォータープラザの池縁まで近寄った。


 「こっちに浅くて向こう岸まで渡れる場所あります」


 「私が前に出る。真壁さんは後ろに」


 「了解です」


 向こう岸には魔獣の群れがおり、ライオンの一回りほど大きいその巨躯に思わず呼吸が荒れた。


 「大丈夫、最初に私がけん制して、フレームから少し離すわ。それを見計らってあの出入口に向かって」


 「……ありがとうございます」


 「お互い、生きて戻りましょう」


 「……はい」


 『うぉぉぉぉ!回収屋っ!!絶対に生きて帰れよ!!』

 『この配信が回収屋チャンネル最後とかマジ許さんぞ!』

 『しれっと同時接続100万突破してる』

 『そりゃ世界初のオープン型ダンジョン事故配信だしな』

 『ニュースも全部この話題で独占だよ』

 『ダンジョンTubeトップにこの配信をデカデカと表示してるぞ』

 『各局が勝手にこの配信を生放送で流してるが許可取ってるんだろうか』

 『コメントになんか許可取り流れてたような…』

 『世界中がこの配信にかじりついてるよな』

 『Z大荒れよ。あまりに初出しのネタばかりだし』


 

 ◇



 身を低くしながら池を渡り切る。

 そして桐野は視線を俺の方に向け、そして頷いた。

 俺も同じように覚悟を決めて頷いた。


 桐野が先に身を起こして、向こう岸の魔獣の群れに身体の向きを合わせた。

 両手の指先を、低く構える。


 「耳押さえてて。派手に行くわっ!」


 桐野の十本の指先から、青白い魔弾が一斉に走り出す。

 最初の数発が、群れの先頭の鼻先を盛大に弾く。

 続いて別個体の前足の付け根、その奥にいる魔獣の頭蓋へと、弾道が流れるように移っていった。

 弾の一発一発は、確かに入りは浅い。

 先ほどの貫通とは違って、表面を弾いていく。

 だが連射が速すぎて、群れ全体を大きく後退させていった。


 最前列の二体が、咆哮を上げて桐野の方に首を振った。

 3体目、4体目同じように向きを変える。

 間違いなく桐野にヘイトを向けているようだった。


 桐野はそれに応える形でフレームから距離を取った。

 それにつられて魔獣も駆けて行く。


 俺はその様子を見て、ここだ、というタイミングで飛び出し、そしてフレームまで走った。

 あっさりと出入口までたどり着くと、ドアを掴み、そして中に入る。

 目の前には梯子のように持ち手が壁面に刻まれており、ここから最上部へ登れということらしい。


 俺は振り返ってドアを施錠する。

 あの魔獣相手にどこまで施錠が役に立つかは分からないが、ないよりかはマシだ。

 何より俺の精神安定剤にもなる。


 勢い付けて持ち手を掴み、そして登っていく。

 すぐに息が切れ、手足が重くなる。


 「はぁ、はぁ、はぁ…」


 俺は肩の上で鎮座しているシオへちらりと視線を向ける。

 だが、シオから返って来た感情は『疲れてる』だった。


 「そりゃあ…そうだろうっなっ!!」


 シオはいまだに結界を張り続けている。

 これはいざというときの俺の命を守る壁でもある。

 万が一、あのブレスが直撃しようものなら、一瞬であの世行き確定だ。


 「……はぁ、はぁ、もちろん、シオには、感謝してますよっ!」


 そして数分後、俺はフレーム最上部にたどり着いた。

読んでいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価で応援いただけると励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ