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ヨル君の微笑ましい殺戮開拓劇


「…………周りは、まるでジャングルだな」


 ティファを、母様の元へと預け。俺は1人、『レーヴァトス・ホール』領地の未開拓地域へとやって来た。


 ここは、隣の領地『ヴァイオレット』領地とも隣接しているので、なにかあった時にすぐに避難できる場所だ。


【大鎌ですわ?なにに使うですわ?ヨル様】


「…………狩りだな。つうか、いつの間にか戻ってきてた?」


【這いつくばりながら来ましたわ。ヨル様の元へと着くまでに、お涙頂戴の大スペクタクル冒険でしたわ。シルヴィアのお話を聞きたいですわ?】


「いや、いらない………」


 ゲーム『アルティミス・オーブ』の世界にも、勿論ステータスというものが存在したが、この世界には……


「ステータスオープン」


◇◇◇

ヨル・レーヴァトス・トルバトス

レベル■■4

攻撃力■■■

防御力■■2

魔力9999■■■


 出た……………が。表記が雑過ぎるし、少なすぎる。初期のドラクエよりも少ないぞ。どうやら個人のステータスは、この世界では細かく分からないみたいだな。


【なにをカッコつけているんですわ?ヨル様】


「…………つけてない。それよりも、近くにモンスターが居ないか気配は分からないか?今日の食べる食料にしたいんだ」


【モンスターですわ?……それなら、直ぐ後ろに居るですわ】


「なに………?」


「ルホホホホ!!」


 ウィスキーモンキー?いきなり強敵と出くわすなんて。


「ルホホホホオォォ!!」


 新鮮なえさが現れたと思って喜んでるな。


「流石にお猿の肉を母様やティファ達には食わせたくないな…………〈修羅の太刀〉」


 ウィスキーモンキーに胴体へと、大鎌を振り払った瞬間。ウィスキーモンキーの身体は、二分の一に分かれた。


「ルホホホ……ホ……ホ?」


「凄い生命力だな。流石、シナリオ最終辺りにでエンカウントするモンスターだなっ!」


「ルオゥ!?………」


 今度は大鎌を真上から振り下ろし、ウィスキーモンキーの頭部を二分して絶命させた。


【あの狂い猿を二撃で仕留めたんですわ?とんでもないですわ】


「…………シルヴィア。お前、俺を試したろう?」


【ふぇ?なんのことですのですわ?】


ひたいに汗をかきすぎだ。バレバレだぞ……安心しろ。多分、4才児の今の強さでも……」


「ルホホ!!」「ルルルホホ!!」「ランランル~!」「ルルル~!」「あーああーあーあ~♪」


「そこそこ戦える身体には仕上げてるからな。〈修羅の太刀〉」


 ウィスキーモンキーとは、毛肌が違う種類の牙獣種系統のモンスターも交じってる。


 まぁ、真っ二つして倒すから関係ないが……ニヤニヤと邪悪な笑みを浮かべられるのは、気に食わないな。


「ギャアアア!!」



 ワタシの名前は、紫電の魔女ライラックです。


 オーブ王国の王子ティファニーちゃんの弟子兼ママですね……いや、なんでそうなるんですか!ママシショーって何ですか?ティファニーちゃん。


 いや、私も大魔女の1人なので、弟子は取らないといけなかったんですけどね。ティファニーちゃんは素直で可愛くて、良い娘だから良いんですけど……


「虐待を受けていた痕跡があるんですよね……幼少期の栄養不足、愛情の欠落、食育もしてあげなくちゃですし。やること多すぎ……今の環境も悪すぎますね。辺境の地で4歳児を育てろって無茶苦茶過ぎますよ」


 独り言を愚痴ぐちりながら、高く売れそうな天然な薬草とか、小さい鉱石を掘ってますけど……


「流石は未開拓の地、『レーヴァトス・ホール』領地。そこら中にレア資源がゴロゴロしてますね……この地を整備して、開拓できれば凄いことになるでしょうけど。領主がヨル君ですものね……あの子も4歳児。あの子可哀想すぎません?世間酷すぎません?あの子にも愛情を持って色々と教えてあげないといけません……ん?」


ドゴオオオオンンン!!


 轟音?何でしょうか?


「ルホホホホ!!!」


「いやいや、さっきまで俺を囲んでなぶり殺そうとしてたじゃないか。仲間がやられたら逃げ回るなんて駄目だろう。〈修羅の双曲〉」


「ルアオオアア……」


【ヨル様無双ですわぁ!狩り狩りですわぁ!悪辣で貪欲なるお猿さん達を狩りまくって、支配エリアを広げるのですわぁぁ!!】


「シルヴィア。うるさい、ハウス」


【コンッ!?なにしますのですわぁ!ヨル様!!】


 突然、現れたウイスキーモンキーの身体が真っ二つに割れて……ビチャ!っと血飛沫ちしぶきがワタシにかかりまくりやがりましたよ。


「イヤアアァ!!なんですか?この血の雨はあぁ!!」


「は?……あれ。ライラックさん?なんで、こんな所に?」


「え?ヨル君ですか?なんでこんな所に?」


 あまりにも突然のことだったので、質問に質問で返してしまいましたよ。


 ていうか、なんでこの子は、とても邪悪そうに笑って大きな鎌を持ちながら飛んでるんですか?ツッコミどころ満載なんですけど!


「あぁ、俺ですか。俺は、今後の生活の安全のためにモンスター狩りと食料集めです。領主の務めですからね」


「なるほど?…………流石、シロン先輩のお弟子さんですね。意味が分かりません」

 

「…………でしょうね。〈修羅双剣〉」


「ひぃっ!!」


「ルホホ……ルアアアア………」


 嘘?ワタシでも反応が遅れたピンキーモモンキーの出現よりも早く察知して、一撃で倒すなんて……


「貴方……本当にティファニーちゃんと同じ、4歳児なんですか?」


「ええ、そうですよ。ちゃんと0歳児から潤沢な準備をしてきた4歳児です」


 ……ヨル君の言っている意味が理解できませんでした。



◇◇◇

『アルティミス皇国 ヴァイオレット領地』


「奥様。リファレンス公爵家の……第一妃カトレア様から密書が届いております」


「密書?……開けて読んで下さる?セバスチャン」


「……よろしいのですか?私めがお読みしてもいい内容とは思えませんが」


「いいわ。どうせ、カトレアのことだもの、ろくでもない手紙の内容なんでしょう」


「はぁ……では読み上げさせて頂きます。〖辺境貴族、ヴァイオレット家に秘密の任務を与える。極東の汚き血筋の第二妃ユキナと、その子供達………ついでに憎たらしいオーブ王国のくそ王子も一緒に殺すように。これは、リファレンス公爵家の令嬢としての命令である。貴女の親友カトレアより〗……だそうです」


「親友ねぇ……そんなのいつからなったのかしら?」


「……どうなさいますか?奥様」


「断ったらリファレンス公爵家に恨みを買うから殺るしかないわね。私の一番の下の娘、シエナに向かわせなさい。レーヴァトス・ホール領地のすぐ近くに住む練兵団を付けさせて。6才の初陣には丁度良いわよね」


「畏まりました。すぐに手配致します。奥様」


「よろしく…………厄介ごとには巻き込まれるけど。レーヴァトス・ホール領地の資源は魅力。カトレア、貴女の暴走。ヴァイオレット家が発展するために利用させてもらうわね。フフフ」

 

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