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??? side 2



暗く残酷な表現があります。

苦手な方はご遠慮下さい。




まず私は弱く小さな光を持つ幼子を観察する事にした。


今まで気にした事が無かったので知らなかったが、人間の子供とは私にとって恐ろしい生き物だった。


自我が芽生える程に成長した人間なら、負の感情を持っている為、私が関与出来る。


だがそれに至らない子供は小さければ小さい程、負の感情を弾く何かに護られており、光を持たないものであっても、関与する事も操った器で殺める事も出来ない。


更に子供は周りの人間から負の感情を減らし、私が最も忌み嫌う正の感情を増やすのだ。

それはその子供に関わる人間に起こる現象で、私にとっては相性が最悪な天敵に他ならない。


しかも容易く近付けると思っていたのだが、一定の距離まで行けば弾かれてしまう。


『聖女』や『聖人』のように光る壁など存在していないのに。


私が見つけた幼子も同じだった。


これではいたぶる事が出来ない。


だが自我さえ芽生えれば近寄る事も関与も出来るはずだ。


なら、それまで待てばいい。

楽しみは減るが元々力が付くまで待つつもりだったのだ。

それまで観察して、絶望が最大限になる方法を吟味しよう。

それもまた一興かもしれない。


ああ、楽しみだ!

あの澄みきった光が濁り黒く染まるのを想像するだけで、かつてない興奮が身を包む。




だが、私の期待は思ってもいない形で崩される事となってしまう。



幼子の観察は私にとって面白くないものだった。


全くと言ってよい程何も出来なかったのだ。


幼子に手出し出来ないだけで無く、その周りの人間にちょっかいをかけても、幼子と接すればたちまち無駄になるからだ。退屈を持て余しながらも仕方無く観察していると、ある事に気が付いた。


幼子の光が徐々にではあるが輝きを増している。

しかもその光は周りの者にも影響している。


今までにも弱い光を持つ者は見た事がある。

だが私が手を出すまでも無くその光は濁ったり、弱まったりし、最後には消えてしまう。


確かにこの幼子の光は、今までのものとは違うだろう。『聖女』や『聖人』よりも澄んでいるのだから。だが、何の護りも無いのに曇る事無く光が増すなど見た事が無い。


この幼子は何なのだ?


疑問に思えど、私の得た知識に答えは無い。

漠然とした不安が私に警戒を促す。


この幼子は絶対に滅せねばならない。


だから私は待った。

幼子に手出し出来るまで待った。


……だが幼子はいつまで待っても手出し出来なかったのだ。



幼子は自らの意志を持つ程に成長した。成長するにつれ、宿る正と負の感情も生まれた。だから早速私は幼子の負の感情に関与した。


だが幼子には何の変化も生まれなかったのだ。


負の感情が増大する事も、光が濁る事も全く無かったのだ。


関与が弱かったのかもしれないと何度も試した。だが変化は見られない。苛立った私は計画を放棄し殺めようとしたが、それは輝きを増した光に阻まれる。しかも幼子に近付き、関与したり殺めようとする度に此方の力が衰えていく。


どうすればいい。

このままだといずれ私が押し負けてしまう。


成すすべも無く憤りながら幼子を見る。


幼子は母親らしき人間に抱きしめられ、その身に纏う輝きを周囲に放っていた。


母親……使えるかもしれない。


今までの観察で幼子が特に心を寄せるのが両親なのはわかっていた。この二人が病になったり、怪我を負うと幼子の感情が大きく乱れる。だが、感情が大きく乱れたとしても私の関与に効果があるかはわからない。もしかしたら強くなった輝きに消される可能性もある。けれどこのまま終わるなど業腹だ。一か八かでも一矢報いる事は出来るだろう。


それに黒く堕ちなくとも、絶望に染まるのを見れるに違いない。


私は幼子の母親を殺すことにした。



だが……

何故だ?

何故、こんな事になる!


後一歩というところで私は光に弾かれ、虫の息だった母親は幼子の放つ光で癒されていく。

更にその光は私を覆い消してゆく。

そして光輝きながら輪郭を失い始めた幼子の顔には私が望んだ絶望の欠片も無く、大きな安堵と少しの悲しみだけがあった。


何故だ、何故絶望しない!

自らの命が散ろうとしているのに!

わからない!わからない!わからない!


嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ!!


このまま消えて無くなるなど許してなるものか!!!


私は残った全ての力を使い、光に滲む幼子にしがみつく。


しがみつく私に気付いた幼子がふわりと微笑んだ後、纏う光で私を包み込む。


毒の様な光の痛みと、胸の中を撫でる何かを感じたのを最後に私の意識は無くなった……





次回はユリウスとシリスが登場します。



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