姿形はちがっても……
話がなかなか進みません。
転生してまだ一夜明けただけです。
うん。
平々凡々と同じく、常識ともお別れみたいです。
悩んでも変わらないなら慣れるしかありません。
とにかく結界は張れました。ならば次に進みましょう。
「一番安全そうな属性ってどれかな?」
喜色満面ご満悦なアリアに聞きます。
「そうですねえ、水属性はどうでしょう?コップに水を満たす、とか?」
アリアはそう言いながら、水差しの横にあるコップを持って来てくれます。
それくらいなら大事にはならないでしょう。
渡されたコップが、綺麗な美味しいお水で一杯になるのを想像したら、コップはきらきら光るお水で満たされていました。
おお、出来ました!
しかもきらきら光る綺麗なお水は、ちゃんと美味しそうです。
丁度喉も渇いていたので、飲もうとコップを傾けた時、
「まあ、水と光属性を合わせたんですね!複数の属性を合わせるのは、魔導師でも難しい事ですのに。やっぱり(私の)リフレシアお嬢様は凄いですね!」
と言うアリアの、はしゃいだ声か聞こえました。
「………………これってただのお水よね?」
「?いえ、聖水です。この世界の聖水は、呪いの解呪に使われます。ただ光属性を持つ者が少なく、持っていても水に効果を封じ込めるのは至難の技ですので、数は多くありません」
「もしかして、かなり貴重なんじゃ……」
「そうですね、各神殿に2、3本あるくらいかと」
……はい、了解です。
あやふやに魔法を使うととんでもない事になるんですね。
だったら……ただの飲み水になってもらいましょう。
!
お水のきらきらがなくなりました。
「ア、アリア、これもう聖水じゃないよね?」
「はい、聖水ではなくなりました」
「やったー!」
声をあげて喜ぶ私を見て、納得とばかりに頷きながらにアリアは言いました。
「聖水ではダメだったのですね。お嬢様はポーションを作りたかったのですね」
は、はい?
「ポ、ポーションって何?」
「ポーションとは、怪我や体力低下時に効果のある回復薬です。ポーションにもランクがあり、これは効果の高いハイポーションですね」
「………………」
……具体的に想像しても、付加価値の付く私の魔法って。
いえいえ、投げ槍になってはいけません。
練習したら、きっと上手に出来るようになるはずです。
属性もたくさんあるし、練習あるのみです。
やるぞ!と意気込んだところで、人の気配がしました。
慌てて結界を解いた途端、扉がノックされます。アリアが扉を開けると、そこにはユリウスお兄様と弟のシリスが居ました。
「おはよう、リフレシア。調子はどう?」
「おねえちゃま、おはよう!」
「おはようございます、昨日よく休んだのですっかり元気になりました」
ニコニコ笑顔の少年二人。私より3歳年上のお兄様も私の1歳年下の弟もキラキラオーラが出ているのは何故?子供なのに。美形は小さい頃からキラキラオーラが当たり前なんですか?
「でも昨日まで何日も昏睡状態だったんだから、しばらくは大人しくしてないとだめだよ?」
「そうです、おとなしくです」
二人揃って眉を下げます(しゅんとしたお顔もキュートです!)。
心配させてしまって心苦しいです(本当は元気なので)。
「はい、大人しく部屋にいますから安心して下さいね」
「うん、そうしてね。退屈しないよう出来るだけ来るから」
「くるからです」
う〜ん。
あんまり来られたら、魔法の練習が出来ないです。
「お2人とも色々忙しいですし、来てもらっても寝ているかもしれないので大丈……」
「何を言うんだ!リフレシアが臥せっているのに、放っとくなんて出来ないよ!それに寝てても大丈夫、リフレシアの寝顔なら何時間だって見ていられるから」
「から!」
……断るのは無理みたいです。
一番最初に、人の気配を感知できる魔法を練習しましょう。
こうして夕食までの間、入れ替わり立ち替わり家族全員がやって来て、唯一練習出来た探索魔法はかなりのレベルになったのでした。
構われすぎるのも、困ったものですね。
と思いながらも、本当は来てくれて嬉しかったのです。
だって姿形はちがっても皆、一葉のパパやママと同じ目をしてたから。
優しくて温かい大好きな目をしてたから……
父、兄、弟がお話では出てきましたが母がいない……のではなく余りにも皆がリフレシアの所に行くので我慢したのです。
でも我慢しきれず皆を回収するフリをして何度か行ってます。
コンコン。
「ユリウス、シリス。やっぱりここにいたのね」
「お母様。リフレシアを独りになんて出来ません」
「ませんっ」
「心配なのはわかるけど、こんなに頻繁に人が出入りしたらリフレシアがゆっくり休めないわ」
「「………………」」
「さあ、お部屋に戻りましょう」
「「はい……」」
「……リフレシア大丈夫?」
「はい、私は大丈夫なのでお兄様とシリスを叱らないで下さいね」
「「「……んんっ」」」
三者三様リフレシアの健気さに悶えるのでした。




