「ねこみみ三分くっきんぐ、なのです!」
わたしのママはねこみみ魔女。パパは人間勇者。なのでわたしはねこみみ勇者。
今日はママがお出かけして、夜まで帰ってきません。
朝と、お昼とごはんの準備はしてくれていたのですが、遊びに来たねこみみ魔王ちゃんがぺろりと食べてしまいました……。
勇者たるもの、料理のひとつやふたつも出来なければ、旅の途中で困ることもあるでしょう。
というわけで、はじめてのお料理に挑戦なのです!
お料理といっても、わたしはまだ子供です。包丁なんかも持たせてもらったことはないですし、子供だけで火を扱うのも危険です。
なので、まずは弟魔女を用意します。
「みゅう?」
「ごはんを作るのです!」
……いえ、弟魔女にごはんを作らせる、というわけではありませんよ?
弟魔女は、意外にもこの歳でいろんな魔法が使えてしまうのです。かまど代わりになってもらおうというわけです。
この間おそとで狩ってきたたまねぎを、適当に伝説の聖剣でぶつ切りにします。
……包丁を持ったことは無いのに、伝説の聖剣を振り回しているのはいいのでしょうか。もっとも見た目はただの丸めた新聞紙なのですけれど。
――あ。
まな板ごと切ってしまいました。さすが伝説の聖剣ですね。
油ははねるとアチチなので、タマネギはばーべきゅーのように串に差して焼くことにしましょう。タマネギだけではあれなので、食料庫をあさるといいものが見つかりました。
「ねこみみ勇者は ベーコンのかたまりを てにいれた! のです」
ふふん、と思わず鼻歌がでちゃいます。厚切りにしたべーこんをあぶると、とってもでりしゃすなのです。いぜんパパ勇者に食べさせてもらったので間違いないです。
よだれが垂れてきました。
えい、っと串をタマネギに差して、ベーコンぶっすりと突き刺します。
「火をおこすのです!」
弟魔女にお願いして、じりじりと炎であぶります。
いいにおいがしてきました。
あとはスープがあればかんぺきだったのですが、さすがにちょっと初めてでは無理です。
完成した串焼きと、戸棚で発見したパンでごはんにします。
「いただきます、なのです!」
「みゅう!」
……タマネギに火が通ってませんでした。鼻がツンとして、涙がぼろぼろ出てきました。
でもベーコンはおいしかったです。じゅるり。
ママは毎日ごはんつくってくれてすごいです。
つぎこそは、ちゃんとおいしーものが出来るようにがんばりたいと思います。にぅにぅ。




