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無理して話さなくていい side K

私は神幸祈。軍人である。


『良い。俺の援護頼む。』


『神幸、俺の援護もしろよ』


隊長の低く落ち着いた声と赤井さんの高めの凛とした声が無線から聞こえる。


『了、解し、ましたァ』


正直隊長の周りに敵兵が沢山いすぎて、完璧な援護が出来る自信はない。

しかも特攻大好きな赤井さんもいる。


いつもなら同じ狙撃手の延命さんがいるから安心出来るのだが、今日は私と隊長と赤井さんの3人での任務だ。

延命さんは立花さんと一緒に他の任務をしている。

(大丈夫かな……)


ところで何故、女の私が軍にいるのか……というのは後々話すとして、私が第十部隊特殊班に入った時の話をしよう。



『たくさん迷惑かけろ』


赤井さんはそう言ってくれた。私は本当に純粋に嬉しかった。軍にはいってから今まで、女だからという理由でどこか避けられ続けていた。そんな私に、『チーム』だと『迷惑をかけろ』と言ってくれた。とても嬉しかった。


『そうだぞ!迷惑かけまくれ!俺らもその分お前に迷惑をかけまくるからよ!』


立花さんは『ククッ』と笑いながらそう言い、延命さんも『僕も同じ狙撃手だから頼ってくれて良いからね。』と言ってくれた。

正直、私みたいな人間がこんな優しくしてもらっていいのかと疑問に思ってしまう。




隊長の福井さんは緑がかった黒髪に黒のたれ目、そして細身だが綺麗に筋肉がついているのが服の上からでもわかる。彼が常に身に着けているナイフ。それは、相棒だとでも言うように彼の腰に落ち着いている。私から見た彼は落ち着いた低い声で正直話しかけづらい。


立花さんは綺麗な金髪黒目で身長はあまり高くないけれどしっかり筋肉がついている。彼があの大きな斧を振り回せる理由はあの筋肉のおかげだろう。彼は緊張してる私に気さくに話しかけてくれる良い人だ。


赤井さんはグラデーションになった赤髪に黒目のツリ目。そして190はありそうな長身に細い身体、そして此処等では珍しい関西弁。背中には日本刀を背負っている。あの風貌に日本刀が足されることで、少し怖いと思っていた。けれど、彼がくれたあの言葉で彼は優しい人なんだと私は思った。


延命さんは、白髪黒目の整った容姿の人。彼は昔絵本で読んだ王子様のようだった。細身で赤井さん程ではないけれど長身。背中には細身だけれど大きな銃。そして延命さんは、とても優しい。でも理由は特にないけど、彼が苦手だなと思った。



これが私から見た彼らの第一印象。



『神幸ぃ〜質問なんだけどさ』


立花さんはそう言ったあとに、

『なんで、サングラスなんかしてんの?』

と聞いてきた。


『えっと………』


あまり言いたくない。昔のことを思い出してしまうから。


私が何も喋らなくなったからなのか、隊長はこう言ってくれた。


『神幸。無理して話さなくても良い。』


隊長には心が見透かされているようで少し不安。でも、隊長のその優しさが私は嬉しかった。立花さんは『あっ!嫌なら全然話さなくても良いからね!マジで!』なんて言っている。その慌てっぷりに少し笑ってしまった。


『ホント、嫌なこと聞いてごめん!』


立花さんは手を合わせながら申し訳なさそうに言う。


『全然大丈夫です。サングラスのこと以外のことならある程度答えられると思いますし。』


すると立花さんは口角をあげながら、私にこう言った。


『んじゃあ……好きな人、いる?』


私は言葉の意味を出来ずに固まる。え、好きな人?すきなひと、スキナヒト……


『……っ、!?』


私は顔が熱くなるのを感じた。こんな男性ばっかりいる中で男性にこんな質問を受けるなんて……!

気のせいかもしれないが、私のとなりのソファに座る隊長や前に座る赤井さんは石の様に固まっているように見える。延命さんはいついれたのかコーヒーを優雅に飲んでいる。


『そ、そそそんなのいっ、いません!』


焦りすぎて噛んでしまったが、気にしない。


『へぇ、こんな選び放題やのに?』

固まっていた筈の赤井さんがそう言った。

さっきまで固まってたクセに立花さんと揃って意地の悪い笑みを浮かべている。


『私は戦うたたためにはいったのであって、い、男性と出会う為に来た訳ではありません!』


私がそう言うと立花さんも赤井さんも大笑いした。


『ちょ、必死すぎ、マジ笑えるッ、』


『しかも、地味噛んでるやんけ、』


隊長は未だに固まってるし、延命さんもコーヒーを飲んでいる。延命さん、地味に笑ってんのバレてます。


ま、そんなこんなで、私の第十部隊入隊は幕を閉じた。



彼女が自室に戻った後

『神幸、真っ赤になってたね〜』


『な、林檎みたいになっててホンマにおもろかったわ』


そう言って立花と赤井は笑う。


『年頃の女性にあんなストレートに聞くなよ』

福井はそうため息をつきながら言う。


『なんだよ、隊長~固まってたクセしてさぁ。本当は気になるんでしょ?このムッツリが!』


福井は『俺はムッツリじゃない。オープンだ。』と的外れなことを言う。それを聞いた二人は隊長の『天然でた!』『オープンなんかい!』と腹を抱え笑っていた。


延命はコーヒーを飲みながら、『神幸さん、かわいかったな』なんて1人呟いていた。

少し空いてしまって申し訳ございません。

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