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例えばこんな高校生活(パラレル)7

成り行きで始まったパラレル高校生編、今回で取り敢えず〆となります。

ここまでお付き合いいただき、誤字の指摘や感想やいいねなどまで頂き、感謝に堪えません。

本当にありがとうございました。


「おぉ、すげぇ! 全部埋まってる 助かったぜ」

「ふっふっふ、昨日頑張ったんだ」

「この礼は、明日な! うまい煎餅でも準備しとく」

「気を遣わないでっていつも言ってるじゃない! ……って、聞こえてないな、あれは」

 明日って、土曜だよな? 


「ん? 鳴木? 何かあった?」

「お、良かった、後ろから肩叩いても怒らなくなったな?」

「いつの話してるんだよ! もう! 少なくともここで私を凶暴とか揶揄う人は……あ、鳴木がいる?」

「そこまでは言ってないだろ? さっき松岡が探してたぜ、返す本があるとか言ってた」

「あ、ありがとう! クラスにまだ居るかな?」

「多分居ると思うぜ? 一緒に行くか?」

「うんっ!」

 こいつら特有の呼吸、揶揄い混じりのやり取りは胸の奥がチリチリ焦げる音がする。


「わっ!」

「……お前はいつまでそれをやるんだ、藤堂?」

「何で、わっ! だけで判るんだよ、ちょっと低めの声にしたのに」

「ここでそんな事してくるのはお前くらいだ」

 ……呆れた声音で振り向くも、その視線は柔らかく藤堂を見つめて、これを受けても顔色ひとつ変えないってどんな心臓してるんだって思う。


「1日で黒田、鳴木、一条か、凄いな藤堂さんは」

 俺の横で面白そうにそんな事を言う滝沢はこの学校に入ってからのクラスメイト、だが

「元々同じ学校だからな、あいつら」

「知ってる、坂本だってそうだろ?」

 その割に……って言葉が続きそうだと思うのは俺のひがみなのか何なのか

 俺と藤堂は今は美化委員を一緒にやってるクラスメイトってところで、最初の頃ほどの構い方はあいつには不要と言われてやっては居ない。

 そりゃ、重そうなモンを持ってるときとか気にはなるが、そーゆー時動こうとする俺を見つけると、いつも大丈夫って言うようにニコリと笑って足を速めて行ってしまう。

 そう、ついさっきも、プリントの束を持つ時目があったが、あいつは一瞬笑顔だけ残してさっさと出て行った。

 俺には……それを押してまで追いかける権利はない。

「切ないねぇ? カタオモイ? お前だってジューブンいい線行ってると思うよ?」

「変なこと言うな、あいつにも迷惑かける」

「だって、気になるんでしょ?」 

「別に藤堂に限ってない、女が重いものとか持ってるの気になるだけだ」

「ふーん?」


 滝沢は多分ゴシップ好きなんだろうなと思う。

 校内の誰と誰が付き合ってるだの別れただの友達集めてよくそんな話をしてる。

 悪気は無いんだと思うが、校内の有名人と縁が深い藤堂が気になるようで、俺にもちょいちょい揺さぶりをかけて来てて……だから、ボロだけは出さないようにしようとは思ってる。

 あいつを高校ココでまで中学の(アノ)時みたいな噂の餌食になんてさせられない。


 ただ、藤堂は結局どこまでも藤堂で……。

 入学式から暫くして、なんとなくクラスの奴らの名前を覚えだした頃

「紗綾ちゃん! 良かった!」

 目を見張る、まさに美少女って先輩がクラスに入るなり藤堂に抱きつき、その後ろで

「静香! だからそれやめろって言っただろ、困るんだぞ相手は」

 呆れたように声をかけたのは、かなりの有名人。

 学校見学がてら来てた奴も多い文化祭の時、開催された試合で強烈な印象を残した英雄(ヒーロー)だった。

 その後も

「だから今日まで待ったじゃない! 颯真の意地悪!」

「だから、藤堂が悪目立ちを……」

 痴話喧嘩? 的なモノを始めたふたりに

「お久しぶりです! 先輩」

 藤堂は大して動揺もせず割って入って

「入学祝いありがとうございます、またお会い出来て感無量です」

ペコリと頭を下げて、目立つ先輩相手の熱烈歓迎をさらりと受けて見せたから

 一気に藤堂はクラスでの注目を集めることとなって。

 

 生徒の多い桜華(ココ)と言えど、一条と鳴木に黒田は十分に存在感を発揮していて、そんな奴らと藤堂が一緒に居ることは多く……つまりは滝沢みたいなやつが藤堂に興味を持ち出す訳で。

 

 もう、最初にアイツに関わった時何が切っ掛けだったかも思い出せない、でも、その後もクラスが変わってまで喧嘩をふっかけてたのは事実で。

 いつの頃だったか、喧嘩をふっかけても流されるようになって、何となく教室まで行くことは無くなった頃……チョークを持って教室に来たんだった。

 あの時初めて聴いた、アイツのあんなに柔らかな声……しかも、相手は男で。


「坂本! 会議そろそろだよ」

「……っ!?」

「ごめん、びっくりした?」

 あの頃から変らない、まっすぐ俺を見る意志の強い瞳、だけど、その声はあの時聞いたような柔らかな声

「悪い、ちょっとぼーっとしてた、出るか?」

 妙に焦って早足で歩き出しても、苦もなく並んで歩きながら

「今日は大掃除が議題だね、またみんな場所の取り合いかな? 仕事増えるねぇ」

 息も乱さず、本当今まで知ってた女子とは違いすぎて、まだ慣れない。

「あ! だけど、仕事は公平にだからね!?」

「判ってるよ、もう、お前がフツーじゃないって事くらい」

 ため息交じりに、降参ってつもりで両手を挙げたら

「うん! だから、任せて!」

 俺相手でも、そんな顔を見せてくれるから。


 …………守りたいと思う。

 やり直しなんて贅沢は言わない、だからせめてこの笑顔が曇る事が無いように、俺ができることがあるならば。

 

ふと気がつけば7話!

全くベースが無いところから書けたことを考えると、やはりこのメンバーは書きやすいし、書いてて楽しいのだなとしみじみ思いました。

このひと月ずーと頭の中は彼ら達でとても幸せな時間でした。


とても良いリハビリになり、いまは新しいお話も書けています……発表までいけると良いのですが。

それは無理でも、この場所の話は時々増えるかも知れません、その時はお付き合いいただけましたら嬉しいです。

ここまで、本当にありがとうございました

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