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例えばこんな高校生活(パラレル)5

いつも読んでいただきありがとうございます。

まるっとたっぷり一条君の回となります。

ただ、いつものテイストより、ほんのり頑張ってる彼です。

楽しんでいただけたら幸いです。

「解けてるじゃないか」

「え? ホント?」

「ああ、その式で問題ない」

 宿題の教え合いっこは、一条の週に1.2回あるらしい朝練のない日にここの公園でって事にした。

 正直早起きはあまり得意ではないけど、それでも一条と会える前日は適度に諦めて寝れるからだいぶマシ、その日だけはパパに怒られないで済むしね

「お前、数学は進歩したけど……寝癖ついてるぞ?」

「え? どこ? ちゃんと梳かして来たのに」

「後頭部の真ん中あたり、その辺は分かりにくいかもしれないが……」

 高校生になっておさげの校則は無くなったから、ゆるくひとつで結んだり、おろしっぱなし、なんてことも増えた、だけどその分時々こんなふうに寝癖がバレる事も有るみたいだ。

 指摘されたあたりを触ってみると確かに明らかに逆立った髪がピンピンと指に当たって

「ゴムかせ、緩く束ねておけば目立たないし、お前の髪なら1時間目終わった頃なら馴染むだろう」

 今日は体育があるから手首に巻いてたゴムを渡せば

「髪洗った後良く乾かしてるか? あと寝る前にしっかり梳かしておけばずいぶん違うはずだ」

 続く言葉のその細やかさはなんか……

「へー……確かにお風呂の後勉強したりもするから、完全に乾かしてはいないかも」

「風邪ひくぞ」

 お母さんだ、なんてこっそり思いつつ後ろに立った一条を見れば、案の定最近は減ってた気がする眉間に皺があるのを見つけた。

「そろそろ出ないとダメかもな」

「え? そんな時間? じゃ、行こっか、髪ありがとね」

 一条の視線を辿ると公園の時計があった……でも、やっぱり針がぼやけてて、思わずため息が出る

「どうした?」

「うん、何か乱視が出て来ちゃったらしいんだ、で、メガネを変えなきゃって話になっててね」

 勉強の時だけ掛けてるこのメガネは前に一条に選んでもらった物だった、今はそれほどママも忙しくないから週末にメガネ屋さんには行けるんだけど……実はこの前行ったとこのは、なんかしっくりこなくて、一条と行ったとこは、いつの間にか無くなっちゃってるしさ。

「あの店、移転したぞ? 葉書来てなかったか?」

 そんな事をつらつら話しながら学校に向かってたら一条の言葉にハッとした、そう言えば来てたかもしれない……私宛の眼鏡屋さんのハガキが、時々来るセールのハガキかと思って……あれ? どこやったっけ? まだ、メガネはいらないしって捨てちゃったかな?

「どこ行ったかは知ってる、俺の方が付き合い長いしな、塾の隣駅だぞ?」

「へー、そんなとこ? 良かった! あそこ行けばこれと同じものもあるよね? もういっそそれでも良いかも! 先週ママと片っ端からかけまくって玉砕だよ? 疲れ切っちゃった……」

「同じもの……って、そりゃ悪いものでは無いが、折角なら他の試したらどうだ?」

「この前20個はかけましたー、でもこれより良いのどころか似合うのなかったんだもん」

「選び方にもコツがあるんだ、次の部活の休みでいいなら見てやろうか?」

 とてもありがたいお言葉が聴こえたが、乗って良いかは流石に迷う、貴重な部活の休みに、わざわざ電車乗ってまで私の眼鏡選びに? いやいやいや……だけど

「不安か? 俺と居ると、また何か言うやつもいるかもしれない」

 急に声のトーンが下がるのに驚くと、私を見つめる心配げな瞳

「そんなんじゃないよ! ただ、貴重な休みにそんなもんに付き合わすのは悪いなって、私は選んだもん、何か言われても平気だよ!」

「なら、連れてけよ、部活が休みったって用事があるわけじゃない、良い息抜きになる」

 私の言葉に瞳の揺れは止まって、本当に楽しそうにそんな事を言ってくれるから

「じゃ、お願いしても良い?」

「ああ」

 こちらを向いて頷いてくれる瞳は優しくて。

 いや、覚悟はしたよ? だけどこんな顔がデフォルトだと、やっぱり色々大変だよなぁ……って、しみじみ思った。



「この角を左、ほら、見えて来ただろ?」

「あ、本当だ! あの看板!」

 学校帰り約束した通り眼鏡屋に向かえば、見慣れたそれに嬉しげに声を上げて。

 全く、案内の葉書とか捨てるか? とも思うが、だからこその、この時間とも思えば俺にとってはラッキーで。

 欲しいものは真っ当に進めば掴めるとは限らない、なら、この想いはどう進めば良いのか? なんて事をらしくも無く考えてしまう。


「ありがとう! なんか納得行かないけど」

「何だ? その言いようは」

「感謝だよ、だけど何で一条が選ぶと、ささっと選んだ3個がどれも良くて、更に色で悩むようなことになるの??」

 いや、別に選択肢は多いほうが良いと思っただけで、困らせる気はなかったと言えば、それは、そうだよねとか肩を落とすと

「変な八つ当たりしてごめん、うん、次はお礼だね」

 なんて商店街を進み出した。

「礼なら貰ったじゃないか、余計な一言はあったが」

「お茶でも飲もう? ここでも良いし、隣の駅行けば莉緒達と時々行ったとこもあるよ? あ! お茶代はママから貰ってるから任せてね」

 深く考えないようにして来たが、学校帰り待ち合わせてして、電車に乗り、喫茶店……他人ひとがしてたら明らかなデートと思うだろう、未体験とは言わないが、そいつらと藤堂は明らかに違う。

 自覚してしまえば、緊張なんて物をしかけているのを感じ、こっそりため息をついて誤魔化す、ここで無様な真似などしたらきっと立ち直れない、だからと言って断るなど出来るわけもなくて。


「処方箋まで渡して来たって? 良いのか?親と見てからで無くて」

「大丈夫、予算の範囲は決まってたし、あのメガネ選んでくれた友達と、前の店に行くって言ったら全部任された」

「余程大変だったんだな」

 思わずくすりと息が漏れれば

「笑い事じゃないよ、本当に全然合わなかったんだから! センスの問題? でも、あれと似たようなの選んだつもりなのに……。」

「だからだろ? 多分」

 あのメガネは形だけはセルフレーム、だけど材質も薄さもメタルフレームの眼鏡に近い、多分、試したっていうのは厚みのあるセルフレーム、それだと幅の狭いものはあまり無いから……なんて事を話しながら、我ながら器用だと思う。

 知識だけ口から流れ出しながらも見てるものも考える事も全然違うことだ。

 お礼だし遠慮しないでと勧められたケーキセット、私も頼むからなんて自分はサンドイッチを選びパクパクと躊躇いなく口に運ぶのを思わず見つめてしまう、今まで俺とこんなとこに来てケーキを勧める奴も、ましてやこんな豪快に食ってるやつなんか居なくて、つくづく脈が無い、って思う。

 だけど、もう、そんな事に傷つく時期はとっくに過ぎて居て

「お前、ここ払うとか言ってたよな?」

「うん、受け取って欲しい、じゃないとママにも怒られちゃう」

「判った、だがな、俺は今まで女とこんなとこに来て奢られたなんて事はないんだ、ギリで割り勘だな」

「お礼でも?」

「そもそも、礼に奢られるシチュエーションそのものが記憶にない、言っとくが眼鏡だろうが服だろうが女の物選んだのだってお前だけだ」

「そう? なの? こだわり有るんだね」

 他のやつとのデートを匂わせても、誰にもしたことがないような事をお前だけにしてると言っても、裏に有る想いなど気にもせず額面通りに受け取ってコテンと首を傾げてる。

 本当に……こいつでなかったら、きっととっくに諦めている。

「だから、来月付き合え、今度は俺が奢ってやる、それでチャラだ」

「えー? そしたら私のお礼はどうなるんだよ、せめて割り勘にしない?」

「無しだな、その次で、なら考えてやるが」

 すると、むう……なんて黙り込んだあと

「判った! その次の次は割り勘だからね!」

 ……単純。

 そもそも俺からのデートまがいの誘いなど断ればそれで終わりなのに、乗せられてその先の約束までしてる。

 本当、他の奴にそんなホイホイ乗せられるなよ? と、思いつつも、こういう言い方なら誘えるのか、なんて事をつい考えてしまったのだった。



前作同様、試行錯誤を繰り返しいるうちに、あれ?あれ? と言う展開になり書いていてとても楽しかったです。


単純、は、多分彼と私は同じタイミングで呟いたと思いますw


思いがけず続いたパラレル高校生編取り敢えず残る所後1話になるかと思います。

あとちょっと、宜しくお願いします。


あ、あと、念のため、処方箋は眼科で視力の測定後出してもらいそれで眼鏡を作ってもらうためのものです。


勿論眼鏡屋さんで測定して作る事も多いですが。

全く眼鏡に縁のない方だと、なぜ処方箋?と不思議に思われるかな?と一応、でした。

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― 新着の感想 ―
[一言] 一条くん、鈍感な紗綾ちゃんに対して、本当に頑張っていますね。何回分かのデート(一条くんにとっては)の約束が取り付けられたのに気が付かないところが、紗綾ちゃんらしいですね(笑)
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