104:新しい防具の為に-1
「うーん、新しい防具かぁ……」
さて、オニオンさんとドーフェさんからアドバイスは受けた。
なので、地道に鍛えつつも、防具の更新はするべきなのだろう。
するべきなのだろうが……思い浮かばない。
「ハリさん。これだと言うのが思い浮かばない感じですか?」
「そうだな。いい感じのが思い浮かばない」
具体的に言えば、デザインやどんな能力にするというのが思い浮かばない。
求められているのは俺の視線を隠す事と、サミさんのマントに見劣りしない程度の性能になるのだが、後者はともかく前者がどうすればいいのかが分からないのだ。
うーん、神殿での購入システム的に、単純に視線を分からなくする、と言う雑な作り方をすると、要求されるポイントが酷い事になりそうなんだよなぁ……。
何かいい感じの原理と言うか法則と言うか、こういう仕組みで動いているという発想を思いつけば、安く出来そうではあるのだが……。
「うーん」
「……。ハリさん、気分転換に行きましょう。ずっと考え込んでいても良くないって、生前の私も言われましたから。何処かに行きましょう」
「そうだなぁ。そうしようか」
うん、駄目だ、思いつかない。
ノノさんの言う通り、少し気分転換と言うか、新しい情報を何かしらの形で仕入れて、新しい発想を得よう。
それで駄目なら……いっそ『イテバレ』に行って、サミさんに相談して見てもいいかもしれない。
費用がかさみそうなので、それは最後の手段だが。
「それでどこに行こうか? いつも通りPSSでお任せしてもいいけれど……」
「そうですねぇ……。あ、闘技場に行ってみるのはどうでしょうか?」
「闘技場? ああ、そう言う事か。確かに行ってみた事は無かったな」
では、何処に行くか。
少し考えて、俺たちはコロシアム……闘技場に行くことにした。
考えてみれば、それぞれの地区には必ず存在しているランドマークの片方であり、決闘の為に定期的に行っている場所ではあるが、闘士ではなく客として、転移ではなく普通の移動手段で訪れると言うのは、初めてになる。
決闘そのものはPSSを介してでも見る事が出来るが、現地で見るのはまた違った趣と言うか、情報量が違う事だろうし、行く意味はありそうだ。
「じゃあ、行ってみようか。ノノさん」
「はい、行ってみましょう。ハリさん」
と言う訳で、俺たちは移動を開始。
糸通りを出て、小通りを抜け、中通りを行き、大通りに出て、主通りに辿り着く。
相変わらずの調和のとれた混沌と言う街並みを抜けて、普段の神殿へと向かう道を逆に移動していき、遠くに見える巨大な円形の建物へと向かっていく。
「結構かかりますね」
「だなぁ。まあ、俺たちの家はどちらかと言えば神殿に近い方だから、仕方がないんだろうけど」
「闘技場に近い方は神殿に向かうのが大変、でしたっけ。確かにそうかもしれませんね」
なお、移動時間は結構なものになった。
これ、俺たちは偶々行くだけなので歩きで向かっているが、日常的に行くなら、何かしらの移動手段か相応の身体能力が欲しい所かもしれない。
「さて着いたな」
「ですね」
やがて俺たちの目の前まで巨大な円形の建物が迫ってきた。
建物の入り口上部には、神殿にも付いている彼岸花と東洋龍に似た生物を組み合わせた紋章が付いている。
今更だが、この紋章と『煉獄闘技場』の主であろうあの女神との関係性はどのようなものなのだろうか?
一見して、そこまで共通点があるように思えないのだが……まあいいか。
「さあ、観戦するなら飲食物の一つくらいは持って入るべきだよ!」
「安いよー! 安いよー! 特製ポップコーンだよー!」
「ピリッ! キリッ! 炭酸が良く効いた水だよー!!」
「屋台が沢山ですね」
「そう言えばオニオンさんたちが観戦に来た時も色々持ち込んでたなぁ。此処で買ったものだったのかも」
さて、建物の周囲には様々な屋台と店が並んでいて、様々な飲食物が売られている。
傾向としては、手で持てて、観戦しながら食べられる品物が多いか。
ただ、購入はまだしない。
闘技場を現地で見る場合のルールが分かっていないからだ。
「とりあえず中に入ろう。情報が足りないし」
「そうですね。入りましょう」
と言う訳で、俺たちは闘技場の中に入る。
闘技場の中は……神殿と同じく沢山の人が行き交っている。
どうやら闘技場からでも神殿と同じように別地区に移動できるらしく、それで沢山の人がいるようだ。
「えーと、観戦は……これか」
「この中から見たい決闘を選べばいいんですか?」
「そうみたいだな」
肝心の決闘の観戦だが、無数のポータルとタッチパネルが設置されていて、タッチパネルから観戦したい決闘を選べば、その決闘が行われているコロシアムの観客席に転移できるようだ。
観戦そのものは基本無料。
観戦が有料になっている決闘は、それだけ人気のある闘士の出る決闘であったり、何かしらの事情でそう言う設定になっている決闘に限られるようだ。
うーん、前者はともかく後者はどういう事なんだ?
よく分からない。
「どれを見てみましょうか……」
「そうだなぁ……」
決闘は次々に行われ、終わっている。
俺とノノさんは少し転移先に悩み……。
「これとかどうだろうか?」
「そうですね。見てみましょう」
初めてという事で、無料の中から適当に選ぶことにした。




