ⅩⅡ
僕が東京に戻ったとき、すでに学校中に僕のことが知れ渡っていた。
幸い、そこそこな女子校に通っていたこともあり僕のことを茶化してくる人はいなかった。
けれど、まぁこれが金持ち女子特有というか面倒なところだが、
処女ではなくなったことを軽蔑してくる人はいるわけで。
学校に戻った日から、僕に対する虐めが始まる。
それまで仲の良かった子、友達だと思っていた子はみんないなくなった。
"レイプされた憐れな子"
"薄汚れた汚い子"
それはもう散々な言われようだった。
バケツの水をかけられ、机を捨てられ、椅子には接着剤が塗られていた。
本を盗られ燃やされて、挙げ句の果てには階段からの突き落とされた。
このことが原因かは分からないが、僕の左足の骨は欠け、足首の靭帯は溶けてしまっていた。
今では足首の関節はぐらぐら、すぐに捻ってしまう。
サポーターなしでは走ることさえままならない。
それでも僕は学校に通い続けた。
僕には、ずっとなりたい夢があったんだ。
色々なことがあり、諦めてしまっていた夢を思い出したんだ。
僕はずっと、理学療法士になりたかった。
怪我をした人たちの心身をサポートするスペシャリスト。
僕の夢を叶えるのに今の状況は好都合だった。
怪我をした人が抱く気持ち。
自分自身へ気持ち、周りへの気持ち。
少しずつ違うことに気が付けた、この体験は貴重なものだった。
だから、何があっても我慢するつもりだったんだ。
あんなことさえなければ、全て平和に終わったのに。