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同期集結

 仕事も少しずつ覚え、客先にも顔を知ってもらい、自分で判断できる事が増えてきた。


 同期にも先輩にも上司にも恵まれ、体育会系のノリの営業部はとても居心地が良かった。


 付き合いでの飲み会や部署での飲み会は多かったが、その分、人脈も増え親しくなれたり、情報交換したり、仕事をする上で大切な事を与えられる場でもあるのかなと思っていた俺は積極的に参加した。



 以前、木村さんが言っていた他部署との飲み会。

 木村さんから言われてから1ヶ月後くらいに開催された。


 営業は木村さんを入れた5人の同期全員、あとは、受付、総務、経理、技術部の同期の人が集まった。

 総勢12名。

 みんな顔は知っているけど……くらいの情報しかない。

 けれど、みんな同期入社。

 自己紹介を兼ねたあいさつを1人ずつ始めた。


 技術部の3人はいつも黙々とパソコンに向かっているイメージだった。

 たまに見るとヘルメットを被り、工場内の試験室で何かやっていたり、商品の事を知り尽くした人たち。

 営業の俺たちは突っ込んだ事まで聞かれるとすぐには回答できず一旦持ち帰る事が多い。

 技術部の人たちに聞けばすぐわかったり、膨大な資料の中から必要なものを出してくれるのも早い。

 営業の俺たちからすれば神様みたいな存在だ。

 いつもパソコンにかじりついていたので声もかけにくかったが、いざ話してみるとそんな事もなく、パソコンにかじりついていてもちゃんと話は聞けるから、と、全然声かけてもらって大丈夫だよ、とまで言ってくれた。


 一番他部署で顔馴染みなのが受付の2人。

 と言っても挨拶程度だけど……。

 出る時にいってらっしゃい、帰った時のおかえりなさい、ほんとに元気が出る……。

 この場を借りてお礼を言った。


 総務と経理の女の子は特に今まであまり話す機会がなかった。

 営業部にも何人か事務職の先輩女性社員がいて細々した処理はその人たちがしてくれるので接点があまりなかった。

 せっかくなので2人とも話してみた。


 総務の窓川さんと経理の入江さんは2人とも大人しい感じの人だった。


「2人ともほとんど話した事ないよね?」



「そうですねーー。 あいさつを何度か……くらい?」



「ですよねーー? 営業の曽根です。 同期なので仲良くしてください……」



「こちらこそ……。 曽根さんは地元?」



「あ、地元です。 2人は?」



「地元です……」



 聞くと、入江さんは高校が隣同士だった事がわかり同じ電車に乗って通学していてびっくりした!


「えーー、じゃあどこかでは会ってたはずだよねーー?」



「その可能性はありますよねーー」


 一気に距離が縮んだ。


 窓川さんは地元だけど少し離れた場所にある女子校出身だった。


 2人とも同じ大学らしいが学部が違ったのでお互いの存在を知らなかったらしい……。


 俺と入江さんは共学だったので女子校に興味があった。


「いや、そんなに変わらないと思うよーー」



「ラブレター貰う子もいるって聞いた事あるけど?」



「あーー、中にはいたかも知れないねーー。 けど、私の周りではなかったかな……?」


 2人とも大人しいけどとてもいい子だった。


「今日からちゃんと同期仲間ね。 困ったら助けてください……。 よろしくお願いします……!」


 彼女たちも笑って応えてくれた。


 いい飲み会になったなぁ……。

 木村さんに感謝だな……。


 時間になったのでお開きとなった。


 酔い覚ましに歩いて帰る人もいれば、俺みたいにいつもは車でも今日だけは電車で帰る人もいた。


 俺は同じ電車組の窓川さんと話しながら駅へ向かった。


「窓川さんは実家暮らし?」



「そうそう。 曽根さんは?」



「俺も実家。 母と2人だけどね」



「きょうだいは?」



「俺、一人っ子なんだよ。 父とは母と離婚してから会ってないかな。 窓川さんは?」



「うちもね、両親は離婚してるの。 母は再婚したけどその人ともうまくいかず別れちゃって……、母と妹と3人暮らし」



「そうなんだーー。 いつもは車でしょ?」



「そうだよ。 車で45分くらいかなーー?」



「俺も車。 電車乗るの久しぶりなんだよ」



「一緒、一緒。 ちょっとワクワクする……」


 窓川さんは大人しい雰囲気だけど、意外に些細な事も楽しめる人なんだなと思った。

 少し話しただけなのに第一印象が少し変わった。


 電車に乗った窓川さんを見送った後、俺も電車に乗った。


 今頃、電車に乗ってワクワクしてんのかな……?


 それを想像すると俺もクスッと笑ってしまう。

 窓越しに見る夜の風景を見ながら、窓川さんの事を考えていた。

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