スピリチュアル・ジャーニー
ファミレスを出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。
帰り道、電気屋さんの前を通ると、ショーウインドウに置かれた数台のテレビには、清純派アイドル・まきりんの映像がひっきりなしに流れていた。人気急上昇中で、最近テレビで見ない日はない。まきりんは、テレビの中で、
「まきりんは、乙女なので、おとめ座なんです!」
とか、ぶりっ子にコメンテーターと話している。
「……あ、この子」
と、私が呟くとジョージが、
「あぁ、この前の相談でお前が朝まで付き合った子だな。清純派で売り出されちゃ、いろいろ溜まるよな!」
と、言った。
……真希さんも、自分に嘘をつかなきゃいけない世界で、思い通りに行かない人生を一生懸命生きていたんだ。
『人の価値観を否定して自分を正当化するのはよくないですよ』
あの子に言おうと思ったこの言葉、今思えば、これは私が気がつくべきことだったんだ。
「ジョージ、私、気づいたんだ。受け入れないのも、押し付けるのも、間違ってたって。大切なのは、等身大の自分で“受け答える”ってことだけなんだ。私は自分の人生を受け入れないで、人の人生に、私を押し付けてた」
「お前はやっと、お前自身の答えを見つけたんだな」
「ふふ、そうみたい。でも、まだはじめの一歩。見つけ出さなきゃいけない答えは、きっとこれからもいっぱいあるんだ」
「梨花、占い師のバイト、辞めてもいいぞ」
「えっ?」
「そもそも、相談に満足したらお守りを次の人に回すってルールだけで、相談者から金なんてとってねーんだ。いろんな人の人生を見て、悩んで、傷ついて、恋をして、お前は成長したよ。これはな、俺なりの親の愛情ってやつだったんだよ」
「……そうだったんだ。……ありがとう、ジョージ。でも、私、もっと、たくさんの人に出会って、いろんなことを感じたい。いろんな痛みや喜びを知って、それで、ちゃんと、誰かの力になりたい! ……もし、ジョージがよかったら、私、もう少しこの仕事、続けてみたい」
「……お前がそこまで言うなら、やれよ。でも、バイト代はもう払わねーぞ」
「うん! わかった!」
「なんか、腹減ったな!ラーメンでも食いにいくか?梨花の奢りで!!」
と、ジョージが叫ぶと、守と翔も勢いよく、
「行くー!」
と、飛び跳ねた。
「あっ流れ星!」
守が空を見上げて指さした。
4人で空を見上げる。
もしかしたら、この空の向こうにある無数の星たちは、私たちの運命を知っているのかもしれない。星々は、たくさんのヒントを教えてくれるけど、答えは決して教えてくれない。私たちは明日を知ることはできないし、思い通りにいかない今日に嘆き悲しんでばかりだけど、この空は、きっと素晴らしい未来に繋がっている。
そう願って、空を見上げる。
人生は障害物走と同じ。たくさんの障害にぶつかって、たくさんの人と出会って、私たちの心は強く美しく成長していく。私たちが生まれるずっと、ずっと昔から、何度も逃げて、何度も挫折を繰り返して。
この人生は私たちの心の成長の物語。わからないことばかり。
心の旅は続くよ、どこまでも。
最後まで読んで下さってありがとうございました!
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凪海 ゆずき




