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第二十話


「議会に参加したい?何のためにです?」



ジューノ地方の解決の為、議会への働きかけをすべくグランが執務室に呼んだのは

先王亡き後、未熟なグランのサポートを今日に至るまで務めた人物である。



エノルヴ王国大臣、ドラノス。

グランにとって叔父にあたる人物で先王の実弟である。

歳はグランより二回りほど上で、四十代半ばのはずだが、

醸し出す雰囲気からか、年齢不詳に見える人物である。



幼かったグランに代わり王族の悲劇に揺れる国内の政治を整え、

グランがあらゆる面で最も信頼し頼りにしていた人物である。


現在、グランに来る報告はほとんど全てが大臣を経由する。

当然のことながら、国内の貴族はもとより議会での影響力も大きく、

グランが議会改革をしようと思った時には避けて通れない人物である。



だからこそグランはこのドラノスが、

今回の事態をどう捉えているのか確認したかった。



ジューノ地方の実態を把握している上で黙認しているのか、

それとも王妃のように、グランの知らぬところで解決に乗り出しているのか。

いずれにせよ、ジューノ地方の現状を全く知らないとは思えない。



今の貴族のための議会を、国民のための議会に変えていく時に、

これまでのように後押しし支えてくれるの人物なのか、

障害となり袂を分かつことになるのか。



グランは長年支えてくれたドラノスを信じたい気持ちも強く、

まずは直球でぶつけてみることにした。



「…ジューノ地方について良くない噂を聞いた。

それについて皆の意見を聞きたいと思っている」

「ほう…良くない噂、ですか。一体どこから?」

「初めて聞いたのは、先日、城下に視察に行ったときだ」



正確に言うとその時に聞いたミックの話だけではなく、

街の様子、オーグ伯令嬢とのお茶会、王妃の集めた情報と疑念は深まったのだが、

何となく今はまだその話をすべきではない気がした。



何せ相手はこれまで政治の中枢にいた人物である。

情けないことに自分が「傀儡の王」であるならば、

残念ながら操り手の筆頭に名があがるのはドラノスが筆頭である。



「市場の賑わいがないのが気になり、聞いてみたのだ。

何人かの者が、ジューノ地方の水害の影響で品物を出せない、と言っていた。」


「なるほど…珍しく視察に行かれたと思ったら。

まんまと騙されてしまったのですね」


「騙された、とは?」


「城下の者どもはジューノ地方のことを理由に、あえて品薄状態を作り、

商品の値段を吊り上げようとしてるんです。

報告書にもあったでしょう?ジューノ地方は特別減税措置もとっているし、

補助金も送っていますよ。

平民達は単に怠けて楽をしたいだけなんですよ。」


「…ジュノス伯は領地を放って、家族で東に行ったと聞いたが。」


「ええ、もちろん報告で聞いておりますよ。

領地の復興がようやくひと段落ついたので、旅行にでもでかけたんでしょう。

ジューノ地方は安泰です。王が心配することはありません。」




ドラノスはぴしゃりと言い切った。

今までのグランだったらそれで納得していただろう。

この目で見た、あの市場で果物屋の様子が嘘だとは思えない。



グランの納得していない様子に気付いたのだろう。

眉をひそめ声を小さくして、ドラノスは続けた。



「ははぁ、近頃こそこそしていると思ったら…

視察についていったあの平民上がりの騎士か、

もしくは王妃にでも何か吹き込まれましたかな?」


「どういうことだ?」


「あの王妃には困ったものです。

これまでも何かにつけてこちらに意見してくる。

彼の国へのメンツがありますゆえ、邪険にもできず困っているのですよ。

まったく、行商の話など吹いて消えるような話だというのに」



「王も、余計なことを考えている暇があれば、

側妃のもとへでも通って、どんどん子作りに励んでください。

それも王の立派な仕事ですぞ。では失礼」



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