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序章編ー4


4


他校の男子を救ったハルトは近づいてくるユズキに問いかける。


「ユズキ、回復系の異能アビリティは使えるか?」


「う、うん」


「力を貸すから彼を回復系の異能アビリティで治療してほしい」


そう言うとハルトは鞄から黒き異能輪郭アビリティリングを取り出し、自身の右腕に装着する。


異能輪郭アビリティリングとは、異能アビリティ発動時の負担を大幅に軽減するなどの機能を備えた補助デバイス。


装着しなくても異能アビリティを使用できるが、3〜4回使用しただけで体力が尽き、意識を失ってしまう。


「分かった」


ユズキも自身の鞄からオレンジ色の異能輪郭アビリティリングを取り出し、利き手の右腕に装着した。


「準備できたよ」


「始めるぞ」


隣にいるユズキのしっとりと柔らかい左手を握ったハルトは瞳を閉じ、体に力を入れると異能輪郭アビリティリングが綺麗な紫色に発光する。


この発光こそ装着者が異能アビリティを発動した証拠であり、装着者が強力な力を持つほど輝く。


治癒異能コンソーラアビリティ発動!」


彼から力を借りたユズキは回復系の異能アビリティを発動。


彼女の右手のひらから放たれた緑色のベールが男子生徒を優しく包み込み、傷を癒す。


「な、治ってる?!」


「これで大丈夫だ」


「ありがとうございます。僕なんかのために……」


「自分のことを悪く言うな」


「は、はい。助けてくださり本当にありがとうございました」


深々と頭を下げるとその場から去っていく男子を見送った2人は右腕に装着している異能輪郭アビリティリングを外す。


「優しいねハルトは」


「ユズキだって優しい。それより体の方は大丈夫か?」


「うん、少し体が重たい気がするけどハルトが力を貸してくれたから」


「すまなかった。いきなり異能アビリティを使わせて」


「ううん、もしハルトがいなくてもこうしてたと思うから」


「ユズキなら必ずそうしていたさ」


「……それにしても酷かったね」


異能者ミュータントとそうでない者の軋轢が今だにある証拠だ」


世界中で異能者ミュータント無能者エラーとの軋轢や差別は今だ改善されていない。


中には無能者エラー無能者エラーの人を集団で虐げる事例も多くある。


「とりあえず重大な事件にならなくて良かった」


「そうだね。私たちの学校の生徒が事件を起こしたなんてことになったら色々と大変だから」


「評判が下がるところの騒ぎじゃない」


「それにクロウナ様の息子が通っている学校だから余計問題視されるよ」


義理の母親ではあるが、ハルトは四天王の1人としてここ『ヘギラス』を治める最高権力者、クロウナ・ディバマリスの息子なのだ。

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