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予兆

この避難所は政府に一番近かった。

次の化け物による襲撃の規模が今までになく大きくなることが判った。そのため、時間がないこともあり、政府は一番近い避難所に配置されていた警察と自衛隊の部隊を政府の防衛に当たらせる決定をした。この避難所は見捨てられたのだ。


無防備になった避難所へ化け物が襲い掛かる。一刻も持たずに瓦礫の山になるだろう。

どこにも行き場がなかった避難所の人たちは蹂躙されることを覚悟した。ひたすら政府を憎みながら。


假屋崎は政府に単独で向かっていた。自衛隊が許せなかった。政府の命令を断れないのは指揮系統上、理解できるが、それでもこの非常時において一般人を見捨てる行動は我慢ならなかったのだ。

「俺は1人でも多くの奴らを道連れに死んでやる。これが俺の生き方だ。」


假屋崎は笑っていた。最後に豪徳寺とハルカと交わした会話を思い出したから。

「どうせお前たちは、ここを守るために戦うのだろう。」

「お前は自衛隊の連中が許せないのだろう。」

「最後まで自由な人ね。」

嬉しかった。人間の扱いをしてくれたことが心に沁みた。


政府はなぜこのような動きをしたのか。

化け物の集団の通り道に避難所がある。そのため、化け物が避難所を襲っているところにナパームミサイルを複数打ち込めば壊滅できる。この作戦を自衛隊に実行させるために呼び寄せたのだ。避難所は体のいい囮であり、生贄だ。

自分たちは選ばれた上級国民であり、一般人はそのための捨て石扱いをしてもよいと考えている者ばかりだった。

もともと、本気で一般国民を救済したいと考えているものは政治家などになるはずもない。それほどまでに中枢にはびこる役人どもは人間の皮をかぶった悪魔そのものだった


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