親友
堂島 亘は警察官だ。深夜の人気がない高架下で苦しんでいた。
自分の体が植物の化け物に変化することを受け入れられずにいた。
「どうしてこうなった。」思い至ることはある。
先日の“死の実”を流通させている売人のアジトを検挙する際、ミキサーにかけられていた“死の実”の液体を顔面に浴びせられたのだ。咄嗟のことで目をつぶることしか出来ず、
不本意ながら口から数滴を体内に取り込んでしまった。大量に摂取した訳ではないので同僚に気づかれないようにその場はごまかした。その後、何とか近くのビルのトイレにたどり着き意識を失った。
翌日から、深夜になると体が熱くなり暴れたくなる衝動が抑えられなかった。
寝巻にしているジャージのまま、深夜の街を走り抜け高架下にたどり着く。
「ウオッー!!」叫び声を放つと、体から無数の触手が枝葉のように飛び出す。
体の中心が縦に裂け、牙と消化液にまみれた食虫植物の姿が現れた。
俺は化け物なってしまったのか。生き物を食べたくなる衝動と戦いながら慟哭した。
堂島は、避難所を巡回中に豪徳寺を見つけた。女の子と一緒だった。
「よお、豪徳寺!」
「おう、堂島、久しぶりだな。」
「お前も避難所に来ていたのか。災難だったな。」
「この騒ぎじゃ仕方ないさ。」
「違いねえ。ところでその女の子は誰だ。」
「ああ、親戚の子だ。一緒に避難している。」ハルカは隣で不服そうな顔をしていた。
「しばらくはこの避難所にいるんだろ。俺は仕事中だからもう行く。また会おう。」
「おう、がんばれ!」
2人は何気ない会話をしたが、内心は嬉しくて仕方なかった。警察学校の同期であり親友だったから。




