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ヒロインの姉に転生したので!  作者: ユナユナ
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第一話 ヒロインの姉ですが、人を合法的に殴ります(予定)





転生。

私はこの瞬間、前世で慣れしたみ過ぎた娯楽用語を思い出した。



「ミルフィニアに愛を与えるも、受け取るも私だけだ。ーーーーこの先も永劫に」


「そんなの母様が可哀想だ。母様はミルフィリアとリーフィニア、ボク、そしてアンタが幸せに暮らすことを望んでた!きっと今だって空の上でーーー」


「黙れ!!ミルフィリアだけは今日より本邸で暮らす。

リーフィリアとお前は別邸だ。

資金は好きに使え。貴族としての役割を果たすならば何をしてもかまわない。

ただし、用が無ければ本邸には来るな」


あ、父様、攻略対象じゃん。

なんか老けてるけど。

ヤンデレ枠だけど。


場違いな感想を持ってしまったが、私は中世的な顔立ちのイケメンが大好きです。

そして髪の色素が薄いのも、目が真っ赤なのもちょードストライク。

父様に反発している10歳くらいの男の子はまあ兄なわけだが、この子は赤い目が父様より透き通ってる感じがいい!

色見が薄いんじゃなくて透明度が高いのが、若々しくて純粋なこと表れててイイね!!


眼福ではある。というか1回死んでおきながら視界が贅沢過ぎる。

でも、父様が私を見る目は冷たい。

私はだから兄様の背に隠れている。

私は残念ながら自分が冷たく扱われて興奮できる質ではない。


怖い…というかまだ10にもならない体では相手を殴ってもね。

なんか殺される予感が…。


微かに兄様の後ろで身じろぎすると、サラッと肩まで伸びた自分の髪が視界に移る。

色素が薄い鋼色の髪。

ちなみに私が鋼色が好きだというどうでも良い話はさておき、こうなりゃ自分の目の色も分かる。

父様や兄様と同じ深紅。少し違うのは瞳の中に母様譲りの黄色の輝線が入っていることくらい。

でも、父様の後ろに隠れているあの子はもはや母様の生き写し。

異世界の血を引く証たる黒髪黒目という希少な色見だけでなく、その言動までが母様とそっくりな私の妹。

母様亡き後、私たち兄弟の中で唯一父様に愛された子、ミルフィリア。


ミルフィリアは私と兄様と目を合わせたくなくてうつむいたまま。

きっと心の中は罪悪感でいっぱいだ。


ここまで来たら私の正体も分かるだろうけど、私の名はリーフィリア。

兄、グレイスの妹であり、ミルフィリアの双子の姉に当たる。


私たち三兄弟は元々父様には無視というか存在を抹消されたかのように扱われたが、母様は優しかった。でも、母様がはやり病で死に、父様に今まで見向きもしなかったミルフィリアを慈しむ様になった。

なんて都合のいい…でも、同じく母様を失って親の愛に飢えていたミルフィリアはそれに縋った。

身代わりでも良いから心の傷の舐めあいたいのだろう。


これも二作目の乙女ゲーム通り。

分かってはいても父様のお奇麗な顔面に一発入れたい。

やらないというか、やれないけど。


いえ、見た目は最上で御座いますよ、ええ。

そうじゃなきゃ二作目で前作のヒロインの夫として登場してファンがアンチではなく歓喜するくらいの人気キャラに成れませんからね。

異常感がまじぱあねえ、らしい。

悪友が周回しまくって神と崇めていたのをドン引き、いや、うわあ…と思いながら見てたしね。

私も顔は好み。鑑賞用にしたくなる顔だ。

ヤンデレ要素もいい。


だが!!


無口なツンが多い野郎は無理なのだ!

これの家族とかもっとハードルが高いわ!!


私自身、交渉術には自信がない。

無口でツンでヤンデレ、その三拍子揃ったやつに対抗できる自信はない!


それに今だって…


「兵士、こいつらをつまみ出せ。

ケガはさせるな、面倒だからな」


こいつ、人の親か?


兵士さん、めっちゃ申し訳なさそうな顔してんじゃん。

でも、給料いいから父様に逆らえないんですね、分かります。


「父様、まだ話は…!」


「兄様、諦めましょう。兵士さんが困ってます」


「だけど、リーフィリアっ、君とミルフィリアは双子なのに…!!」


どうしたらあの父からこんないい子が生まれるのだろう。

あ、母様の遺伝か。

でも成長すると表情筋は父様に似て死んでしまうんだよな。

今のうちに泣き顔拝んどこ。


「仕方ありません。

兄様…生まれは決められないのですよ」


ミルフィリアは大切な妹。いつも私の後を付いてきてくれた。父様に突き放された日に一緒に泣いてくれた。大好き。でも、

そう、生まれは決められない。

けれど、未来なら…そう思って口にした言葉は兄様に正しく届くことは無かった。


「リーフィリア、君にそんな悲しいこと言わせたくなかった…!!」


私をいつもは優しく抱きしめてくれる兄様の抱擁は、その日、ちょっとだけ痛かった。










それから私と兄様は別邸で暮らすようになった。

ま、最初はじょーきょーせいりだね!

一作目については記載事項はない。

ヒロインである母様はもう死亡済み。

まあ、プレイヤーは同じ世界に二人も要らないからね。

ヒロインって愛され属性だし、王子とか国の中枢人物手玉に取るから、そんなのが二人いたら世界が破滅する。

だから、今作のヒロインがまだ幼く、その属性を発揮できないうちにポックリいってもらうのだろう。


次に二作目。

主人公の名前は…ミルフィリア。

私の可愛い妹。

ちなみにラスボスは父様です!(にっこり)

つまりラスボス期に入った父様への抜刀は許される!!


なんでラスボスになったかは自業自得。

母様の代わりとしてミルフィリアを愛した。ミルフィリアの母様とは違う部分があればひどく叱責して矯正させた。なのに、ミルフィリアの個としての部分さえ好ましいと思うようになり、次第に自分の愛が分からなくなってしまう。

自己の精神の壊滅を恐れ、ミルフィリアを一旦学園に入学させるが、彼女はそこで運命の出会いをしてしまうーーヒロインだからねーーー、そして父様もその頃から母様が亡くなった真実に勘付き始める。

国が愚かな選民思想でまき散らした病の実態を。

で、その真実を求めるために父様は魔族を呼び出した。

父様は対価を問うが、魔族は貴方の傍で仕えることだと言う。

傲慢な魔族のあまりに謙虚な物言いに父様は不審さを抱くが、魔族の優秀さと先走る気持ちゆえ目をつむってしまう。

そして父様はその病の研究者を突き止めることに成功。

その人物は二作目攻略対象であり、学園の教員。

エクアドル先生。

彼は狂ったマッドサイエンティストだった。

この先生はミルフィリアが先生のルートに入らなければ、他のどのルートでも父様に殺される。

まあ、これも自業自得だしね。

父様はようやく先生を殺害したところで、父様に仕えていた魔族は父様に短剣を突き刺す。

そして崩れた父様の体を優しく支え告げるのだ。


『さあ、その憎しみと贄を糧にご誕生ください。

ーーーー我らが魔王様(お父様)


ここめっちゃエモい!

父様は黙ってさえいれば線の細い儚げな美青年。(美中年?)

そんな顔面暴力が力なく倒れて、生気を感じられない酷薄な笑みのイケメンに恭しく頬をさすられながら展開していく魔法陣。


そして父様は魔王へと生まれ変わり、合法的に殴れ…痛めつけられることの出来る存在になる。

なーんで父様が魔王にされたのかといえば、一作目は魔王討伐のストーリーだったから。

当時の魔王の側近であったその魔族は、父様の魔力量の高さと洗練された技、そして冷酷で傲慢な心に心酔していた。

父様が幸せであった時期は手が出せなかったけど、自業自得で心が弱った父様を操り自分を召喚させたのだった。


そして愛する父を取り戻したいミルフィリアは、父様を救うために仲間とともに立ち上がるーーー。



……。


これ、壮絶な身内の喧嘩では?

え、身内の喧嘩に世界巻き込まれんの??

そんな世界、やだあ。


まあ、すぐに滅ぶ世界、それが二次元だから…

うん、諦めよう。







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