人間カタパルト(マジ)
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ツヴァイが竹本たちを率いて、聖樹カルタスの周りの湖に橋のように掛かる一際大きい根に向かった。
「これは根橋といって、聖樹への橋でもあり、中への入り口でもあるんだにゃ。」
竹本の横で歩いていたミーシャが説明する。
確かに、根の一部に大きい穴が開いていて、そこから住民が出入りしている。
「これが1番根橋で、後4つ根橋があるんだけど、まだ他の地区に人がいないからみんなこの根橋を利用しているにゃ。」
「他の地区?」
「うん?あぁ、長たちがこの後説明すると思うから、後で聞いてちょうだいにゃ。」
竹本が突っ込むとミーシャがはぐらかす。
もっと聞きたいのは山々だが、そう言われればしょうがない。
根橋の入り口は、左右の照明が照らし、上部に金色の文字で“1―北,3”と彫られていた。
恐らく、一番根橋、北3番出口を指しているのだろう。
一行が入ると、そこは高速のトンネルのように広い空洞が左右に続いていた。
ただ、高速のトンネルと違って、エレベーターで見たようなシャンデリアが等間隔で天井を照らし、壁にも暖色の光を灯すブラケット型の照明が道を照らしていた。
トンネルの床にはわずかな光の膜が張っており、そこに足を乗せた者は滑るように運ばれていく。
「皆さん、まだ道に出ず、Dカードを出して下さい。」
ツヴァイがDカードを出しながら一向に言う。
竹本たちがDカードを出すと、チャリン!という音ともに『4℣の入金がありました』という通知が来た。
あ、ここには独自の通貨があるんだ、そう思うまもなく、
「この根橋はスキムロードといって、特殊な道で、入場の際にはDカードをこうやって――」
ツヴァイが日本の駅で見かけるような改札機みたいな物にカードをかげると、これまた聴いたことがあるピッという音ともにフラップドアが開く。
「――入ります。大丈夫ですか?」
みんな頷く。なんでだろう?既視感たっぷりの仕組みだ。
一行は一切迷うこともなく入場する。
「大丈夫そうですね。えっと、次はスキムロードに乗るのですが、この機械――」
本線に合流する形で斜めに付いた短い道に、棒状のハンドルが付いた機械が何台か置いてあった。
機械の間の地面にはエスカレーターみたいに動物用と人間用の足マークの光が投影されている。
「これは射出機といって、この両側のハンドルを握ると、機械が安全を確認すると、我々をまぁ、文字通り、射出します。」
この人は何を言っているんだと人間たちがツヴァイを見つめていると、後ろから他の客が入ってきた。
「あぁ、丁度いい。」
ツヴァイが客である茶褐色の大型犬を呼んで耳の中に何か言うと、その客が光に包まれ、若い茶髪の女性に変身した。
「皆さん、よく見ていて下さいね。」
そういうと、その女の客は機械の間に入ると左右のハンドルを握る。
すると、道路の合流口で黄色光が点灯し出して、機械の方で短い警報音が鳴る。
機械が低く唸りを上げ、次の瞬間、床下の光が一斉に弾けた。
女の身体がふわりと浮き、そのまま滑走路を滑るように加速していく。
まぁまぁの速度、恐らく速い自転車ぐらいの速度、で道に出た女の客は滑るように行ってしまった。
「あんな感じで行きます。皆さん大丈夫ですか?」
竹本たちは顔を見合わせた。
誰も言葉を発しない。
「結構、安全ですし、慣れれば楽しいですよ。」
ツヴァイが不安そうな様子の竹本たちに発破をかける。
隊員たちが自分を見つめている、先陣は自分が切るしかない。
「よし!」
竹本が気合を入れながら前に進む。
さっきの客みたいに機械の間に入るとヴォンという重低音な音がした。
こっから見る景色は競馬のスターティングゲートで出走を待つ競走馬みたいだ。
「両側のハンドルを持って、肩の力を抜いて下さい。」
ツヴァイが後ろから声を掛ける。
竹本はフーッと息を吐く。グローブの中は手汗でびしょびしょだし、マスクの中も汗びっしょりだ。
両側のハンドルをしっかり握ると、さっきみたいに警報音が鳴る。
「最後は手を離してくださいね!」
ツヴァイが唸り声を上げる機械音の上から言う。
そして、一瞬の浮遊感と共に一気に体が引っ張られる。
竹本はギリギリの所で手を離した。
最初はびびって屁っ放り腰だったが、数秒後、意外と安定している上、思ったより怖くないと分かって普通に立てるようになった。
感覚的にはアイススケートみたいな感じで、滑るように動けば加速する。
「そうそう、上手いにゃ。」
右後ろから優雅に滑りながらミーシャが追いついた。
後ろを振り返ると慣れたのか他のみんなも遅れることなく着いて来ている。
「みんなが追い付くまで少し待つにゃ。」
竹本は言われた通り、ミーシャの横で足を動かさずに皆が追い付くのを待った。
隊員たちが追いつき、楽しそうにしていた。
ツヴァイがすうーっと最後尾から前に滑り出た。
「みなさん、大丈夫そうですね。じゃあ私に着いて来てください。」
そういうツヴァイを先頭に竹本たちは遡上する魚の群の如くスキムロードを走り出した。
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