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飛猫~イフ~  作者: 秋華(秋山 華道)
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三毛猫?ルート突入w

放課後、豊は職員室の佐々木先生を訪れていた。

「先生、転校生の川上さんの連絡先とかって教えてもらえないですか?」

豊は、とにかく幸恵が心配だった。

イジメが原因なら、それも自分と仲良くしていた事でイジメられていたのなら、なんとかしてあげたいと思った。

もちろんそれだけではない。

可愛くて、音子に似ていて、とにかく放ってはおけなかった。

しかし、一度しか会った事のない人を、どれだけ想ったところで、この世の中どうにもならなかった。

「なんだ山下?駄目だぞ。川上は可愛いかもしれないが、いきなり家におしかけるのはどうかと思うぞ。」

これはもちろん、担任佐々木先生の冗談だが、豊はそれくらいで、はぐらかされるわけにはいかなかった。

「いえ、学校に来なくなったので、心配で、見舞いに行きたくてですね。ああ、もちろん女子も一緒ですよ。渡辺さんも一緒に行きます。」

椎名の名前を出した事に、豊は少し申し訳なく思ったが、椎名ならきっと一緒に行ってくれるだろう。

なんせ幸恵は、後1年も生きられない命の人なのだから。

「友達を心配するのは良いんだが、当たり前の事だが、個人情報を勝手に教えるのは、法律で禁じられていてだな。先生が教えるわけにはいかんのだ。」

佐々木先生の言い分は当然だった。

豊にもそう言われる事は分かっていた。

それでも、本当に相手を思う気持ちがあるのに、見舞いにも行けないなんておかしいと思った。

嫌な当たり前に、抗いたかった。

悪い人の行動を規制する為に、良い人の自由も奪う世の中。

豊は今まで、それが当たり前だと思っていたが、当たり前では駄目だとも思っていた。

そして今では、当たり前ではないようにしなければならないとも、考えるようになっていた。

その後も少し先生に食い下がった豊だったが、結局何も教えてもらう事はできなかった。


家に帰ると、音子がパソコンに向かって奇声を上げていた。

「ちょこざいな!黒猫の方が可愛いと申すのか?!おのれ!三毛猫を混ぜてやるのさ!」

豊には、全く言っている意味がわからなかった。

豊が靴を脱いで上がっても、音子は豊の帰宅に気づかず、尚もパソコンと格闘してた。

「ははは~!三毛猫の大行列だwさて白猫よ、どう出るさ。」

豊はコッソリ、パソコンのモニターを覗き込んだ。

ウイルスに侵された状態はまだ改善されていないようだが、なにやら一部、操作が可能になっているようだった。

猫の写真が無造作にならんでいた先日とは違い、徐々に綺麗に並べられているように見える。

どうやら猫の写真を利用した、パズルゲームのようだった。

今日、後数時間以内には、ウイルスは収束すると三杯は言っていた。

そして最後にメッセージが出るとも。

その前に、こんな事ができるとは聞いていなかったが、音子が楽しんでいるようなので、豊はそのまま放っておくことにした。

豊は一旦部屋をでて、夕飯の材料を買いに行った。

30分ほどしてから帰ってきたわけだが、音子はまだ何やらやっていた。

「くっ!白猫も黒猫も、ひどいのさ。茶猫まで勢力を伸ばしてきたのさ。」

豊は買い物を一旦床に置くと、靴を脱いで部屋に上がった。

そして遠くからパソコンのモニターを見た。

「お?三毛猫かw」

豊は、モニターが映し出す映像を見てそう言ったのだが、音子にはその意味が理解できなかった。

「三毛猫じゃないのさ。三毛猫は残り1匹しかいないのさ。」

豊は買ってきた物をテーブルの上に置くと、音子の横まで言ってモニターを見た。

するとそこには、黒猫や白猫、それに茶猫の小さな写真が無数に並んでいた。

そしてポツンと1枚、三毛猫の写真があった。

画面の一番上には「あなたの好きな猫はどれ?」と書かれてあった。

そして「次の写真」と書かれてあるスペースに、黒猫の写真があった。

音子はそれを、何処に配置しようか悩んでいた。

このゲームのルールは、豊にはよくわからない。

次の写真を何処かに置いて、好きな猫の写真を増やしていくようなゲームにも見える。

でも、豊には次の写真を置く場所は、一つしかないと思えた。

そう、先ほど遠くから見た時、全ての写真の配置で、一匹の三毛猫が映し出されているように見えたから。

そして黒い模様の中に、三毛猫の写真が一枚残っていた。

音子はどうやら、三毛猫の写真の上以外の場所に黒猫を置きたいようで、マウスをウロウロとさせて悩んでいた。

そのマウスを豊はサッと奪い取って、黒猫の写真を、三毛猫の写真に重ねた。

「うぎゃー!何するのさ!三毛猫がいなくなっちゃったのさ。」

豊は、立ちあがった音子をそのままひっぱって、部屋の入口まで下がらせて、パソコンのモニターを指差した。

「あっ!三毛猫なのさ!」

音子は大喜びで、豊も心が和んだ。

再びパソコンに近づくと「ミッションコンプリート!三毛猫ルートのフラグが立ちました!」と書かれていた。

恋愛シミュレーションゲームでもないのだから、そのメッセージの意味は分からないし、ウイルスでゲームとか理解できない。

それでも音子が喜んでいて、クリアできたというのだから、豊は素直に喜ぶ事にした。

それから1分もしないうちに、写真が1枚、また1枚と画面から消えていった。

どうやらウイルスも、収束に向けて動き出したようだ。

またパソコンは何も操作できない状態になったので、豊は買ってきた物を冷蔵庫に入れて、適当な食材で夕飯を作った。

夕飯が出来上がる頃、再びパソコンを見ると、写真が全て無くなり、元のパソコン画面に戻っていた。

そしてその真ん中に、メッセージが残されていた。

「5月26日午後3時、安田公園中央噴水前にて待つ。三毛猫」と表示されていた。

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