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コールオブイビルシャイン  作者: ぽこぴー
12/14

長い夜

 静寂が支配する刻。イビルシャインは虚空を見つめる。

 天に揺蕩う黒液が消え去り、愉快なテントも其処にはない。



 フレイアの残滓を感じさせる要因は何処にもなかった。

 この場には真紅の瞳を輝かせたイビルシャインだけが立っている。


「……少し、惜しいことをしたかしら?」


 冷静に考えれば、フレイアを殺す必要はなかったかもしれない。

 イビルシャインは僅かに後悔を抱いた。



 闇ギルドという存在はこの世界に来てから初めて認知した。

 その為、いろいろと気になる点もある。



 何か、魔王になる有意義な情報や、手段が見出せる可能性があったのではないか。

 イビルシャインは自身の行動が幾分か軽率に思えた。


「イビルシャインさん!!」

「ん、今回は早いわね。アイリス」


 思考を巡らせる彼女の鼓膜を聞き慣れた声が揺らす。

 イビルシャインが振り返ると、焦燥を浮かべたアイリスが目に入った。



 彼女の後ろには数名の騎士と思わしき者達の姿もある。

 おそらく聖国の騎士団員だろう。

 鎧を身に纏い、重い金属音を響かせて、騎士団はアイリスに続いていた。


「騎士団の方達、連れてきました! あれ、フレイアは?」

「もう倒したわよ」

「え? えええええええええええええ!?」


 口をあんぐりと開けて、アイリスは驚きを露わにする。

 彼女がイビルシャインの元を離れてから、まだ十分程度しか経っていない。

 その短時間でフレイアを討伐したというのはあまりにも信じがたいものだった。


「いやいや、早すぎですって!? 私が騎士団さんを連れてきた意味は!?」

「事情聴取?」

「援軍ではないんですか!?」

「まあ、最初はそのつもりだったのだけれど、意外とどうにかなったから」

「ええ……」


 気の抜けるイビルシャインの態度にアイリスの焦りは瞬く間に消えた。

 先ほどまでの命のやり取りが嘘に思えてしまう。

 そんな二人のやり取りを見ていた騎士団の男が唐突に口を開いた。


「おい、本当にフレイアがいたのか? 見るにここには貴様以外、いないようだが?」


 男は疑念の形相でイビルシャインを見ている。

 一瞬、彼の言葉の意味が理解できなかったイビルシャインだが、すぐさま「ああ」と声を漏らした。



 よくよく考えれば、この場にフレイアがいたという証拠がない。本人もいない。

 勿論、イビルシャインが殺したのだからいるはずないが。

 だが、騎士団からすれば、彼女がフレイアを殺したという確証たる根拠もない。



 その話が真実だと証明できる証拠がどこにもないのだ。

 イビルシャインは改めて、フレイアを殺したことを後悔した。


「はぁ……。殺したのだからいるはずがないじゃない」

「だから、貴様の言葉が本当だとしたら、フレイアの死体がないのはおかしいだろ?」

「それは――」

「それとも死体が残らないほどの魔法でも使ったのか? 馬鹿馬鹿しい」


 イビルシャインとアイリスを男は睨みつける。

 アイリスとイビルシャインの話を証明できるものがなければ、彼を始めとする騎士団は二人を信じようとはしないだろう。



 しかし、フレイアに使った能力を見せることはできない。勿論、第八流出魔法もだ。

 前者は神としての能力。人が使えるものではない。

 後者は、転生者や転移者の存在を鑑みた時に、自分の実力は隠していた方が得策と考えるため。



 いずれ敵となる者に自身の情報を与えるのは自殺行為だ。

 この世界においてイビルシャンは絶対ではない。絶対者ではない。

 ゆえに、あらゆる全てに警戒する。彼女に油断はない。


「……そうね。貴女の言うとおりだわ。フレイアを殺したと証明できない」

「ちょ、イビルシャインさん!? 何言ってるんですか!?」

「あなたは黙りなさい。だから、私とアイリスの間違え……でいいわ」

「ふん。最初から正直に認めればいいものを。悪いが、貴様らには少しばかり話を聞く。どうして我々が仲間を探していると知っているのか。フレイアの名を何故出したのか。いろいろ、聞かせてもらう」

「そんな!?」

「全く。頭が固いのも困りようね」


 騎士団は二人の腕を乱暴に掴んだ。イビルシャインは呆れた顔つきこそ浮かべるが、抵抗する素振りは見せない。

 しかし、彼らの動きはとある一言で制止される。


「まあ、待て。その話、少しばかり興味がある」

「っ! グフタフ様!?」


 一斉に騎士団は二人から離れ、その場に膝をつく。

 何事かとアイリスは男を凝視した。

 白い短髪に眼帯を付けた中年の男性。



 他の騎士団とは違い、鎧ではなく貴族が着用するような高貴な衣服に身を包み、一振りの大剣を背負っている。

 その風貌は目で見て明らかに分かる貫録を纏わせていた。


「あなたは?」


 イビルシャインの声には警戒が込められていた。気づけば、アイリスを守るように、彼女の前に立っていた。



 アイリスの頬に冷たい汗が流れる。男が声を発した瞬間に場を飲み込んだ重圧。

 フレイアとは桁が違うそれに、アイリスは生唾を飲み込んだ。


「申し遅れた。わたしは、グフタフ・ドライロッジ。この国の騎士団長を任されている者の一人だ」

「騎士団長!?」


 思わぬ大物の登場にアイリスは声を上げた。同時に疑問を抱く。

 先ほどまで彼はここにはいなかったはずだ。居たが気が付かなかったということはない。



 あれほどの威圧感を持った男の存在を見逃すなどありえないだろう。

 すると、アイリスの疑問を代弁でもするようにイビルシャインが問いかけた。


「あたな、いつからそこにいたのかしら?」


 鋭い真紅の眼光がグフタフへと向けられる。

 アイリスですら震えてしまう眼差しを前に、グフタフは平然と答えた。


「なに。部下とそこの少女のやり取りをたまたま耳にしてね。気になったので、転移魔法(テレポート)でここまで来ただけのこと」

転移魔法(テレポート)……ね」

「フレイアを倒した君が驚くような魔法ではないだろうがね。まあ、そんなところだ」


 グフタフは品定めするかのように、イビルシャインを見つめる。

 そして、一度頷くと何かを確信したのか、外套を靡かせて――。


「この少女からは私が話を聞く。お前たちはそこの少女から、詳しい話を聞いておけ」

「はっ!」


 グフタフの指示に騎士団が頭を下げる。


「結局、こうなるのね」

「安心してくれていい。手荒な真似はしないし、状況の確認をしたいだけだ」

「ならいいわ」

「大丈夫なんでしょうか……? 水責めとか爪剝がされたりしませんよね?」

「アイリス、それは拷問というのよ。というか、どこでそんな知識を覚えたのよ」

「では、向かうとしようか」


 今度は腕を掴まれることもなく、二人は騎士団に連行された。

 ふと、アイリスは足を止め、フレイアがいた――テントがあった場所へ振り返る。


「アイリス?」

「どうした? ああ……なるほど。確かに、そうだな」


 目を閉じ、祈りを捧げるアイリスの背。

 救えなかった命への弔いに、グフタフも虚空へ目を向け追惜した。

 気付けば、他の騎士達も同様だった。



 まだ、二人の話を信じたわけではない。だが、それでもここで起きた凄惨な宴が本当ならば、消えた生命へ敬意は払わなくてはならない。

 どうか安らかに眠れと――。






***********





 トリスメ聖国の現教皇が設立した有事の際に使役される国家直属の部隊。通称、聖国騎士団。

 民衆の生活を守り、時には近辺に現れたモンスターを討伐する役割も担う、聖国の守り手と呼べる存在だ。



 十二人の騎士団長が席を置き、それぞれに直下の騎士団を持つという変わった構成が特徴的と言えるだろう。



 グフタフ・ドライロッジは、騎士団十二の団長――聖国騎士団十二円卓の中でも、特に実力と信頼を持つ男だ。


「……さて、まずは先に部下が無礼を働いたことをお詫びしたい。すまなかった」

「別にいいわよ。確かに、あなたの部下が言ったことは正しいわ」


 グフタフはイビルシャインへと頭を下げた。

 対して、相変わらずの様子でイビルシャインは適当にそれを流す。

 時折、髪を弄りながら彼女は辺りを見回した。



 事情聴取として連れてこられた場所は、とある教会の薄暗い牢獄のような部屋。

 グフタフ曰く、ここは騎士団が管理している教会の一つとのこと。



 中に入った時は、深夜にもかかわらず神官と思わしき男性の姿があった。

 イビルシャインはそれを見て「働き者ね」とだけ感じた。


「そうか。では、そろそろ本題に入ろうか」

「ええ。どうぞ?」


 グフタフの表情が険しく変化した。イビルシャインはこれから何を問われるか察しがついているのようで、落ち着いた様子で彼の言葉を待った。


「まず、本当にフレイアはいたのかね?」

「ええ。とはいっても、私はフレイアという存在を知らなかったし、あなた達が言っている、想像している人物と差異があるかもしれないけれど」

「ふむ。ならば、少し質問を変えようか。その人物はどんな奴だった?」


 イビルシャインはグフタフの質問にすぐさま答えようとはしなかった。

 数秒、考える素振りを見せた後、彼女は口を開いた。


「そうね。まず人間ではなかったわね。あれは、ドッペルゲンガ―だった」

「ほう。無形の化け物か。なるほど。それで?」


 グフタフは先を促す。


「彼女は本体をテントに変化させて、その中に自分の分身を作成していたわ。おそらくだけど、体内の一部を変化させて作り出したのでしょうね。見た目は人間だったわ」

「話を聞く限りだとドッペルゲンガーの域を外れているな。ということは特種型か」


 本来、ドッペルゲンガ―は身体を変化させる際に大幅な質量変化はできない。

 しかし、フレイアは数百人の人間や小道具を居れ尽くす程の規模まで、巨大化していた。



 本体の状態よりも更に大きく身体を変化させるのは、通常のドッペルゲンガーではまず不可能だろう。



 グフタフはその推測から、フレイアは特種型だと予測した。

 イビルシャインもその点に関しては同意だったようで、彼の言葉を肯定する。


「まあ、通常種ならあなた達も手を焼かないでしょうしね」

「ははは。確かにその通りだ」

「で、どうしてあなたの部下はフレイアの正体を知っていたのかしら?」

「なぜ、君はそのことを知っている?」


 返された質問に、イビルシャインはわざとらしくため息を吐いた。

 そして明確に面倒くさそうに答える。


「別に、誰かから聞いたわけではないわよ。ただ、武装した騎士が仕事中に曲芸を見るとは考えられなかった。アイリスと帰るとき、彼らの姿が見当たらなかった」


 淡々と辿り着いた見当の説明をするイビルシャイン。

 グフタフは黙ってそれを聞いた。


「それだけよ」

「本当にそれだけか?」

「……はぁ。あとは、フレイアの正体に気が付いてからの話よ。彼女がドッペルゲンガ―で、尚且つ闇ギルドのメンバーなら、どうして武装した騎士があの場にいたのか辻褄が合うわ。まあ、完全な予想でしかないのだけれど」


 最後に「正解だったようだけど」と付け足して、イビルシャインの説明は終わった。

 グフタフは返答をせず、ただ何度か頷きを見せ――。


「ははははは!!」

「?」


 突然笑い出した。イビルシャインは、何がそんなに面白いのか理解できず、疑念の眼差しをグフタフへと向けた。


「ああ、すまない。いや、なかなかどうして頭の回る少女だと思ってね」

「あら、ありがとうとでも言うべきかしらね?」

「これは素直な賞賛だ。曲がった受け取りはしないでいただきたいところだ」


 そう言ってグフタフは、愉快そうに破顔した。

 彼の雰囲気が一瞬にして柔らかくなる。どうやら、今の説明で、イビルシャインの評価がグフタフの中で定まったようだ。


「では、君の……ええと、名前は確か――」

「クローディア・イビルシャイン。好きに呼んでくれていいわよ」

「そうか。では、クローディアと呼ばせてもらおうか」


 そういえば、自分の名前はクローディアと付くのだったと思い出す。

 この世界では、知り合った者達は大半が彼女をイビルシャインと呼ぶ。

 それゆえ、クローディアと呼ばれるのは、僅かに違和感を抱いてしまう。


「なぜ、部下がフレイアの正体を知っていたか、だったかな?」

「ええ。正直な話、あんな趣味の悪い催しをしているなんて、公言できるはずがないわ。仮に、承知の話ならこの国は相当腐っているのでしょうね」

「安心していい。見世物屋は打つべき悪と判断している」


 グフタフの発言は驚嘆に値するものだった。


「驚いたわね。まさか、趣味の悪い催しが見世物屋と知っているのなんて」

「まあ、先ほどの質問の答えになるのだが、我々は知っていたのだ。あのテントにいる女がフレイアだと」

「つまり、部下だけでなくあなたも認知していたのね」

「その通りだ。流石に情報源までは言えないが、本来なら今夜にでも騎士団を引き連れて、フレイアを討つ予定だった」


 情報源が言えないというのは、イビルシャインにとってあまり納得のいく発言ではなかった。

 オクトーバーの正体がフレイアだと何故知っているのか。



 部下が認知しているのはグフタフが明言したからだろうと予想はつく。

 しかし、彼が知っていた理由は不明だ。そして、それは言えないという。



 情報源が公言出来ないのは仕方のないことだが、抱く疑問を払拭するには至らない回答にイビルシャインは落胆した。

 しかし、グフタフはそれを余所に話を続ける。


「部下には最後の確認として、一足先に偵察に向かってもらった」

「そしたら、いつまで経っても戻ってこなかった……と?」

「ああ。予定した時刻になっても姿を見せないものだから、我々もテントへ行ったが――」

「?」

「どういうわけか、テントがあると言われた場所には何もなかった」


 その情報はイビルシャインにとっては初耳だった。

 思い返せば、自分は『空間転移(ポイント・ムーヴ)』で中へ直接移動した。

 それゆえ、外部の状況は一切知らなかった。


「おそらく、ドッペルゲンガーが有する『透明化(インビジブル)』の能力だろうな。そして、君達の居た場所を考えるに……」

「姿を消した状態で移動していたわけね」


 成程とイビルシャインは感心した。どおりで、今までフレイアが野放しにされていたわけだと。

 彼女は見世物屋の際には姿を消した状態で移動をする。



 姿が見えないので、追手に見つかることもなければ、そのような催しをしているという情報も外部には流れない。



 何かしらの要因で、騎士団には知られていたようだが、少なくとも今まではそれで上手くいっていたのだろう。

 最も、更にその情報源とやらに疑念を抱くが。

 

「あの見世物屋は、様々な国に顧客を持つ。外道の愚か者たちが、大金を渡し、中で行われている凄惨な劇を見に行く。その金はフレイアの在籍している『終わりの七日間(ウィークエンド)』に流れていく」

「なるほどね。じゃあ、フレイアは趣味ではなく仕事としてやっていたわけ」

「どうだか。趣味も混ざっているだろうがな」


 グフタフは会話にひと段落つけると、ふう、と息を吐いた。

 彼の性格上、真面目な話を長時間することは存外に大変なのだろう。



 グフタフは正義感が強い一方で、どういうわけか、こういった取り調べは苦手だった。


「さて、フレイアの話はこの辺に……。いや、後いくつか聞きたいことがあったな」

「何かしら?」


 グフタフは体をずいっと前に乗り出した。

おそらくこれが一番知りたかったことなのだろう。


「どうやってフレイアを倒した?」


 グフタフの目には好奇心に近い輝きがある。


「……固有魔法よ。炎を操る固有魔法で跡形なく焼いただけ」


 勿論、嘘だ。イビルシャインには正直に話すつもりはなかった。

 彼女の答えを聞いたグフタフは、疑い深く更に追及をした。


「それを証明できるか? こちらとしてもフレイアを殺したのなら嬉しい話だ。が、証明できないのならば、我々はいるかいないかも分からない敵を警戒しなくてはならない」

「そうね。じゃあ、少しだけなら――」


 そう言って、イビルシャインは手から焔を召還した。


「『慈悲深き(ミゼリコルド)災いの炎(レーヴァテイン)』」

「ほお……」


 グフタフは踊る紅蓮を興味深く凝視した。そして、イビルシャインに魔法の発動を止める様促すと、そのまま口を開いた。


「なるほど、たしかに。その魔力を秘めた炎ならば塵一つ残さずに消し去ることは可能か」

「随分とあっさり納得してくれるのね」


 意外と物分かりの良い反応にイビルシャインは気抜けした。


「これでも一応、騎士団長としての経験があるゆえ……な。君が嘘を言っているのか真を述べているのかくらい分かる」

「――そう」

「さて、後は少しばかし、質問をして終わろうと思うが良いかね?」

「ええ。構わないわ」


 そのまま、イビルシャインはグフタフと数時間のも及ぶ問答を行った。

 時折、グフタフが休憩と言っては関係ない話を展開させるせいで、結局、イビルシャインが解放されたのは空に太陽が浮かぶ刻だった。








********


「……イビルシャインさん」

「なにかしら?」


 同じく別室にて事情を聴かれていたアイリスが、げっそりとした顔つきで声を発した。

 王国行きの馬車を待ちながら、イビルシャインは目線だけアイリスに移す。


転移魔法(テレポート)……使えるんですよね?」

「使えないわ」

「嘘です、使えますよね?」

「本当よ、使えないわ」

「いいえ、使えます」

「使えない」

「使える」

「……言っとくけれど、転移で王国には移動できないわよ?」

「……どうしてですか?」

「距離がありすぎるのよ」

「私、寝たいです」


 疲れ切ったアイリスは虚ろな目でただ馬車を待った。

 王国に着いたら、ギルドに直帰しようという提案をイビルシャインは仕舞い込む。

 イビルシャインはただ、黙ってアイリスの言葉に同意だけした。










******


「ラプティはいるか?」

「はい。ここに」


 イビルシャインとアイリスが教会から去り数時間。

 グフタフはとある場所へと赴いていた。

 そこは騎士団が管理する教会の一つ。

 グフタフの声を聞いて、一人の女性が反応を示した。


「仕事だ」


 その一言に女性の顔つきが変わる。

 腰まで伸びた真っ赤な髪を揺らして、彼女は――聖国騎士団十二円卓、ラプティ・マイネローゼは祈りを中断した。


「クローディア・イビルシャインという女性について調べて欲しい」

「なぜですか?」

「彼女は、おそらく嘘をついている」

「あらあら……分かりました。では、私の騎士団を使って調査してみますね」

「ああ、頼んだ――」


 教会を去るラプティを見送ると、グフタフは一人呟いた。


 ――言ったはずだ。わたしは、嘘か真かくらい分かると。


 蒼い瞳は僅かに細くなった。

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