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こちらは、本編六章に絡むお話。
本編ではあまり触れられていなかった、別行動パーティのお話です。
主人公と仲良しの割にあまり語られない感のある、スバノン大活躍? かも。
「―― お前が“行動派”というより、ただの“無鉄砲”だってのは解ってたけどな。幾ら何でもこれは酷すぎだろっ!? どうするんだよ、この馬鹿!」
「うっさいよ! 文句言ってる暇があるなら転移魔法陣の再稼働でも試してみろってのっ」
「だから、その魔法陣がそもそも消えてるだろうが!」
「だったら自分で新しく描け! お前、一応それなりの魔法使いだろ!!」
一見すると唯のじゃれ合いにしか見えない喧嘩風景……仲間達も最早、止めるのも野暮と言うもの、とさえ思っていそうなスバノンとブルーの言い合いは、しかし今回ばかりは本気で決闘に発展しそうな勢いを持っていた。
ギメル地下にひっそり存在していた広大な遺跡・ストラウスを探索し始めてから約8時間……パーティが半々に別れてからなら5時間程か。その間、この遺跡内の移動手段である「転移魔法陣」を潜り通しだった為、スバノンも確認などするまでもない、と油断していたのだろう ―― 踏み込んだ足の周囲に光る魔法陣が『安定度の足らない』異常な陣だと気付いたブルーが慌てて彼を引き戻そうとしたのだが、あいにくそれも間に合わず。結果として2人仲良く飛ばされたのは……少なくともストラウス遺跡では有り得ない、そして今まで2人共が見た事も無い光景の只中であった。
「全く……リンさん一人で残されて、どうなってるのかそれも心配だし。まず、俺達が無事にストラウスに戻れるのかさえ怪しいし ―― どうしたもんだか」
「ま、とりあえずココがどこなんだか確認は必要だよな。これも一応、なんかの建物の中だろ? たぶん。だったら出口探してみねぇ?」
「……下手な封鎖空間じゃない事を祈っておくよ……」
いつまで口論を続けるのも不毛と思ったか、ふとブルーが通常に近い口調に変じて悩み出すのへ、あくまで前向きな提案を返すスバノンだが。それに対しブルーが悲観的な呟きを漏らすのも仕方ないと言えた ―― 何せ、今彼らが佇んでいるのは不可思議な光が天井や床付近に等間隔で並び続ける、奇妙に硬く艶やかな表面を誇る材質で固められた長い通路なのだ。何らかの魔法技術の結晶たる遺跡なのか、時折微かに何事かを告げる声の様なものも聞こえてくる。しかし、ステラで常に魔法や錬金術に関しての研究に励んでいたブルーですら、その正体はまるきり掴めない。周囲にモンスターの気配がない事だけが幸いであろうが、正直これは不安を煽る要素の方が多いとしか……。
「だいじょーぶ、何とかなる! 信じる者は救われるって言うしなっ」
「信じるだけで済むなら、魔王を倒す勇者とか要らなくなると思うぞ世の中に」
「そりゃまた別問題だろーがっ。お前、いちいち暗すぎなんだよ」
いっそ能天気とさえ表現できるスバノンの言動に、この際救いを見出そう、としない辺り、確かに指摘された通りブルーも相当マイナス思考の持ち主だ。
ともあれ歩き出した2人の周辺で、何やら彼らに探りを入れる様な光が一頻り飛び交っていたが ―― スバノン達の何れも、それに気づく事はなかった。




