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『エンド・オブ・アウラ ―冥闇の剣皇と時空の魔女―』  作者: ゆう


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第1話:Fランクの無能ー始まりの物語ー

第1話:Fランクの無能ー始まりの物語ー

ド派手な爆炎が、夜のダンジョンを真っ赤に染め上げていた。


「ハハハ! 死ね死ね死ねぇ! Fランクのゴミ虫が、僕たちの【火炎魔法】に抗えるわけないだろ!」


高笑いするのは、学園の制服を着た名門貴族の生徒たち。上位クラスの彼らが放ったのは、5大元素が一つ、すべてを焼き尽くす高火力の火炎放射だ。あまりの熱風に、周囲の空間すら歪んでいる。普通なら、灰も残らず消滅する一撃。


だが――。


「……うるさいな。出力だけの魔法なんて、当たりもしないよ」


炎の渦の真ん中から、静かな声が響いた。


爆炎を真っ二つに切り裂き、一人の少年が平然と歩み出てくる。その背には、ボロボロで酷く重そうな『鉄の剣』。


少年の身体からは、光すら吸い込むような、禍々しくも圧倒的な【漆黒の覇気】が立ち上っていた。


「な……魔法が、効いてない……!? ひ、光を吸い込んでいる……なんだその黒いオーラは!?」


「悪いな。俺の時間は、お前らより少しだけ早いんだ」


少年の周囲の時間が、一瞬だけ『加速』する。


名門の生徒たちが驚愕で顔を引きつらせた次の瞬間には、少年の姿はかき消えていた。


――竜聖剣、第2の型・『残影ざんえい』。


「ひっ――」


気づいた時には、少年の黒い剣が主犯格の首筋にピタリと止められていた。刃から放たれる圧倒的なプレッシャー(覇気)だけで、取り巻きの生徒たちは泡を吹いてその場に崩れ落ちる。


「さすがレオン。今日もキレッキレね」


物陰から現れたのは、金髪の凛とした佇まいの美少女。名門の家系ながら5大元素が使えず、落ちこぼれと見捨てられた貴族の少女であり、主人公の唯一の相棒――ステラだ。


「ああ。だけど……クソ、やっぱりまだ【2分】が限界か」


レオンは剣を引き抜き、激しく息を吐く。全身の血管がミシミシと悲鳴を上げ、鋭い激痛が走る。


じいさんから受け継いだ、世界から忘れられた伝説の覇気――『虚空覇気こくうはき』。


今のレオンの肉体では、これを維持できるのは、わずか「120秒」が限界だった。


「急ぎましょう、レオン。2人きりでFランクから成り上がるのよ。世間が崇める『天魔滅殺隊てんまめっさつたい』の鼻をあかすために」


「ああ、わかってる」


――なぜ、魔力ゼロの無能と呼ばれた俺が、こんな力を手にしているのか。


話は数年前、あの地獄のような故郷の滅亡から始まる。


数年前。俺の故郷の村は、燃えていた。


「あははは! 殺せ! 奪え!」


突然現れた盗賊たちの襲撃。いや、あれはただの盗賊じゃない。裏で『天使』か『魔族』の、恐ろしい上位の存在が糸を引いていた気配があった。


「いやあああ! 離して!」


「――っ!!」


俺の手から、幼馴染の少女の手がすり抜けていく。拉致されていく彼女の、泣き叫ぶ顔が、俺の脳裏に焼き付いて離れない。


何もできなかった。当時の俺は魔力回路が完全に詰まっており、火の粉一つ出せない「本物の無能」だったからだ。


死に体の俺を拾い、山奥へと連れ去ったのが――じいさんだった。


「小僧。強くなりたいか」


じいさんは、歴史の闇に消えた人類最強の隠密部隊『竜星隊りゅうせいたい』の生き残りだった。


それから、地獄のような基礎修行が始まった。


「お前の魔力回路が詰まっているのは、中にあまりにも濃すぎる『覇気』が眠っているからだ。世間の生ぬるい魔法や覇気に頼るな。すべてを無に還す技を身につけろ」


来る日も来る日も、じいさんの形見となる「重い鉄の剣」を振り回し、泥にまみれ、風と雷の魔法を体内に練り込む特訓を続けた。


更新、3年が経った頃。


じいさんは、静かに息を引き取った。


「いいか、レオン。天魔滅殺隊には近づくな。あいつらは何も分かっちゃいねえ……目立たず、牙を研げ。切て、あの子を救い出せ」


じいさんの遺言と、重い鉄の剣を胸に、俺は一人、孤独に街へと旅立った。


そして現在。


街の冒険者ギルドで、俺は「Fランク」の最底辺として嘲笑われていた。


じいさんの教え通り、魔力を外に出さない俺は、水晶の測定で「魔力ゼロの無能」と判定されたからだ。


そんな中、ギルドの片隅で、同じように周囲から「魔法の名門の面汚し」と罵られ、俯いている一人の少女がいた。


彼女の流す涙を見た時、俺の胸の奥が熱くなった。


「……おい。お前、落ちこぼれなんかじゃないぞ。周りの奴らが、お前の本当の才能に気づいてないだけだ」


「え……?」


少女が驚いたように顔を上げる。


これが、世界を敵に回した「レオン」と「ステラ」、2人きりのパーティの、本当の始まりだった。

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