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第16話「イアン・エルステッド作戦」

深夜の暗部、リリスの執務室にはこれまでにないメンバーが集められていた。


「皆さんなんで…。」

「刑部以外で会うのは初めてじゃの、リツ!いつも岳とは訓練所で戯れておるようじゃったから羨ましいと思っておったのじゃ…!」


岳との訓練は、戯れと言うには激しいものなので頬が引き攣る。

しかし、そんなリツとは対照的にヂャオはニコニコとご機嫌な様子だ。

岳は、席には付かずヂャオの後ろに控えている。


「レディーセシリア、例の解析結果は?」

「それも、この後話すんでしょ?」


セシリアはリリスの方を見つめた。

今日ここへ全員を集めた張本人は今だに一言も声を発していなかった。

美しい彫刻のような微笑みで4人を見つめている。


「さて、ここに居るメンバーが何者かについての説明は不要ね。」


リリスは、セシリア、ヂャオ、岳、ジャック、そしてリツをゆっくりと見回す。

皆、静かに頷いた。


「結論から言うと、第三国が”強硬派”を支援している可能性が高い。」


リツは息を呑み、ジャックは眉を顰める。

そのほかのメンバーは平然としているので、それぞれの方法で該当の情報に辿り着いていたようだ。


セシリアがリリスの言葉に対して続ける。


「ユージンの残した情報を調べた所、第三国からの武器の密輸入や強硬派との間でエルトリア共和国側が不利になるような不正な裏取引を行おうとしている痕跡を見つけたわ。けれど、彼も明確な証拠までは抑えられていなかったようよ。」

「ユージン一人とはいえ辿り着けなかった事を鑑みるに…第三国側は、国家レベルでこちらに干渉してきている可能性が高いわ。」


(国としては、良くない状況だよな…。)


これまでも、第三国の影がチラつくことはあったが、現在のエルトリア共和国の中枢まで浸食されているとなれば国家存亡の危機と言っても差支えないレベルだ。


リリスはセシリアの報告を淡々と聞いていた。

その薄い唇が開く。


「追加の情報よ。ベネット大将が、現在の軍の傀儡政権を押しのけて自身が政治家として転身しようとしている動きがある。」

「な⁉あんな人間がー」


リツは思わず身を乗り出した。


「ええ。分かっているわ。彼は…ふさわしくない。」

「じゃあー」

「皆を集めたのは、”計画”を積極的に前に進める必要が出て来たからよ。」


4人が固唾をのんで彼女の次の言葉を待っていた。


「現在の経済力、軍事力では、ヴェストリア連邦もエルトリア共和国も、第三国には対抗できない。加えて、第三国の傀儡政権など出来てしまえばその状況は未来永劫変わらず、両国ともただの属国になる。」

「ワーストケースだな。」


ジャックの冷静な言葉に頭が冴える。

これまでであれば、ヴェストリア連邦との関係改善さえ出来ればいいという消極的穏健派の意見も支持されただろうが、第三国が介入してくるとなれば話は変わってくるだろう。


「でも、国民にはまだこれを知らせることは出来ない。極端な話、国民を煽って第三国も巻き込んだ戦争にでもなれば、致命傷を負うのはエルトリア共和国(こちら)とヴェストリア連邦。だからこそ、統合、そして統合のメリットを示すため経済特区の制定が急務よ。」


エバーグリーン計画の重要性が高まっていることは確かだった。


「お主の言う経済特区の策定は面白いが、まずは土地が必要であろう?仕組みがあっても、国とはその領土と国民がいて初めて成り立つ。その見込みはついておるのか?それとも敵国に差し出させるか?」


後半の提案を除いて、ヂャオの指摘はもっともだった。

経済特区を作るとの突拍子もない案に対して、これまで具体的にどのように進めるかを考えた事も無かったが、確かに土地が無ければそもそも人々が交流することも出来ない。


統合のモデルケースとして最適な場所を両国からそれぞれ差し出すなど、国同士が納得するとは思えなかった。


思考を巡らせながらリリスを見つめると彼女は悠然と微笑んでいた。

初めてエバーグリーン計画を聞いた時と同じ表情だ。


(何か、ある。)


この状況をひっくり返す何かがある。

そう、こちらに確信させるほどリリスは自信に満ちていた。


「経済特区の下地として、開発地域を選定する。場所は、レンツェオ。」


全員が目を見開いた。


「ほー、荒れ地を再建するか。」


ヂャオは楽し気な様子を隠そうともしない。


「ええ、あの土地は、”戦地”ではなく両国の”融和の象徴”になる。」


リリスは断言した。


「あの土地を取る。」

「あなたね…ヴェストリア連邦側の意見を聞かずに勝手にこっちの思惑だけで相手が動いてくれると思ってるの?」

「あら、そのために材料を集めて貰っているつもりだったのだけど。」


セシリアは若干不安気だが、リリスの中では決定事項のようだ。


「ふはは、良いではないか!それでこそ、莉莉丝(リリス)じゃ!」

「ええ、ヂャオ。あの情報についても引き続き調査をお願いね。」


二人は悪い微笑みを浮かべている。

彼女たちの様子に、まだ何か大きな秘密があるようだ。


(僕に、何が出来るんだろうか。)


「さあ、リツ君、ジャックあなたたちには変わらず、私の手足として動いてもらうわ。」


自分がゴクリと唾を飲み込む音が耳元で響く。


「まずは、国内の問題を解決しましょう。ベネット大将を排除してもらうわ。」

「…暗殺任務ですか?」


心臓が脈打つ音が聞こえた気がした。

最近ではずっと避けていた類の任務だ。


「ええ、二度とこの国の土地を踏めないようにしてもらうわ。」

「…はい。」


そう言った彼女の目はギラついていた。



§



「と言ったものの…。」

「先日の襲撃とユージンからの情報で相手は俺たちのことを掴んでいる中で、そう易々とヘマはしないだろうな。」

「そうなんだよな。」


医務室で、リツとジャックは、粗ぶった気持ちを落ち着けるために紅茶を飲みながら作戦を練っていた。


ジャックの指摘はもっともだ。

そもそも、ベネット大将の影武者が用意されていたこともあり、本物には一度も辿り付けていない。

そんな中での暗殺任務。いや、暗殺に合意したわけではないがエルトリア共和国から排除するとの任務はかつてないほど難易度が高かった。


「配管内で俺たちを襲った奴らと対峙することを考えるとそちらへの対応もいるな。」

「分かってる。」


ユージンの残した情報によればベネット大将は個人的な精鋭部隊を所有している。

高度で組織的な戦闘技能を持つ集団だ。

ベネット大将を狙うと言うことは彼らと再度対峙すること意味していた。


先日の怪我が思い出される。

まだ、自分の太ももには傷跡が残っていたし、ジャックの体も同様の状態だろう。

痛みこそ無くなったが、雨の日には不快感があった。


「僕たち2人じゃ限界があるよな。」

「5人でも変わらない。」


ぐうの音も出ない。

ヂャオの実力は知らないが、セシリアや岳は相当な戦力ではある。また、ジャックによればリリスは、暗部では一騎当千と言われるほど武に優れているそうだ。

しかし、彼らも別任務を背負っている、かつ現時点で全ての戦力を投下することが最適とも思えなかった。


「レンツェオの件とか、第三国の話もどうするかリリスさん方針決まってるのかな。」

「…彼女のことだノープランではないだろう。」

「一つだけ考え着いたんだけど、どう思う?」


まだ絵空事の話だったが、思い付きを言ってみる。


「彼女が好きそうな案だな。」


ジャックの顔には、ほの暗い微笑みがたたえられていた。



§



工作に思ったよりも時間がかかってしまったが、リツとジャックの姿はレンツェオにあった。

北と言っても、日本のように四季があるこの国では、今は避暑地として最適な気温だ。


「…引っかかってくれるといいけど。」

「そこは、引っ掛けると言い切るところなんじゃないのか。」

「リリスさんじゃないんだから無理だよ。」


ジャックの言葉に苦笑を返す。


心理戦は得意なつもりとはいえ、今回の任務は失敗は許されない。

もし一歩間違えれば、戦争の火ぶたが切って落とされるだろう。


(でも、そんなことにはさせやしない。)


心の中では静かに闘志を燃やしながら、慎重に建物に導火線を張り巡らせる。

今はまだ、その時が来るのを待っていた。



§



数日前の暗部。


「神話より引用したと思われるイアン・エルステッドを名乗る人物からの犯行声明から一週間が経過しました。彼、もしくは彼らは軍部で総裁補佐官として活躍されているベネット大将閣下に対して、名指しでの批判を行っており『エルトリアの圧政と戦う者』と自らを称しています。最近では、軍部の告発もひと段落付いた印象でしたが、―」


連日のニュースでは、どの局も"イアン・エルステッド"をトップで扱っていた。

エルトリア政府は表向き「未確認のテロリストによる脅迫文に過ぎない」としているが、

実際にはベネット大将が怒り心頭の様子だという話は軍部では有名な話だ。


国家の顔として先頭を走ってきたベネットにとって、「威信」は何よりも重要な資本だ。

ましてや、今後政界進出しようとしているのであればより慎重になりたい時期だろう。


「問題なく機能しているようだな。」

「うん。」


声明文の準備やら想像以上に大変だった。


「神話から名前を引っ張ってくるとは、お前も中々性格が悪いな。」

「言っただろ、”引っかかってもらう”ための演出なんだって。」


声明文の文体、引用箇所などゲリラの時代にベネットが好んで使ったと言われる内容をあえて選ぶのは骨が折れた。


(テロを行う人たちの気持ちなんて想像つかないと思ってたんだけどな。)


「あとは、追加で偽の情報を流すだけか。」

「アルバー……ヴィクターさんにも協力してもらえることになった。」


ジャックが僅かに口角を上げる。


「問題なさそうだな。」

「ああ、タイミングさえミスらなければ多分。」


あとは、イアン・エルステッドの活動拠点が「レンツェオの山岳地帯にある」とする情報を各所へ流すだけだ。


―――リツの思惑通り、事は運んでいた。



§



その日、リツたちの姿はレンツェオの北の端、第三国と両国の国境線沿いにあった。

もう一時間ほどで日が沈むであろうその地で、真っ黒な装いで身分を隠す。


レンツェオが戦火に包まれる前まで存在した、廃村の一部を修繕した仮設の教会の中で敵を待つ。


偽の反政勢力の掃撤のためベネット大将側が、この廃村を発見するまでにそんなに時間はかからなかった。


「来た。」


村の周囲に張り巡らされた索敵線が僅かに反応する。

風に煽られた木の枝や野生動物の仕業とは明らかに異なる、あまりにも手慣れているであろう対応だった。相手もプロだ。


双眼鏡越しに見える兵士たちは、エルトリア軍の装備よりも高価なものを身に付けてる。

暗部と同等の最新式だ。


(自分の身を守るときには重装備なんだな。)


怒りで寧ろ冷静になる。だが、双眼鏡に捉えた一人の人物に手が止まった。


「え⁈」

「どうした?」


急に声を上げたリツに驚き、ジャックが声をかける。


「ベネットだ………。」


リツの言った通り、視界には配管で見たのと同じ背格好のベネットがいた。


「…影武者か。」


ジャックの言葉に小さく頷く。

配管の襲撃の後、彼の言っていた通り、ベネットの部下が影武者をやっていたということだろう。

顔が変わらないと言うことは、メイク等の変装ではないと言うことだ。


「整形か…。」


(部下にそこまでやらせるなんて、どこまで卑怯な人なんだ。)


リツが憤る。ジャックは想定通りなのか敵から視線を逸らし、持ち場に向かう。


「そろそろ時間だ。軍も動くぞ。」

「うん。」


既に索敵を越えた精鋭部隊に対して罠がいくつか作動しているが大した効果は無さそうだ。


訓練された兵たちが村の中心にあるこの建物を取り囲むように包囲網を築きながら迫っているのが分かる。


予定通り、全ての情報を手に入れてくれたようだ。


ベネットの影武者が手を挙げると、一名が建物内に閃光弾を投げ込んだ。

破られる木戸の音。銃床で蹴り飛ばすような衝撃が建物内に響く。


精鋭部隊の面々が、きっちりとした部隊編成を保ったまま建物に乗り込んで行った。


だが、中に入った彼らは混乱しているはずだ。

苦労して手に入れた情報を辿ったにも関わらずもぬけの殻なのだから。


中には、イアン・エルステッドがベネットに対して流すと予告していた情報としてユージンが残した断片的な情報を多少加工し、捏造したそれらしい内容を置いてある。

彼らは、その情報を確認し、拠点を潰して最低限の任務を終わらせる方向にシフトするはずだ。


リツは双眼鏡から目を離さず状況を注視する。


「リツ、来たぞ。」


ジャックの声と同時に別の影が村の中心へと迫る。エルトリア共和国軍だ。

村の外れの方には、ヴェストリア連邦国軍の戦車が迫っているのが見えた。


両軍とも不審な動向をする廃村の情報にちゃんと反応してくれたようだ。

作戦指示も無事操作で来ている。


「うん、時差まで完璧だ。」


そう言うと、深く息を吸い、押した。


精鋭部隊を集めた村の中央の古びた教会はあっけなく爆ぜた。


ドゴォン!


衝撃音と共に派手に煙が上がる。


見た目ほど威力は無いが、派手に爆発することを意識して調合された火薬だ。

何より、天井へ爆破の威力を逃がすように火薬を張り巡らせるのは苦労した。


双眼鏡を除けば何名か部隊の人間が倒れているのは見えるが、このままエルトリア共和国軍に捕らえられるだろう。


しかも、当初の予定ではあくまでベネットの精鋭部隊を敵役として利用するに過ぎなかったが、ベネットの顔を持つ人間と言う、思わぬ土産付きだ。

彼らを見つけた軍部は、第三国とベネットとの関連性を疑うはずだ。そうすれば、彼の軍部での信用も失墜する。


エルトリア共和国軍もヴェストリア連邦軍も緊張が高まっているはずだ。


―――演出の舞台は整った。


遠く、唸るような低い回転音が聞こえてきた。


「やっと帰宅か。」


この数日はいつ状況が急変するかも分からなかったので、廃村の中で寝泊まりをしていた。


ジャックが片目を細めながら、視界の向こうに浮かび上がる機影を見つめる。

地形をかすめるような空気の渦。

木がざわめき始める。

次第に頭上から圧力を持った鼓動のような音が落ちてくる。


ブォン……ブォン……ブォン……


第三国の最新版戦闘用プロペラ機だ。


(自分から提案しといてなんだけど、コレ用意できるの意味わかんないんだよな。)


リリスの、もしくは暗部の伝手が敵である他国まで及んでいることは流石としか言いようがない。


塗装は濃い灰色。国や所属を表すものは何もないが、見る者が見れば一瞬で嫌な想像が浮かぶだろう。


「誰も撃てないだろうな。」

「まあ、本部に連絡を入れて、エルトリア共和国軍からは捜索指示が、ヴェストリア連邦軍では撤退指示が直ぐ出るはずだ。」


機体腹部から二本の脱出用ロープが、空中を揺れながら降下してきた。

風圧が強くなり、草がなぎ倒される。回転するプロペラの風が地面を叩き、耳鳴りが酷くなる。


足をかけ、手で掴むと図ったように体が持ち上げられ、回収されていく。


「予定通り、上手く行ったみたいね。」


爆音の中女性の声がした。プロペラの操縦席を見る。


「リリスさん⁈」


まさか、長官直々の回収とは思わず声を上げる。ジャックも目を丸くしていた。


「あら?そんなに喜ばれると来た甲斐があったわ。」


クスリと彼女は微笑むと慣れた手つきで操縦桿を操作する。

敢えて見せつけるように両国に見える位置で方向転換のための旋回を派手にすると、そのまま第三国方面に飛び立った。



§



その後の軍部の混乱は、想像通りだった。


まず、レンツェオ戦線での第三国による奇襲は、すぐさま中央まで上げられた。

緊急で開かれた会議に、暗部の代表としてリリスも参加する。


現場にも出ず、会議室で右往左往する人間たちの醜悪な姿を目に納める。


―――その中にベネット大将の姿は無い。


総裁が重い口を開く。


「レンツェオの廃村より、正体不明の戦闘員が、第三国の支援で脱出した。この事実は、

重く受け止めなければならない。」


会場がどよめく。

総裁が現場の情報から正式に第三国が関与している可能性を認めたということだ。


(ー当然ね。あれだけ、リツ君が証拠を残していたんだから。)


メインとなる建物にはベネットの情報を、それ以外の場所には、エルトリア共和国軍に関する情報やヴェストリア連邦に関する情報をいくつかばら撒いておいたのだ。


合理的に考えれば、第三国が戦地で両国を監視していたとの結論に行きつく。


「この件について、国民への混乱を避けるため、緘口令を既にレンツェオ戦線では敷くと同時に、軍部としても正式な報道は行わないものとする。」


レンツェオで今すぐにでも軍事行動が始まれば一気にこの国全体が火の海になることを思えば、至極まっとうな判断だろう。


総裁が躊躇うように一度口を噤んだ。

リリスはその隙を見逃さない。


「ベネット大将がレンツェオ戦線のそちらの現場にいたという、あらぬ噂も耳にしましたが。」


あえて皆が触れなかった話題を投げかける。

気まずげに視線を逸らす者好奇心を向ける者、相手がいないことを良い事に、その名前に静かな敵意を向ける者様々な反応を示す。


皆疑っているはずだ。

レンツェオ戦線で発見された、第三国の諜報員の一部と思しき人間の中にベネット大将と同じ背格好、顔を持つ人間がいた事は、軍内部で多少の情報網を持つ人間であれば既に掴んでいるだろう。

強硬派のトップであるベネット大将と第三国の関係、そして第三国の軍事介入の可能性。


現状において、未だにヴェストリア連邦との対立でエルトリア共和国側に第三国が加勢すると思っているようなおめでたい思考の持ち主はこの場にはいない。


室内には、気まずい雰囲気が流れていた。


「………ベネット大将は行方不明だ。」


総裁の一言にあからさまに動揺が走る。

当たり前だ。

軍内部の勢力図が一気に変わることを意味していた。


「それで?レンツェオ戦線にいた者は?」


リリスは、舌戦の手を緩めるつもりはない。


「こちらで、調査中だ。暗部には渡さん。」

「あら…必要であれば何なりと。」


彼らの持つ情報には興味があるが、必要であればいくらでも手はある。


総裁は一文字に口を結ぶとそれ以上何も言うことは無いと会議室を後にする。

彼の腰巾着たちが追いかけて行くのを見送った。


アルバートの伝手を使い情報操作を行っているヴェストリア連邦軍も似たようなものだろう。

無事、偽の拠点はエルトリア共和国軍の撤退後同様の偽の情報を仕込んであちらにも渡っている。数日中に方針の連携が来るはずだ。


今回ベネット大将こそ明確に排除することは出来なかったが、軍部からの完全な失脚、軍部側に両国共通の敵としての第三国の存在を植え付けることが出来た。


(”計画”のステップとしては想像が以上に進んだわね。)


リリスの美しい微笑みががいつもより、僅かに深まる。

彼女はまだ雑然とした会議室を、ステップを踏むように軽やかに後にした。


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