第十八章 またいつも通りの日々に
「お疲れ様ー
随分頑張ってくれたのねぇ。」
「いえいえ、お肉吊るしてただけですよ。」
今私は、保存食用の干し肉を作っている。作ると言ってもそこまで難しい事はしていない。
ただ肉を適当な大きさに切って、紐に吊るす。そしてその周りを柵で囲む。
こうしないと、匂いによって引き寄せられた野生動物達が、貴重な保存食を横取りしてしまうから。
また、干し肉を作る場所に関しても、風向きを考えて場所を随時変えている。それくらい対処しないと、獣達に里を荒らされてしまう。
転生直後、私は生肉のネチョネチョした感覚が嫌いだったけど、今では動物を捌いて肉にする程図太くなってしまった。
・・・いや、これは単に『慣れ』によるもの・・・かな?
でも、転生しても未だに、『人間』との接し方が不器用って・・・どんだけよ、私。完全に『陰キャ』から脱せていないじゃんか。
里に住む人獣達とは普通に話せるのに、何で人間を前にすると、壊れかけたロボットみたいになっちゃうの・・・??
完全に前世の自分を引き摺ってるのが原因だ。
でも、あんなイケメンが倒れている場面に出くわしたら、どうしたらいいか分からなくなって、頭の中破裂するでしょ、普通。
でも結果、面倒事を全部父が引き継いでくれたおかげで、今もこうして穏やかな日々が過ごせるんだろうな。
「こうして、あの事件の記憶は穏やかな日々の中に消えていくんだろう」
そう彼女は思った
・・・だが、既にそんな彼女の考えを
『彼』が壊してしまう




