第四十八章 年を越せた安堵
コンは、今年も無事に冬を越せた事を喜んでいた
まだ油断はできない状態だが、今回の年越しは
例年とは色々と違っていた
雪がようやく溶け始めた頃、私は足元がベシャベシャになりながらも、山の方を少しだけ覗いた。
そこには、例年と変わらない、『春の息吹』があちこちから芽生えていた。春が近くなるにつれて、『山菜』が徐々に顔を覗かせるのだ。
でも、まだ山の入り口付近にしか近寄れない。例年通りの光景を見る事ができただけでも安心できた。
今年は幸い、冬籠に失敗した家はなかったみたいで、厚い雲が姿を消してからやく1ヶ月後、私の家で生存確認も兼ねた集会が開かれる。
そこでウルシ君の紹介もされて、私は彼から貰った箸を皆に見せてあげた。すると、皆は予想通り、そのあまりの美しさに声を失う。
普段から賑やかな子供達ですらも、「凄い!!」とか「欲しい!!」とは言わず、ただ黙ってウルシ君の作った箸を眺め続けていた。
ウルシ君は恥ずかしいのか自分の部屋に籠ってしまったけど、早速他の家からもいくつか注文を受けた。
雪が溶け始めてはいるものの、雪に埋もれた木材を使う事はできないらしく、湿気を含んだ木材は、乾燥させて湿気を飛ばさないと、まともな材料にもならないんだとか。
そこでウルシ君は、雪下ろしを終えた我が家の屋根を活用して、素材となる木材を干していた。
まだ地面には雪が残っているし、太陽の光が届く場所は、そこくらいしかない。
ウジミヤに住んでいた頃から、この手段を活用していたんだとか。
我が家の屋根で大丈夫なのか、ちょっと心配になったけど、「此処は日が当たるから大丈夫」と、屋根に登りながら言っていた。
私とウルシ君は、雪がまだちょっと積もっている里の中を歩きながら、雪の影響で壊れてしまった場所がないか調べて回る。
特に雪の被害で壊れやすいのは、畑の柵。ただ、今はまだ直せない。
とりあえず今は、壊れている場所を確認するだけ。
資材がまだ手に入るようになるまでは、後1・2ヶ月は待たないといけない。資材のある山の中には入れないからだ。
予め何処が壊れているのかを調べておくだけでも、雪が完全に溶けた後にする事が定まってくる。
でも私の役目は、毎年毎年、ずっと山の散策がメイン。資材を山から採って来る役目も、今年は私が担わないといけない。
去年まではずっと兄がやってくれていたけど、今年は頼りになる相棒(ウルシ君)がいるから、そこまで心配しなくても大丈夫だろう。




