その頃、王都にて(6)
「だがな、困った事に、私の気を引く女性は、今のところ全く現れない。
どの様な貴族や王族の娘を並べても、私の心は一向に関心を示さないのだよ。だが、周りは私を急かし
てばかりで、うんざりしていたのだ。」
庶民の『恋』や『恋愛事情』だけでも結構大変なのに、一国の時期王が結婚するとなれば、他国からもお節介が入る。
俺自身、恋愛に関して全然関心がないから何とも言えないけど、王都で起きた騒動の中には、『痴情のもつれ』だったり、『夫婦の仲違い』による事件も度々起きているのもまた事実。
特に王都では身分の高い人々が住うから、そういった家系で起きる騒動は、兵士を巻き込まない収束しない事が多い。
初めてそんな騒動を静止した時は、「こんな事で兵士を使うなよな・・・」なんて陰口を叩いていた時もあったけど、今ではそれが当たり前な感覚になってしまった。
慣れとは恐ろしいもので、最近では騒動が起きる前兆や予兆も、何となく分かってしまうのだ。そこまで難しい事はしなくても、周囲の噂や空気を読めば、大体分かる。住んでいる人獣が少ない里では、まず必要のない特技だ。
ただ、今俺の目の前で手を組んでいる人物の場合、事情が更に複雑になる。
アン殿下は、遅かれ早かれ国の全てを担う存在。当然、多くの人がそれを黙って見過ごすわけがない。
正式な求婚の裏には、『言えない事情』が山ほど隠されている事も、アン殿下は承知の上で相手を見極めるなんて、皮肉にも思う。
そう思うと、アン殿下も俺と同じく、恋愛には一切興味がないのかもしれない。でも、それで許されないのが、時期王としての宿命なのかも。
アン殿下の悩みは、我儘のようにも見える
だが、人としては当然な本能が働いていた、ただそれだけ
それをしみじみと語るアン殿下と、その思いに同情するギン
鯉に無頓着なギンでも、アン殿下の思いは伝わっていた




