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その頃、王都にて(6)

俺は一瞬、兵士長の立つ右側を見た。しかし兵士長は、何故か申し訳ない視線を俺に向けている。

その目線だけでも、「ごめんな・・・」と心の底から言いたい、兵士長の切実な感情が伝わってきた。

こんな兵士長の顔を見るのは、此処に来てから初めて見た気がする。

見られてラッキーな気もするけど、何だかこっちまで申し訳ない気持ちになってしまう。俺何もしてないんだけど・・・


「それでだな・・・

 兵士長の話を聞くにつれて、私も君の妹に興味が湧くようになった。」


・・・・・あぁー・・・

兵士長がさっきから俺に申し訳ない目線を送っていた原因はコレかぁ・・・

兵士長本人にその意図は無かったと思う、でも他者の意図を受け取る事自体が難しいのも、また事実だ。

兵士長は、単純に妹の献身的なケアと思いやりに恩返しをしたくて、様々な箇所で妹との思い出を語っていた。

そして、俺や妹の種族である人獣に対するイメージを払拭する為、兵士長はその人脈を生かして、多くの人に俺達人獣のあれこれを語っていた。

その対象の中に、上司であるアン殿下が加わっても、何も不思議ではない。

むしろアン殿下の権力と地位を考えれば、大勢の人間を説得するよりも効率がいい。

ただ・・・兵士長は話が上手い・・・というか、上手すぎたのかもしれない。確かに妹は魅力的だ、それは兄の俺でも分かる。

当の本人は、今頃冬籠に勤しんでいる筈。離れた土地で自分の名前が闊歩しているなんて、ちょっとしたホラーなのかもしれない。


「実はな、私もそろそろ身を構える為、『花嫁』を迎える話が持ち上がってだな。」


「・・・まぁ、そうですよね。」

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