邪悪なる竜退治!
ペガサスはブルブル震える僕を乗せて、
眼下にいくつもの森を超え、湖を超え、山を越えた。
あっというまに、黒雲が沸き上がるおそろしい火山の前にでた。
ペガサスが、ぼくの頭につぶやいた。
「さあ、剣を抜きなさい」
「ぼぼぼぼ、くくくく、にににに、そそそそ、んんんん、
なななな、ここここ、とととと、でででで、きききき、るるるる、
もももも、んんんん、かかかか」
歯の根ががちがち、ぶるぶる震えている僕に
「早くしないと、邪悪な竜がこちらにきづきますよ」
「大丈夫、その剣は魔法の剣ですから」
僕は仕方なく、帯びている剣を抜いた。
すると、剣に、まるで行動パターンがインプットされてたみたいに、
体が勝手に動き始めた。
ペガサスはそのまま、火山の火口に高度を下げ、突撃を開始した。
「びええええ~~~!!」
僕のカッコ悪い絶叫があたりの山々に響き渡る。
目の前に、黒いうろこを持つ、10メートルはありそうな、
チラノザウルスのような、しかし頭の2つある竜が、
黄色い眼を光らせて現れた。
おどろおどろしい咆哮が響き渡る。
身体が勝手に動き始め、僕は剣に操られて、
剣をカッコ良く、何流派かわからないが、
なにかの剣の構えをして、竜にとびかかった。
竜の首の一つがどさっと、落ちた。
竜はすさまじい叫び声をあげ、僕に襲い掛かった。
残った口から、すさまじい炎と光が噴出し、僕の体にかかった、
と思った瞬間、剣は僕の身体を操り、後ろに装備した盾を
適切な位置に右手で支え、炎と光を防御していた。
僕はあまりの恐ろしさに、逃げ出そうとした。
しかし、体が勝手に動いた。
僕は再び竜に切りかかり
僕はもう一つの首も、敏速に切り落とした。
すさまじい、絶叫とともに、竜の首は地面に落ち、
やがて辺りは静かになった。
夕日が何事もなかったように沈みつつあった。
ペガサスが上空から
「ご苦労様です。女王がお待ちです。早く帰って安心させてあげましょう」
それから、また来た時と同じように、いくつもの、森、湖、山をこえて、
ペガサスは光り輝く銀色の美しいお城を目指した。
お城のバルコニーにはにこやかに、おねーさんがまっていた。
「さすがは、わたくしの夫、青き勇者さまね。」
おねーさんは僕のほっぺにキスしてくれた。