第6節 立ち返る
五日後、林平は蘇った。
この間、お母さんは四回気を失った、それぞれ寮で林平の自殺を見た時、手術室の外で、もう無理かもしれないと聞いた時、医師から林平が危険期を越したと言われた時、疲れ果てた時だった。
林江、林海がいるが、お母さんは依然として安心できない。医師が全力を挙げないことを心配している、また、自分の弟が自殺で面子を失った林江と林海は最大の努力をして、医師に最後まで諦めないようにお願いしないことを心配している。林平を救うために、お母さんはすべての貯金を出して、一括全部使っても良いと思っている。お母さんは泣きながらその事件の経由を語っている、林平は不測なことがあれば、自分も生きないと言っている。その不幸を知った多くの人は悲しい涙を流した。
その五日間、お母さんはほぼ食べず、飲まず、寝ずにいた、とても痩せていて、半分の黒い髪もなくなり真っ白になった。
その五日間、雷さんも不安にいた。病院に送られた時に、とても怒っていたが、しばらくして、林平自殺のことを聞いて、晴天霹靂を受けたように、ぼうとなった、そして林平の失恋のことをして、やっとわかりました、耐えずに流しながら、「そんなに催促すべきじゃなかった、僕のせいだよ、僕のせいだよ」と言っている。自分の傷口を気にせず、頑張って病床を降りて林平を見に行きたいとしたが、結局同僚たちに止められた。それから、雷さんの気持ちがとても重くなり、ずっと林平のためにお祈りしている。
その五日間に、林江、林海、玉風も大変疲れた。
それで神様が感動されたように、危篤状態の林平はようやく命を留めた。
しかし…
蘇った林平は失望を極めて、泣き出した、枯れた声で、お母さんを見て、憤懣そうに「何で、何で僕を助けるか?何で静かに眠らせてくれないか?」。
その夜、彼は涙が止まらなかった。
それから、林平の表情が茫然として、終日黙っていて、耐えられないほどの痛みがあっても、唇を噛み締めて我慢している。
地獄から戻ってきた林平は一体何を考えているのかを誰も知らない。昼間、人が多いときに、林平は逃避として寝ている。夜中になって、周りが静かになるときに、布団の中だが、林平の絶望的な泣き声をみんなが聞こえている、長く抑えられない。1週間後、林平は歩けるようになって、いつも夜に無言の幽霊のように、暗い隅で徘徊している、気が弱い人が見たら、本当の幽霊かとびっくりする。
落ち込んでいる林平の回復が遅いのも医師を失望させた。医師から、悲しい気分から抜け出させないと、どんな優れた医師でも心の病を治せない、林平がどうなるかを知らない。
お母さんも同感だ、頭を絞って、思いついた話を慎重に尽くしたが、林平は依然茫然としている。今回の事件の源を考えたら、それは楊小菊だ。元々同情していた楊小菊を憎み始めた。幼い頃から甘やかされてきた林平は性格が怒りっぽいだが、相手の機嫌を取るような話をできない、正直だから人を騙さない。よく楊小菊のことを叱っているが、それは愛しているからの話だ。若者は怒りっぽく、よく言いすぎて、聞き手が受け入れられないが、楊に対する愛情や愛の承諾がずっと変わっていない。しかし、楊小菊について、振替えてみると、その弱々しく可哀想な女は実際深く考えているのだ、林平がいなければ彼女は北京に入れないから、林平の話を良く聞いていた。彼女は北京に来てから、どんどん欲が膨らんできて、それは林平がくれないものばかりだから、林平に心で恨みができ、林平もそれで怒り、喧嘩がどんどん多くなってきた。もし結局一緒になれなかったら、早めに明かしてよかったのに、彼女は裏で他人と曖昧関係を保ちながら、林平とはずっと離れなかった。時機が来たら、すぐ林平を振って、騙されている林平がいかなる打撃を受けるかをぜんぜん関心しなかった。お母さんは楊小菊を憎んでいる、直ちに一番酷い言葉で彼女を罵りたい、しかし、海外に行った彼女と会うようもない。
楊小菊は行ってしまった、もう戻らないかもしれない。夢中になっているわけでもないが、自尊心が強い林平は運命に翻弄され、情けない打撃を受けた後、生きていても、もう笑顔がないだろうとお母さんは思い、涙まみれのお母さんは絶望を感じた。
しかし…
10数日間の後、一切が変わった…
その日、玉風は林平のために食事を届けに行ったら、時間が長く経ち、玉風から林平が家にいるかどうかの電話がかかってきた。
実は玉風は病院についた時に、林平がまだ昼寝している。夢も見ているように、涙を流しながら叫び続けている。玉風は最初に楊小菊のことを呼んでいるかと思って近付いて聞いたら、林平を起こした。目が覚めた林平に見つめられているから、玉風もどうしたらいいのかをわからないと思ったら、急に林平は病床から起きて、服を被って降りた、とても負傷しているように見えない。あまりびっくりした玉風は夢遊病のようにそのまま自分のそばをすれ違った無表情の林平を見て、先林平が見つめていたのが玉風ではなかったとわかった。玉風は急いで林平を掴んで、何をしに行くと聞いたら、林平は夢から蘇ったように、ぽかんとしてから、トイレに行きたいと言って間もなく消えた。玉風はずっと待っていたが、戻って来ない林平を探しに行ったら、トイレに居ないのをわかった、焦りだした林平はやむを得ず家まで電話した。
言えないフィーリングで、お母さんはもう一回林平の勤務先に行った。寮の部屋前についたら、ノックをせず、まだ破損のまま残っているガラスから椅子に立って屋内を覗いた。
林平を見た。屋内に座り、写真のようなものを持っている、夢中に見ている、手にペンを持って、テーブルに手紙が置かれている、たぶん…ノックの音を聞いて、林平はすぐ手元のものを服の裏ポケットに隠したので、お母さんは彼が何をやっているのか、林平にとって何がそんな大きな魔力があるのかをかわらなかった。後日、林平が寝込んだ後、探していたが、何も見つからなかった。
お母さんは寮の部屋に入って、どうしてここに来たか、どうして兄嫁に教えなかったのかと聞いた。玉風はあちこちで探していたが、見つからなかったら、また何かあったかと思った。お母さんはとても怒っているが、あえてクレームを話せなかった。
林平はぼうとしたら、恥ずかしく笑った、「母さん、僕は元気だろう。そうだ、兄嫁さんに教えてよかったが、その時、本当に庭で歩きたいだけだった、結局、なぜかわからないが、ここに来ちゃった。だから…」と林平は申し訳なさそうに笑っている。
謝りの気持ちがあるかどうかについて、お母さんはぜんぜん気にしないが、林平に事件がないかぎり、お母さんは安心した。一つわからないのは彼がなぜここに来たのか?何をしているのか?それについて、林平はいつも曖昧で、お母さんも詰問しなかった。
そのハプニングは大したことではないが、それから、林平はいつもの暗さを変えて、悲しい気持ちがなくなり、機嫌がいい時に積極的に笑いながら話しかけている。
彼の笑い声がどんどん楽しそうになり、お母さんだけではなく、医師たちもびっくりして元々そんな面白い人だと知らなかった。そんな彼を見て、看護婦何人もそんな明るい林平が自殺するなんてを信じないと言った、遠まわしてその理由を聞かれたら、林平は笑いながら、真面目そうな様子をして「そうだな、僕も知りたいんだ。その日は天から仙女が現れ、一番美しいところまでついてきてくださいと言われた。信じないけど、ついつい一緒に行った。行く途中に、貴方たちに引っ張られて戻った、残念でした。その綺麗な仙女は今まだその途中で僕を待っているだろうか、彼女は本当に行ったら、僕はもう…」とみんなを笑わせた。
それと同時に、彼の体が素早く回復して、医師の予想を超えている。結局、新年の前に、彼は退院した。
退院する前に、勤務先の人はオーストラリアからの手紙とドルの振込伝票を届けた、全部楊小菊からだ。林平はそれを見たら、静かになったが、表情が落ち着いている、再び振込伝票を見たら、耐えずに笑い出した「ちょうどお金が必要だった、振り込んでくれてよかった。お金をいただいて、返信を書くよ。手紙にまず自分を反省する、つまり彼女にメンタル上の傷付きをもたらしたことに対して深くお詫びする。そして、今元気だから心配しないでくださいと書く。最後に今の現実を受け取って、前向きに進んでくださいと勧める。だから、すべてのことが過ぎるから、それを過去としよう」とお母さんに言っている。
お母さんはそれを聞いて、喜んで泣きそうとなった。