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弱者の天国  作者: JCN
第4章 昔が煙如く
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第3節 幼児の回り逢い

 年配者にとって自分の子供ができるのが人生何よりだが、親族の人々に期待されていることでもある。お父さんは村全員を招待して、宴席の場で、上に5人の姉がいるにもかかわらず、その子を成田太郎と名づけた。

まだ赤ちゃんの子供だが、いつも病弱で、常にひどい病気にかかっていてしばらく治らないことがよくあった。まだ結婚していない次女と大人になっている三女が助けてくれている、お二人がいないと、両親だけでは育てられなかった。

その子は大人になって、同じ年の子供がいつも外で遊んだりしているのに、彼は風や雨に弱くて、強風に吹かれたら病気になり、雨に降られたらすぐ倒れるような病弱で、家に閉じこむしかない。

もう少し大人になったら、状況がよくなってきたが、彼は家にいることにすでに慣れてしまい、外へ出かけたがらない。どんなに良い天気でも、彼は出かけたらすぐ家に帰って、時々苛められ涙で帰宅している。男の子から女性っぽいと言われて、彼は疎遠されている。彼もその男達が荒っぽいから、むしろ自分で家にいる。

姉さん達がいるが、年が離れているので、彼と一緒に遊べることが少ない。彼もうるさい女たちと遊びたがらない。家に閉じこむ時に、彼は一人で絵を描いたり、読書したり、自分が思いついたことをやったりする。何もしないときに、彼も一人で窓側に立って、他人が遊んでいることを見ている。

それに父親は心の中で失望している。ようやく息子に恵まれたのに、そんな子だった。でもそれは彼のせいではない。医者さんの話によると、息子今の状態はお母さんが中絶薬を飲んだせいだという、死産児や障碍者・知的障害にならないことは神様から守られているからだ。そのことも父親のせいだ、息子に申し訳ないことをやっちゃったから、申し分がない。

恥ずかしくて心が痛む父親は不安を感じている。今の彼はまだ海に出かけられ、神様から守られているから、まだ収穫量がよかったが、50代になった彼はこれからどれぐらい続けられるのか。それを思いついたら、心が痛くなる。自分の過ちを補うため、親子の縁を無駄にしないため、息子が将来に飢えされないために、今までの過ちを変えて、仏様へ敬虔な心を持ち始め、今の幸せを受け入れることができなく、終日船で港を出て、海の上に漂っている。

数年後、息子が入学年齢となったが、まだ病弱で、雨や風に恐れている。その漁村が発展を遂げているが、30世帯ぐらいしかなく、小学校を建てる標準に達していない。一番近い学校は山の向こう側にあり、山道が延々と5キロ以上もある。

「彼は学校へ行けそうもないんだな」とお父さんは悲しそうに言う。

学校入学登録の日に、お父さんと三女また同じ年齢の子供を連れて行く村の二人と一緒に学校へ向かった。まだ遠く歩いていないのに、彼はもう歩けなくなり、汗がびしょびしょとなった。その様子を見て、再び病気にかかるのを恐れて、大人たちは輪番で彼を背負い、三女は自分のコートで彼を包んだ。

彼は学校へ連れられ、学校へ入らせてくださいのようなお願いではなく、学校に入らせないでくださいとのお願いできた。国家の義務教育により、入学適齢児童は学校に行かなければならないとの法令があるが、彼は弱すぎる。みんなは彼をここに連れてきて、校長先生へ彼の様子を見せたかった、校長先生にお願いして、入学を遅らせてくださいとお願いした、彼の病弱のことは村の人からも証明できる。

学校についたら、キャンパスのある木の下で、お父さんは三女に彼を守れと命じたら、村人と一緒に校長室へむかった。

彼にとって初めての学校キャンパスなので、そんな多くの子供がいると思わなかった。親たちの周りで遊んでいる子もいるが、多くは学校先生に連れられ落ち着いている。その様子は始めてだ、夢を見たこともない。それに深く引き付けられた。

またぼんやりしている間、あるものが彼の足元に来てぶつかった。見たら、小さな皮ボールだった。彼はそれを拾って、まだ立ち直らないうちに、誰かに「ボールを早く返して」と言われた。振替えてみると、同じぐらいの身長で、スカートを穿く女の子だった。

少し戸惑ったら、女の子にボールを手から奪われた、女の子に強く押され「返したくないの?恥知らない」と言いつけられた。

彼は押されて倒れたが、元々その子のものがほしいわけがなかった。彼はやり切れない思いで泣き始めた。三女がそれを見て、彼を抱っこして慰めようとしている。それで彼はかえってもっと大きく泣いた。

その女の子は元々走り去っていきたかったが、彼が泣いたのを見て、戻ってきた。「どうして泣くの?」と聞いて、質問されたら、彼はさらに悲しく泣いた。

「もういいよ、ごめんなさい。私のせいなんだ、もう泣かないで、いい?」女の子は慰めようとする。彼の涙が止まらない。しだいに女の子が落ち着かなくなり、「もうごめんなさいって言ったじゃない?まだ泣くなんて、私のせいじゃないよ。あなたのような男と会ったこともない、泣き続けて、女の子みたい、面白くない。あなたと遊びたくない、行くよ。」と言いながらも、足が動かなかった。

「智子ちゃん、どうした?誰かに苛められたの」と誰かから言われた。話をしたのは松葉杖を持つ年寄りの方だった、きれいな身形だし、落ち着いている表情、背も高い。女の子はその話を聞いてすぐその人の元へ行って「父さん」と甘く呼んだ。

「智子ちゃん、どうしてその人を泣かせたの?謝ったのか?」と年寄りが申し訳なさそうに聞いた。

三女がそれを見て「子供たちは遊んでいるから、大丈夫です」

「ボールが取られて、くれと言ったら、返してくれない。奪ったけど、彼は泣いた。私のせいじゃない」

「じゃ、誰のせいだよ。あなたのせいで彼は泣いたから、やさしく慰めよう」

「慰めたし、謝ったし、彼はずっと泣いているの、どうしようもないよ」と女の子が言った。

 「そうか。いい子だから、泣かない。先のこと、彼女を責めたよ。もう泣かない、泣かない。そうだよ、男らしいだよ。本当の男ってこうだから、絶対涙を流さない、そうだろう。」と年寄りの人が寄って、微笑んでいる。

彼は怖くて泣かなくなった、人見知りの顔から怖い表情が出た。

その時に、お父さんが走ってきた。お父さんを見たら、彼は再び泣き出したが、お父さんに抱かれ、去っていった。

「すみません。私の子なんですが、彼女は…」と年寄りの人は申し訳なさそうに言う。

「こちらこそ。わが子もそうなんだから。体が弱くて、性格も強くない、ほかの子供と一緒に居ると、いつもこんなことにある。だから、本当に申し訳ないのがこちらだから。」とお父さんが言って、苦笑いした。

話し合っているところ、お父さんの後ろについてきた人は前に来て、親族の人のほか、金縁のめがねを掛けている人もいた。その人を見たら、お父さんは「校長先生、すみません、こんな息子なんだから。天気が暑くなっているのに、彼はまだ厚く着ているのもしょうがないことなんだ。彼の体が弱いから、親として学校へ送りたくないわけではないんだよ。本当に…」

「すみません。自己紹介をさせてください。橋本英雄と申します、退役した中尉です。」お父さんの話が終わった途端、先に話をした人が居た、その人は年寄りの人、智子のお父さんだ。

お父さんは一瞬ぼんやりして、頭を下げて言った「先生のお名前を大分前から聞いておりました。今日はお会いできましてまことに光栄です。よろしくお願いいたします。」

お世辞の話をしてから、橋本は笑いを止め「成田さん、一つをお聞きしたいのですが、子供の体が弱いだけで、彼を学校へ送りたくないんですか。」

「どうしようもないことなんだから」

「おいくつですか」

「52歳です」

「僕はもう57歳ですよ。あなたより年上だし、人生の半分を過ごした。聞きづらい話かもしれないけど、言いたくて、ぜひお許しください。息子さんのことに気を払っていた、見た目は確かに弱そうだ。彼は今学校以外にやれることがあると思うか。今学校に行かせなかったら、彼は大きくなって知識もないし、素養もない、何もできないから、どうやって食べていくと思うか。もうしかして一生養いたいと考えていますか。いつか手を離すことになるから、そうなったら、彼はどうするかを考えたことがないのですか。」

話がお父さんの心に差し込んだ、お父さんの表情も固まった。しばらくしたら、悲しそうに「おっしゃった通りです。でも、どうしたらいいですか。彼に病気をかからせて、死なせるわけにはいかないでしょう。」

「どうしてそうしないですか。何の技術も持っていないし、終日家に閉じこんで、そのような人は糧食の無駄使いほかならない。何もできない人が生きても意味がない。話が失礼かもしれないけど、その子を見てください、娘は彼と同じく、両親が年を取ってからできた子なんだ、彼女のお母さんは彼女を生んでしばらくしたら亡くなった。息子が居るが、娘がその子しかいないんだ。あなたと同じように、自分のことより彼女を愛している。彼女も幼い頃から病弱で、風に吹かれても倒れるぐらいだった。でも今ほら、見てください、彼女の顔色がいいだろう、でも家に戻ったらすぐ病気になるかもしれない。彼女は女の子だから、彼女を学校へ送らない理由が十分にあるけど、彼女を学校へ送った、大人になったら、何もわからない子になってほしくないから。わが国が島国だから、国土が狭くて、資源も限られている、生きていくために、他人に苛められないために、自分の知恵に頼るしかない。だから、わが国には、役に立たない人や何もわからない人が生きるべきじゃない。我々にとって貴重な資源を無駄遣いしてほしくない。国家へ貢献するために、必要な知識を備えなければならない。よく考えろ、昔に有志者は国のために戦争に参加して、自分の命さえ惜しまなかった。彼たちはこうやって、役に立たない物達のためじゃない、絶対そうじゃない。だから、僕と同じように、子供を学校へ送ろう、そのために自分の命を捧げてもよい。それは父親としての責任だから。子供たちの道は自分で歩かなければならない、彼たちの将来が自分で把握しなければならない。」

感情が高ぶっている橋本は多くの話をした。その間、智子は静かに彼のそばに寄って、ボールを彼に渡した。彼は怖くて、受け取らなかった、智子は屈んでゆっくりと言いつけた、ボールを彼にあげるから、もうくれと言わない。必ず学校へ来てください、学校に着たら、一緒に遊べるから、お世話をしてくれる。彼はその話を聞いて、いいと思って承諾した。

橋本は話が終わって、お父さんのほうはまだ迷っている間、智子が話し出した、子供二人の間で一緒に学校へ行って、同じクラスに入って、そばに座ると合意したと言った。

校長先生はその話を聞いて、問題がないと言った。そして、みんなはまだ迷っているお父さんのほうへ見つめた。

「学校に行きたい」とお父さんが話す前に、息子のほうから話しかけられた。声が低いが、揺ぎ無さそうだ。

「お、太郎、お前」お父さんは言って、まだ決められない。

「学校に行きたい、死んでも行きたい」と頑固に言ってから泣き出した。

結局彼は学校へ行けた。


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