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外道の道も本能故  作者: モロモロ
第一章
59/90

59 ロッテン

<ローリッヒ軍事帝国にてロッテンの日々>


ロードペガサスに乗り壁の上に登ると、そこには驚愕の光景が広がっていた。


「これは…」


「…キツイな…」


「どうやって進むのよ?」


「アイン、氷の道は作れそうか?」


壁の中全域に広がる湿地帯、全域にワカメのような水草がみっしりと生えていて底が見えない、あちこちで巨大なワームが弧を描くように飛び跳ねては大きな水しぶきを上げて水草の中に消えていく、深さがあるのかもしくは大穴があちこちに開いているのか、それすらも視認は難しい。

湿地帯の中に巨大なキノコが並び立っているが、それらはすべて穴だらけで、その傘に開いた穴の中から雨のように不気味な色のスライムが落ちてきている。


「おい、あれ!」


ツヴァイアさんが指し示した方を見ると、水中が隆起して海草の小高い丘が出来た、そしてその丘の海草が溶けていき、中から巨大な山のような大きさの赤黒い紫をしたスライムが現れた。


「まず、安全圏のこの場所から、攻撃を試みる必要があるんじゃないか?」


「氷の道を作っても、作ったそばから壊されるぞこれは…」


アインさんとツヴァイアさんが深刻な表情で相談している。

実は僕はかなりワクワクしている。

これは手応えのあるクエストになるんじゃないか?

あの馬鹿でかいスライム一匹でいったいどのくらいのDMKP《ダンジョンマスターキラーポイント》になってくれるんだろうか?


「とりあえず、僕が単身であのスライムを討伐してみますよ。アハートさん回復お願いしますね」


身体から沸き上がる衝動を抑える事が出来ない。


「勝手な真似はいかん、危険をまず確認してじゃな…あっ、こら待て」


ごめんよタウゼントさん、でも僕DMK《ダンジョンマスターキラー》なんだよね。



壁の中に降り立つと、降り注ぐ胞子の濃度が格段に濃くなったのが分かる。

周囲のバリアが異音を発するので注視すると、なんと胞子の先端がドリル状になってバリアを削ろうとしていた。

降り注ぐスライム郡を俊足で交わしていく、そうやってまずキノコの根本に移動し剣技ブルースラッシュを一閃する。


ジュ ザン


焼き切れる様な音と共に、柔らかそうなキノコの根本に黒い線が斜めに走る。



ズズズズ



ゆっくりと断面がずれていく、これで倒せるか?



ズズズ ズ ズ   ズ       ズ



止まった、断面のズレが止まった。

断面を確認すると、確かに焼き切った断面が新たな菌糸でみっちりと再生されている。

この巨体にこれだけの再生を行わせる豊富な栄養がこの湿地にあるのか?


タウゼントさんなら焼けるのか?いや、この湿気だ、火炎魔法が有効とは思えない。



ん?


何か薄暗い景色が更に薄暗くなった気がする。


振り返ると巨大スライムを中心に闇が広がっている?


いや、スライムの中心部に光が凝縮されているのか?


ヤバイ!


俊足で避けようと思うよりも先に、直径2mほどもある巨大な光線がオレを目掛けて飛んできた。


武奥義ホーリーガード!間に合う!



…



オレは今はもう無くなった胸から下を見下ろしている。

不思議なことに痛みは無い、アハートさんが何かを叫びながら治癒魔法を施してくれているようだが、良く聞こえないし見えない。

危ないですよアハートさん。

アハートさんを押し返そうと腕を動かそうと思ったが無かった。


目の中に胞子が降り注ぎ食い込んでいるようで、視界が殆ど無い。

耳や鼻や口でも既に発芽しているようで、聴覚も衰え言葉を発する事も出来ない。



武奥義ホーリーガードが間に合った、が一瞬で貫きタウゼントさんが張ってくれたバリアも3枚いとも簡単に貫いてくれた。


スライムはどうなった?


足の裏が痒い。


痒い気がするだけか?


ああ、もう終わりかよ…


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