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外道の道も本能故  作者: モロモロ
第一章
57/90

57 ロッテン

<ローリッヒ軍事帝国にてロッテンの日々>


「失礼します。東の森にダンジョン発生です」



馴染みの店で紅茶を楽しんでいると兵士が駆け込んできた。



「こんにちは。そのダンジョンは、まだ地下ダンジョンだけかい?」


「はい、DM(ダンジョンマスター)レベルも2前後かと思います」


「分かった、じゃぁ僕一人で充分だね」


机に立てかけていた相棒ブルーホライズンを掴むと定位置の腰に帯剣し東へと向かった。




向かう途中では各領地に厄介になり、ダンジョン最寄りの領主の館を出るときには、充分な食料を空間魔法「道具袋」に入れて出発した。

幸いな事に、道中は野生化した魔物に襲われることもなく首都を出発する際に補充した回復薬一式も手付かずなままだ。

東の森周辺の村には避難勧告が行われ、ダンジョンに着く数日前からは気楽な一人旅になった。




森の中に堂々と口を開ける大穴。

被害状況としてゴブリンの集団に一つの村が潰されている。

村の守り主や狩人達の抵抗虚しく、撤退という事になったらしい。

生存者の報告では、ホブゴブリンも数匹確認出来たということだ。


魔法を使う遠距離攻撃部隊も無く、部隊としての統制もとれていない。

外部に溢れでた魔物も低級の域を出ていない。


繁殖力の強いゴブリンが迷宮外に進出してきた事から、迷宮内はそんなに大きくは無いのかもしれない。



一応、突入前に飲食と排泄を済ませ、装備の点検、回復薬一式の点検、貴重な復活剤の装備、バリアの展開を済ませダンジョンに突入した。




第1層は奥行き50m斜度25度、直径4メートル程の洞窟だった。

途中に、落とし穴や落下式天井、踏抜き噴射型弓矢など良くある罠があった。可愛いもんだ。

定期的に集団のゴブリンが襲ってきたがブルーホライズンの青い閃光と共に絶命していった。


1層の中盤にあからさまな扉があった。

扉の奥から多数の魔物の気配がする。

低級な魔物を押し込んであるのだろう、黙って動かずにいる知能すら無くバレバレだ。

敢えて扉を開き、剣技ブルースラッシュを室内にかます。


ブルーホライズンの先端から青い刃が長く壁まで伸びる、一閃すると部屋の最奥まで180度の青い斬撃が飛ぶ、中位移行の魔物であれば10m以上の距離があればかわせる者もいるかもしれないが、ゴブリンとホブゴブリンがひしめき合った小部屋では、そんな能力のある魔物はいなかったようだ。

剣技を放って減った僅かな魔力も、魔物たちの死と共に入ってきたDMKP《ダンジョンマスターキラーポイント》を少しだけ使って魔力回復しておいた。


『万全を期す、これがダンジョン攻略の鉄則だ。』


まだ、勇者10傑として新人の自分にDMK《ダンジョンマスターキラー》としての心構えを教えてくれた剣豪ムサシゴーの言葉を思い出す。


第2層では、ゴブリン達を捕食しているラミアやアラクネがいた。まだ進化すらしていない。

攻撃がバリアを破って来ることはありえないし、数もまだ少ない。

俊足を使い、各個撃破していく。


第3層はフロア全体が巨大な沼地になっていた。臭いから判断すると強酸で出来ているようだ。

ところどころにある浮島にはラバーフロッグがいる、水中にも何らかの敵がいると判断して良いだろう。

殲滅は可能だろうが非常に面倒なフロアだ。

一匹一匹を倒すよりも、魔物を開放し野生化される前にDM(ダンジョンマスター)を倒しダンジョンごと潰す方が楽そうだ。

沼地最奥に見える第4層への階段へ身体を向け、左手に武奥義気孔弾を貯めていく、左手の光の輝きを確認し、充分に溜まった気孔弾を第3層の壁に向け発射、反動で身体に大きな重圧がかかる、かなりの速度で第3層内を飛ぶ自分目掛けて、ラバーフラッグの舌や水中から高圧縮の水流が飛ばされるが全て自分の遥か後方を通り過ぎるだけだ。


第4層への階段のある壁に衝突するタイミングで武奥義の枯れ葉流しで衝撃を緩和した。


第4層には巨大なブリアントタートルが鎮座していた。

巨大な魔物を召喚したは良いが外への侵略に使えず放置する、低レベルのDM(ダンジョンマスター)に良くあるパターンだ。

当然、育てば強いはずのブリアントタートルも低レベル故に武奥義連撃気孔弾を頭部に集中砲火し、首を縮めた所にもしつこく浴びせ続けて苦もなく撃破した。


ここまででそこそこのDMKP《ダンジョンマスターキラーポイント》を貯める事ができた。

逆に、DM(ダンジョンマスター)のDP(ダンジョンポイント)は枯渇している頃だろう。


第5層に降りるとすでにそこはもぬけの殻だった。


第6層も何も魔物がいない。


これも低レベルのDM(ダンジョンマスター)が良く使う、追い詰められたら自らダンジョン内の魔物を間引いてDP(ダンジョンポイント)を貯めるパターンだろう。第4層の魔物達も間引きされているだろう、手間が省けて助かる。


きっとあと数層下に、DP(ダンジョンポイント)を全てつぎ込んだ魔物が待ち構えているはずだ。

そして、その魔物を倒せばチェックメイト、今回も分かり易い低レベルのDM(ダンジョンマスター)だったな。


第7層にはファイアドレイクがいた。

パッと見はドラゴンと大きく変わらないが、その成長率、知力、皮膚の硬さ、魔力など全てが低位種だ。

そして、今回は産まれたばかりの低レベルだ、造作も無いだろう。


「GAYAHOOOOHAAAA」


ドレイクが咆哮をあげ首を大きく逸らした。

火炎放射の前動作だろう、ここで大きく呼吸をして魔力袋に魔素を充分に貯めてから首を前に出しながら灼熱の火炎を敵に浴びせる。

俺は敵の攻撃までにまだ時間があると判断し、貯め時間を必要とする剣技ブルーインパクトで勝負を決めようと決断した。

相棒が振動しながら青い輝きを増していく、ドレイクの首がゆっくりと前へ倒れこんで来る、俺は俊足を使いドレイクの真下まで移動する、俺が逃げると思っていただろうドレイクが一瞬混乱するのが認識出来た。

構わず真下からブルーインパクトを腹・首・頭が直線になるベクトルに解き放つ。


キュンッ グボッ ズズズッズズズ ボッ キーン ドゴーン


天井に当たったブルーインパクトにより、頭上からドレイクの内蔵、大量の血液、天井の岩石が振りそそぐ中、バリアと俊足で第8層への階段へと急ぐ。


第8層には一人のドワーフがいた。

コイツがDM(ダンジョンマスター)だろう。


「こんにちは。君がDM(ダンジョンマスター)だよね?」


「GYAHOURAHA」


驚いた表情をしているが、ドレイクを倒せると思ってなかった?一人で攻略は無理と思った?

とにかく、コイツがDM(ダンジョンマスター)で間違い無いようだ。


「今回は村への被害も少なかったようだし、命を持って償ってもらおう。特別に説教も無し、苦しませずに殺ってあげるよ」


「GUAAAAOOOOAA」


咆哮をあげ突っ込んでくるドワーフはゴブリンよりも弱かった。

配下を強化して自分の強化を怠る、そういうDM(ダンジョンマスター)ほど、ダンジョンの奥深くにいるんだよな。





討伐の報告を領主にして、首都に帰ると次の仕事が待っていた。

どうやら西の火山地帯がダンジョンになったらしい。

どうしてそこまで大きくなる前に討伐隊を出さなかったんだ?

ルアーサ様より勇者10傑から5人の討伐隊が組織された。

勿論、僕も志願した。

キノコのDM(ダンジョンマスター)らしい。


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