第2話 妖怪の日常
野田が目覚めてダイニングに行くと、そこには母親らしき鬼の女性が、朝食を作っていた。
「母さん。帰ってたんだね」
「昨日はなにやってたの?」
野田と秋は母親に尋ねた。
「あれ?優に言ってなかったの?昨日、学校のPTAがあるから遅くなるって」
野田兄弟の母親、野田岬は妖魔小学校の教師である。
「あっ!言うの忘れてた!」
「あはははははは。ほんと姉ちゃんはうっかりさんだな」
忘れてた事に気付く優に野田は笑い出す。
「はいはい。もうすぐ朝ごはんだから、静かにしてね」
「「「は~~~い」」」
4人は朝食を食べて岬と優は仕事に行くと、秋も高校に行くので、残った野田は商店街で夕飯などの買い物に出かける。
「相変わらず活気が有るな……」
妖魔商店街では河童・泥田坊・傘化け・ケルベロス・エアレー・コカトリスは、もちろん大入道やダイダラボッチなどの大型妖怪も、楽しく買い物しているにぎやかな所である。
「さてと、今日の夕飯はなんだっけかな?」
買う物リストを見たりしてると
「あ!進くん!」
「ん?」
するとイタチの耳で鎌で出来た手と鎌のついた尻尾の妖怪・カマイタチの美女と、小柄でゴーグルを着けた妖怪・ゴーゴンの少女。
「よう!ミクにスミレ!!」
すぐにカマイタチの美女・原澤ミリクと、ゴーゴンの少女・スミレ・フェミンレスに挨拶する。
「おはようございます」
スミレも挨拶をした。
「こんな所で奇遇ね」
「ええ。スミレさんとは、さっき出会ったの」
と楽しく会話が弾む。
「お~~~い。3人とも!」
「あら。加藤くん」
さらに全身が布の妖怪・一反木綿の青年、加藤卓也が空からやって来た。
「なんかあっちの大通りで騎士隊と武者組による、大行進パレードがあるみたいだよ。行ってみよう!」
「そんなのあるんだ!」
4人はすぐに大通りに向かった。
そして大通りでは、人狼とケンタウロスの騎士隊と、ガシャドクロと土蜘蛛の武者組が、一斉に大行進をしていた。
「相変わらずの迫力だね」
「そりゃあ、この国で最大の戦力だからね」
4人が大行進を眺めていると
「ん?」
野田は人間らしき少女を人込みの中で見つけるがいつの間にか消えた。
「あら?進じゃない!!」
声がした方に顔を向けるとそこには岬と妖怪の子供達30人ぐらいが居た。
「母さん!なにしてんの?」
驚いた野田は岬に尋ねる。
「1年生の郊外学習なんだけど、丁度大行進パレードをやってたから。」
「あっ!おばさんこんにちわ!」
「こんにちわ」
「うっす!」
するとミク達は岬に挨拶をして
「ミリクちゃんにスミレちゃんに卓也くん来てたのね。せっかくだからみんなで一緒に見ましょう」
大行進パレードを見て終了すると岬は生徒と一緒に学校に戻り、野田達は自販機でジュースを買って飲みながら歩く。
「カッコよかったね。さっきの」
「そりゃそうだよ。だって僕達妖怪の中でも身軽さと素早さと体力と判断力に優れた、人狼・ケンタウロス・ガシャドクロ・土蜘蛛で構成された集団だよ」
加藤は憧れるようなると
「でも四大強と呼ばれてる、鵺や牛鬼とバジリスクとクラーケンよね」
いつのまにか強い妖怪の話し合いとなっていく。
「あっ!しまった今日、俺バイトの日だ!!」
が野田はバイトがある日だと気付いた。
「え?今日バイトの日なの?」
「そうみたい。ゴメン、行ってくる!!」
言いながら野田はスミレ達と別れた。
モンスターゾーンからとても遠く離れた地に、高層ビルやドーム型などの建物が立ち並び、アジア系から・アメリカ・フランス・アフリカ系などの人間やさらにロボットも暮らしいる、まさに未来的な国家・人間国。
その国の中心にある日本の城に酷似したビルでは、茶髪の青年が最上階に呼び出されたのか、王室のような作りの扉の前に立ち。
「ただいま着きました」
「入っていいよ♪」
扉の向こうから返事がして扉が開くと、そこは何種類の鑑賞魚が泳ぐ大型水槽と、さらに五台のパソコンやテレビゲームなどもある部屋で、さらにあの金髪男がソファーに座っていた。
「我ら人間国の若き大元帥、戦導寺淳一さん」
「説明口調ありがとね♪トム・グロイゼルくん♪」
戦導寺淳一は微笑みながらトム・グロイゼルをソファーに座らせた。そしてなぜかネコミミの付いたメイドがコーヒーのクッキーを、持ってきてくれたので2人はコーヒーを飲んだ。
「そういえば昨日、見つかったようですね」
トムは昨日の事を尋ねる。
「ああ、五年は掛かると思ったけど、二年と一ヶ月で見つかって奇跡だったね♪このままだったら捜索隊の隊長を交代してるところだったよ♪」
気楽に言う淳一に少し呆れてしまう。すると淳一がフジツボだらけのケースをテーブルに置いた。
「そしてこれが、ようやく見つけた」
ケースを開けるとそこには変わった形の右腕アーマーだった。
「これか……世界融合の原因となった……心の鎧甲の右腕ですか!!」
トムは驚いた顔をしてしまう。
心の鎧甲
かつて大昔の人間達が開発して、世界融合を起こした世界最強にして、究極のパワードアーマー型兵器。
それぞれ頭部、胸、腹部、右腕、左腕、右足、左足の、各部分に感情をモチーフにしているらしい。
「そう。僕ら人間国に頭部、マジカルパルスに左足、ドラゴン真国に腹部と、管理して残った4つは、これと同じで海の底か山の中となっている」
「しかし良いのですか?400年間守ってきた約束を破る事になります?」
どことなく冷たい表情となる淳一にトムが心配して尋ねる。
「大丈夫。その内……約束とかそんなのなくなるかもよ」
そのような意味不明な言葉を言う。
「え?それは一体……」
「とにかく、今回の話は終了ね」
言われるままに仕方なく部屋から出るトムであったが。
[一体……どういう意味だ?]
先ほどの言葉に疑問を持ち続けていた。
野田にはまだまだ親友や悪友がいっぱい居ます。