第44話 戦争反対組結成
アザゼルの異空間に突入した野田達が、そこで彼らが目にしたのは。
「ここって、家の中?」
少し広めの綺麗な空間であり。
ちゃんとテレビもテーブルもソファーも置いてあって、さらにはタンスや冷蔵庫までもあるという、どう見ても家庭のリビングルームの作りであった。
「ここもアンタが創った異空間か?」
「本来ここは俺達専用の、プライベード空間。普段は休憩や会議として使ってるけど、まさかこんな使い方をするとはな」
「文句を言わないの!」
それからさっそくハクホスを椅子に拘束して、尋問を開始するのであった。
「さて、お前はさっきまでなにをしてたんだ?」
ミヤトはいきなりハクホスに尋ねてみた。
「……そんなの、言える訳ないだろ」
「貴様、この状況でそんな態度が通じると思うか!!」
「そうだよ。アナタにどんな隠し事がるのか、私にも教えてくれたって?」
ミオーズもなんとか説得させようとするが、ハクホスは口を割らなかった。
「は~~~~よく考えたら、専属メイドのハクホスがそう簡単に秘密を言う筈ないしね」
ため息を吐いて少し諦めかけてしまうけども。
「仕方ない。ここは俺が直接聞くまでだ!」
アスタロトはいきなりハクホスの頭を掴んだ。
「アンタ!一体何を!?」
「すぐに終わる!」
「あっ!?」
するとハクホスは時が止まったかのように、動かなくなった。
「ちょっと!ハクホスに何を!?」
「心配いらん。ただ少し催眠をかけただけだ」
「アスタロトは呪い魔法が得意だから、直接コイツの頭から聞き出すんだろ?」
これこそがアスタロトが得意の、相手の思考や考えを変えて操作し読み取り、さらには幻覚や人形を操るのが呪い魔法。
そしてアスタロトはハクホスの記憶に入り込んで、彼女が隠している秘密を探り出す。
「ん?コイツ本気か!?」
すると何か信じられない事を知ったかのように驚愕してしまった。
「アスタロト、何か分かったのか?」
「どうやら、この女は仲間と一緒にクーデターを起こそうとしてるぜ!」
「「「「クーデター!!?」」」」
「いや、正確にこの女は仲間を集めて、また鳥人側と戦争を起こそうと企んでる」
「「「「「せっ、戦争!!?」」」」」
アスタロトの口から出た、とんでもないもない発言に全員は大声を上げる。
「戦争って……どういう事なのハクホス?!どうしてまた戦争を!?」
ミオーズは信じられずにハクホスを問い詰めるけど全く反応しない。
「ちょっと待って、今彼女にかけた魔法を解くから」
すぐにアスタロトが呪い魔法の催眠を解くと、ハクホスはこの場の状況を把握した。
「なるほど、アタシの秘密を知ったな!」
「まぁな。情報収集は俺の十八番だからな」
「要するにプライバシー侵害犯って奴でしょ!」
「そんな事より!本当なの鳥人と戦争って!?」
するとハクホスが開き直ったかのように。
「そうさ!アタシはある方と一緒に鳥人どもを殲滅するつもりだったのよ!」
ミオーズは彼女の見た事のない態度としゃべり方に、言葉を失いかけてしまう。
しかし、それでも話しかける。
「なんで…なんでそんな事を!?」
「たしかに、せっかく5年間続けてた戦争が終わったのに!」
「のん気な王女様とよそ者に、中途半端に戦争を終わらせて、我らはまるで敵に後ろを見せた気分を受けたんだぞ!!」
野田は彼女を説得しようとしたが、やはり無理のようだった。
「つまり、アンタ達はクーデターをするつもりなのね?戦争を引き起こす為の」
「言っとくけど、すでにこちらの戦力が高まってきてね。後はアンタの父、つまり獣帝から軍の命定を奪えばこっちの物よ!」
「命定を奪う!?」
ミヤトはその単語に驚いてしまう。
「なぁ、命定ってなんだ?初めて知ったけど?」
「命定は、完全な命令権を持った契約の証で、常に国のトップのみが持つ事を許されたものだ!もし奪われてもしたら大変な事なるぞ」
「つまり、それさえ手に入れれば、この国の軍事全ては我々の意のままだ!」
ハクホスは高笑いしながら、自分を縛った縄を爪で切り裂いた。
「貴様いつのまに!?」
「アンタ達、アタシ達獣人が鋭い爪を持ってるって忘れてたでしょ!」
ハクホスは素早く扉の前に走って、開けて逃げようとしたが、その瞬間。
「あれ?あれぇぇぇぇぇ!!」
なぜか巨大な鉄球が転がって、ハクホスに正面衝突してしまう。
そのまま床に激突したけど、転がってくる鉄球に踏み潰されて、さらに頭上からタライと毬栗も落ちて、完全に伸びてしまう。
「あ~~~~あ。この空間は俺しか出入り出来なくて、むやみに扉とか開くと罠に嵌るんだよね」
とアザゼルが呆れながらもう一度ハクホスを縛る。
しかもちゃんと爪を切ってから。
「どうすんだ?やっぱ獣帝様にこの事を話して」
「ダメ!ただでさえ父は忙しくてストレスを溜めているのに、きっと知ったらストレスが膨れ上がって寝込むかも!」
「そうなってしまっては、攻められて主導権を握られてしまうよな?」
そして全員はクーデターと戦争を回避する方法を考えた。
「こうなったら、奴らのアジトを攻め入れるしかないな!」
「「「「「「やっぱり」」」」」」
野田の思いつきに全員は、”そんな事だろう”と確信していた。。
「たしかに、これしか方法がないけど…」
「その、奴らのアジトは?」
「それは……」
ルシファーとホルの言葉に、野田は言葉を詰まらせてしまい。全員は、”やっぱり考えてなかったな”と思っていた。
「心配するな。それもちゃんと読み取った」
「えっ!なんでそこまで?」
「ようするに、アンタらが気に入っちまったんだよ♪」
ベルゼブブが野田達に言うのであった。
「お前ら…いきなり何を?」
「なんか、お前ら結構面白いし」
「また戦争が起きたら、俺達魔人は勿論、他の国の奴らも迷惑だからな」
「という訳で、俺達も仲間にしてくれよ」
ルシファー達は自分達も仲間にしてくれとお願いした。
しかし彼らの反応はというと。
「しかしなぁ……」
だが、いまだにミヤトは信用できない。
「俺も…同じ気持ちだな?」
「さっきは丸く収まったけど、さすがに今は…」
倉山達も同じ気持ちだった。
「信じないのは仕方ないけど、私達も戦争が起きるのは嫌だからね」
「だから良いだろ?これも何かの…アーマーの縁だしね♪」
アンリュウは握手の手を出した。
誰もあんまり信用できてないけども、ただ1人は居た。
「分かった。俺信じるよ」
「私も……」
それは野田とソロリックだった。
「野田くん!ソロリックもなんで?」
「だって、ここまで来たんだし。仲間が増えた方が都合がいいし、なんかの縁だから」
「そうだよ!みんなだって戦争が起きるのは嫌なはずでしょ!?」
2人の真っ直ぐな目と言葉に、倉山達暗闇は参ってしまい。
「2人にはかなわないよ」
「なんか野田らしいな」
「仕方ない、親友がやるっていうなら」
「だったら、私も!」
「アンタのような新人に言われなくても、こっちはやるつもりよ!」
そして最後に残ったミヤトも。
「ふむ。戦争を止めるのも、
こうして全員が魔人達を信用するのであった。
「じゃあ、改めてよろしくな。アンリュウ!」
「こちらこそ、野田」
野田とアンリュウは握手をし、こうして6人の魔人も加えての、戦争を止める為にレジスタンスを潰すのだった。
その頃、獣王パークの隣に存在する新しい国家、バード連邦では人間国からの使者達が来ていた。
その内の1人が、心の鎧甲の装着者であるトム・グロイゼルであったが、なぜか右腕は包帯を巻いていた。
「しかし、本当に分離したとは思えませんな」
「まぁ、元々ここは鳥人の領土で、そのまま国にしたようなものだから」
ミサイルポットやキャノン砲やバルカン砲と、全身重装備なサイボーグの人間の男が、トムに声をかけ始める。
「ええ、だけどこの国に調査に来てから、妙な噂が立ちこんで来ますな」
「それは本当みたいですね」
するとトムの影から軽量でスピード重視な女サイボーグが、まるで水面から出るように現れた。
「なんでも、鳥人達が兵を集めてもう一度獣人と戦争しようって噂が」
「そういえば、3日前にこの地に伝わる聖器が盗まれたみたいですよ?」
「たしか使い方で破壊兵器にもなるって?」
彼らは鳥人も獣人と同じ事を企んでいると知り始めた。
「しかし、もしかしたら獣人達も同じ事を考えたりして?」
「いや、さすがにそれは…あるかもな?」
「なんだって、獣人も鳥人も中途半端に戦争終結して、不満になっていたから?」
重装サイボーグは、獣王パークの方を見ながら2人に言う。
「やはり、戦導時さんに報告した方が」
「止めとけ。大元帥はそんな事、一々気にしない方って知ってるだろ?」
「とりあえず、もう少し証拠を見つけてからでも遅くはありませんよ?」
「たしかにそうですね。引き続きお願いします」
女サイボーグは、また影に潜って消えてしまい。
「じゃあ、俺達も行こうか?」
「はい」
2人も調査を再開するのであった。
なんとハクホスは戦争を再開しようとするレジスタンスのスパイで、野田達はアンリュウと協力する事になりました。
そしてトムと一緒に登場した2人のサイボーグですが、じつはとんでもない秘密がありますが、しばらく待ってくださいね。




