第12話 企みと誘拐
ホルは今日も一生懸命仕事をしていた。
「よう!」
「麻井さん。」
がそこに麻井がアイスコーヒーを持ってホルに声をかけられた。
「あの……なにか?」
「ああ、じつはこれ」
1枚の写真を見せる。
それはこの前の雨の日に、ホルがソロリックの手を繋いで走る姿だった。
「あ!!?」
写真を見た途端、ホルは顔を真っ赤にしてしまった。
「お前も大胆な事をするんだな…そんな可愛い顔して♪」
笑いながらホルをからかう麻井。
「やめてくださいよ!恥ずかしい……」
ホルは恥ずかしがってしまう。すると麻井はこんな質問してきた。
「ところで、この娘ってもしかして」
「え?ハグレですけどなにか?」
「そうか…」
それを聞いた麻井は、改めてソロリックとペンダントを見続ける。
「あの…どうしましたか?」
「ん?ああ…とりあえずがんばれよ」
そのまま麻井は自分の仕事部屋に戻った。
部屋に戻った麻井は右腕に装着してある、ブレスレット型の携帯端末装置のスイッチを押して耳元に着けた。
『はい、なんだ?』
するとそこからモルトの声が響いた。
「よう、モルト。」
『ようじゃないだろ!?この様子を他の国、とくに人間国に盗聴されたら……』
モルトは不安になりながら麻井に怒鳴る。
「心配するなよ。ただお前と話したいだけだし」
『……全く。本当にのん気だな』
と呆れながらも思わず笑うモルトであった。
「と言いたいところだが、保護会から報告があったけど、お前祠直さなかったのか?」
優達の班が発見した壊されて祠と、その下に埋めてあった物を盗んだ犯人はモルトで、どうやらモルトの家にあったあのケースが、祠の下に埋まっていたものらしい。
『しょうがないだろ!俺達ドワーフは武器や道具の修理は出来ても、建造物は無理なんだから!』
「ああ、悪い悪い。んじゃまたな」
そして通信を着ると先はどの写真を見つめだす。
その頃、野田達が働くモンストでは
「なぁ、最近お前楽しそうだよな?」
品出し中の野田に対するダイゴの言葉から始まった。
「んん…そうか?」
「たしかにな?普段ゲームしてる時とは全く別な感じ出し?」
「もしかして、彼女出来たのか?」
「うっ!」
倉山の勘が少し的中して野田はついビクついてしまった。
「ん…その態度?やっぱ出来たのか?」
「そっか!どんな娘なんだ?可愛いのか!」
野田はなんて説明しようか悩んでしまう。
なぜなら野田が今気にしているソロリックは、ハグレ妖怪なのでなに言われるか分からないから。
「んだよ?勿体つけるなよ~~~」
倉山がなれなれしく聞こうとしたけども。
「よう!君達!」
「がんばってるな」
そこに中橋と加藤がいた。
「中橋、加藤!なんだ?来てたのか?」
「もちろんさ。そんでバイトが終わったら、付き合ってくれよな?」
「ああ、いいぜ」
約束すると4人は仕事に戻った。
それから6時頃、ソロリックは野田と出会ったベンチに来ていた。
[なんか……毎日本当に楽しい感じかな♪]
ソロリックがここ数年で楽しいと感じた事は一度もなかった。
なぜならソロリックの人生は荒れていたから。小中高とハグレという理由でいじめられたり、人間の父親が彼女が生まれる直後に死んで、母親も死んで世間の嫌の目を気にしながら、1人でなんとか暮らしてきたが野田とホルと出会って結構楽しくなってきたからだ。
[野田さんのおかげで、本当に……ん?]
でも突然ソロリックの目の前に、フードつきのコートを着た2人組が現れた。
「あの……なにか?」
尋ねるが2人は無言でソロリックの手を掴んだ。
「ちょ、ちょっとなに?!止めて!!」
嫌がるソロリックはすぐに手を払って逃げるが、2人の足の方が早く追いつかれてしまい
「手間かけんなよ」
コートAが苛立ちを見せながら近づく。
「おい!なにしてんだ!?」
そこにバイトが終わって帰る途中の野田達だった。丁度帰り道だったので、ソロリックが2人に襲われている所を目撃して助けに現れたのだ。
「野田さん!」
「くそ!!」
しかしコートAは懐から銃を取り出し、そのまま野田達に向かって撃ち出した。
「危ない!!」
「ぐあ!!」
「ぎゃっ!!」
そして弾丸が白木と中橋の心臓や脳を撃ちぬかれてしまった。
謎の2人組の登場に、白木と中橋が殺されてしまいました。
さて野田とソロリックの運命は次回。