第71話 大学にて
今日は大学に行く日だ。結依のご飯を作り、東急田園都市線に揺られて、大学に着く。やっぱり田舎なだけあって空気が美味しい。
「梨奈ちゃん!おはよ!」
「結依ちゃん!おはよう!こないだのカバーライブ凄かったねぇ。」
「見にきてくれたの?」
「見に行ったよ。楽しかった。」
「言ってくれればバックステージパス出したのに。」
「親友のライブにはお金払いたいからね!」
私はつい梨奈を拝んだ。今日の学食は奢ってあげよう。
「1限一緒だよね?行こっ!」
梨奈が私の手を引く。杏が見たら嫉妬するだろうなこれ。
1限目は「創作概論I」である。創作に関する授業であるが、教授の授業が下手すぎて、何を言っているのかが理解出来ない。
授業後
「ねぇ、今日の授業理解出来た?」
「一言も全く。」
「だよねぇ。」
「あ、2限と3限は別だねぇ。4限はカフェテリアで!」
「分かった。又あとでね。」
2限は「近現代日本文学史A」だ。この授業を担当する准教授は面白い授業をする先生で、履修登録の時に抽選になったくらいだ。
「今日は第2章です。今日の題材は太宰治と芥川龍之介の2人ですね。」
やっぱり准教授の授業は面白い。卒論はこの先生に見てもらおう。
3限は「音楽史I」ステージであんなことをしたので、私の席は教壇の前と決まっているのである。
レジュメに先生が言った言葉を書き足していく。面白い先生で助かった。つまらない先生だったら1番前でもスマホをいじっていただろう。
4限。私も梨奈も授業が無いのでちょっと早いお昼ご飯だ。
席をとってお茶を飲んでいると、サインを求められた。今はwonderだししょうがない。5人位にサインしているところで、梨奈がやってきた。
「はいはい、サインは終わりー。私たちはこれからご飯を食べるんだから。行こっ、結依ちゃん」
別のテーブルに移動した。すみっこの目立たない席である。
「梨奈ちゃんありがとう。永遠にサインさせられるところだったよ。」
「もー、ちゃん付けやめようって言ったでしょ?呼び捨てでいこうって。」
「あぁ、ごめん梨奈」
「いいよ、結依」
「さっき助けてもらったから今日はお昼奢るよ。」
「ほんと!?唐揚げ丼特盛がいい!」
「結構食べるね?」
「やせの大食いだからさ。」
梨奈は唐揚げ丼特盛、私は日替わりランチだ。
「いやー、それにしても良かったねぇカバーライブ。」
「なんか恥ずかしいな…」
「私の知らない結依が見れて楽しかったし、久々にヘドバンしたよ」
「何の曲で?」
「残」
「やっぱり…10分は長かったでしょ?」
「5分くらいでヘドバンやめたよ。」
「それが普通だよね」
「umbrella楽しかった!」
「あれは演者もやってて楽しい曲なんだよね。私も歌ってて楽しかった。」
「そうなんだねー。すっごい楽しそうだったよ歌ってる時の結依」
よく見てるな、と思う。確かに楽しかったが、1曲1曲覚えてて感想を言ってくれるのはありがたい。
「結依は5限あるんだっけ?」
「無いよ。4限まで。」
「そっか。私は5限までなんだー。もう行かなきゃ。またね。」
「うん。頑張ってね。」
「ありがとー、あ、ごちそうさま!」
「いいえー」
梨奈が5限の教室に行ってしまった。私は食器を片付けて帰宅の準備をする。今日はなんか疲れたな…。お弁当にしちゃおうかな。たまにはいいよね。
…結局スーパーに寄ったら料理欲が沸いてきて、鮭を焼いているわけだが。杏が帰ってきた。
「おかえり。今日は鮭だよ。」
「鮭好き!」
「お風呂先に入ってー。」
「はーい!」
結依が鮭を突きながら今日あったことを話す。今日は楽しかったようだ。
日課の柔軟体操をして、杏がはスマホをいじり、私は課題と復習を済ませる。そうしてルーチンワークを済ませ、寝る準備をする。
「おやすみ、杏」
「おやすみ結依。」
いつもの夜が、更けていく。




