第7話 ソロデビュー②
1週間後
「おはようございます。」
「おぉ、おはようユキちゃん。覚えてきた?」
「何とか覚えられました。難しいですね。」
「作曲家がおかしいよね。俺歌えないもん。」
「ですね。」
喉の調子もいい。体調も万全だ。レコーディングなんて久しぶりだけど、やるしかない。髪を結び気合いを入れる。
「結依ちゃんポニーテール似合うね?」
「そうですか?気合い入れる時はいつもポニテですよ。」
「いいね〜.。じゃあレコーディングスタジオ行こうか」
「はい。」
レコーディングスタジオまで事務所から30分。wonderの時よりも豪華だ…。
「平澤結依さんだね、エンジニアの木村です、よろしく。」
「よろしくお願いします」
「とりあえず発声練習しようか。」
「はい。よろしくお願いします。」
1時間後。発声練習が終わった。喉も開いたし、体も柔らかくなった。今ならいい曲が歌えそう。
「レコーディングルームにお願いしまーす」
「はーい」
「頑張ってね、結依ちゃん!」
「はい。」
レコーディングには2時間掛かった。私がとことん詰めたからだ。
「1番のBメロ声到達してないですね。1音低くなってる。もう一回1番録ってもいいですか?」
「構わないよー」
「…うん。大丈夫です。ありがとうございます。」
「なんかさ、結依ちゃんすごいよね。語彙力が無くて申し訳ないけど。」
「すごくないですよ。wonderの時に教えて頂いたことを生かしてるだけです。」
「流石。じゃああとはエンジニアさんたちがやってくれるから帰ろうか。」
「皆さんありがとうございました。」
「お疲れ様ー。」
事務所に帰ると、見知らぬ男性が座っていた。
「どなたですか?」
「ラジオ局の担当者だよ。」
「ラジオ?」
「ま、とりあえずお弁当食べよ。お弁当食べながら話聞いてよ。」
「は、はい。」
お弁当は焼肉弁当だった。豪華!
「結依ちゃんにラジオやって欲しいんだって」
「私まだCD出してないんですよ?」
「wonderでの実績もあるし、復活してからドラマ出たりしてたでしょ?大丈夫だよ。」
「でも…」
「大学に支障が無いように収録日は調整します。だから何とか…」
「どう?」
「うーん、分かりました。」
こうして、ラジオが始まることになった。でも杏が怒りそうだなぁ。あ。
「そしたらお願いがあるんですけど」
「何何?何でも聞きますよ。」
「wonderの市川杏ちゃんとコンビ組むって難しいですかね。」
「あー、そう来たか。どうです?」
「それ面白そうですね。早速あちらのマネージャーにアポ取ってみます。」
「お願いします。じゃあ今日はこれで。」
「あ、結依ちゃん送ってくよ。」
「いいんですか?」
「女の子1人には出来ないよ。じゃあよろしくお願いします。」
その後、高山さんにも話が行き、杏との合同ラジオになった。
「また結依と仕事出来るなんて!嬉しい!」
「そうだね。立場は違うけどね。」
「立場なんて関係ないよ。結依と一緒に仕事が出来るのが私は1番嬉しいの。ね?だからいいラジオにしようね」
「…うん、いいラジオにしようね。」
あれやこれやと話が進み、第1回目の放送が始まる。杏は緊張しているらしい。さっきから一言も話してない。
「大丈夫?杏」
「だだだ大丈夫よよ」
「震えてるよ?」
「手、握って…」
「はいはい。冷たいね、手が。」
「緊張してるから…」
私は周りを見渡した。誰もいない。そして杏を思い切り抱きしめた。
「はわっ!?」
「大丈夫大丈夫。」
「うん…」
「治った?」
「うん。ありがと。」
「始まりまーす」
「行くよ杏」
「うん。」
「平澤結依と」「市川杏の」「「ワンダーナイト!」」
「最初こそ震えてましたけど、市川さんスムーズに進行進めてますね。」
「そうですね。市川はこういう機会がなかなか無いですからね。持田さんのおかげです。声かけていただいてありがとうございます。」
「いやいや、結依ちゃんの方から、杏ちゃんとやりたいって言ってきたので。結依ちゃんのおかげですよ」
「そうなんですか…」
「感想やお便りはハッシュタグワンダーナイトを付けてポストして下さい。こういうのをやってほしいってリクエストも受付中です?」
「今疑問系になったね。受付中なの?」
「受付中です!!それでは今夜は終了です。また来週お会いしましょう!さよなら!」
「さようなら〜」
ラジオが終わり、杏に抱きしめられた。
「緊張した…」
「よく頑張ったね。」
頭を撫でる。あ、ここラジオ局だ。杏を引き剥がす。
「また後でね。」
そう言って私はマネージャーの元に向かう。杏も高山さんのところに向かった。
「じゃあ高山さん。今日はありがとうございました」
「こちらこそ。ありがとうございました。また連絡します。」
「では。」
車に乗る。持田さんがお茶をくれた。
「ありがとうございます。」
「いやいや。喉乾いてるでしょ?」
「はい。ありがとございます!」
「今日ラジオ良かったよ、スタジオのスタッフもみんな笑ってたよ。」
「ならいいんですけど…」
「大丈夫だよ。自信持って。」
「はい。」
「お、着いたよ。」
「ありがとうございます。また明日事務所伺います。」
「うん。じゃあ」
持田さんの車が去っていく。家に入ると既に杏が帰ってきていて、私を抱きしめた。
「今日はありがとね杏」
「私、また結依と仕事出来るなんて夢にも思わなかった。嬉しかった。これからレギュラーで結依と仕事が出来るのが嬉しい。ありがとう結依。」
「どういたしまして。私もすごい嬉しい。良かったよね、お互い。」
「うん。結依好き。」
「ふふ、私も。」
今日のお夕飯は持田さんがくれたお肉でしゃぶしゃぶにした。きのこ類が多いのは私の嗜好だ。
「お肉美味しい!」
「すごいね、口の中でとろけるね。」
「私、こんなお肉食べたの初めて!」
「私も。良かったね。」
「うん。やっぱり結依と付き合えて良かった。お肉だけじゃなくて。」
「私も一緒だよ。杏に会えて、付き合えてよかった。」
そう言って2人で笑う。お肉はもう茹で上がっていた。




