第62話 結依と志乃、カバーライブをする。
「結依ちゃん、志乃ちゃん、カバーライブが正式に決定したよ。」
「したんですか!?」
「したした。もう宣伝してる。」
「宣伝まで…」
冗談だろうと思っていたが、ホームページのライブスケジュールのところに、カバーライブの詳細が書かれていた。
「LINE CUBE SHIBUYA集まるかな…」
「集まるよ。チケットもう残り少ないよ。」
「え!?」
「いいなー、結依。」
「杏ちゃんたちもミニライブの機会作るからね。」
「もっちー、ありがとう!」
「志乃ちゃん、決まっちゃったよ。」
「決まっちゃいましたね…」
「セットリストは2人で決めていいから。演奏陣の関係まあるから、なるべく早めがいいかな。」
「分かりました。じゃあ作戦会議しようか、志乃ちゃん」
「はい!」
杏の機嫌が悪くなるのを感じた。最近構ってないからな。家に帰ったらたくさん可愛がってあげよう。
それもそうと、作戦会議だ。
「私、理想streetで始めたいんですよね。」
「あー、いいね。理想streetからNight Showに繋げようか。」
「それ熱いですね!」
話し合いの結果、セットリストが大体決まった。持田さんに見せる。
「んー、いいんじゃないかな。個人的に好きなニセ恋愛占い師が入ってるのがいいね。これで行こうか。」
「はい、ありがとうございます。」
「アンコール最後がFrom 住人 to イロ。なのがまたいいね。早くハケさせられるね。」
「そうですね.…」
「じゃあこれで演奏陣に投げるね。」
「よろしくお願いします。」
家に帰ると、杏が抱きついてきた。
「結衣分補給〜」
「痛い痛い痛い!いつもより強い!」
「ここ最近構ってもらえなかったんだからいいでしょ」
「忙しかったんだからしょうがないじゃん…」
「しょうがなくない!最近三矢さんと仲良いじゃん」
「同じメンバーなんだからさ…大丈夫、杏が1番だから。何回も言ってるでしょ?」
「それはそうだけど…」
「安心して。1番は杏だけ。」
「うん…」
翌日からレッスンが始まった。セットリストを元に、フリを付けるのである。最初は志乃ちゃんからなので、私は椅子に座って見ていた。
「1曲目から見えないウワサやるのいいね。」
「1番好きな曲なので!」
「じゃあ次は咲いたメリーゴーランドだね。」
「はい!」
振り付けも無事に付き、その日のレッスンは終了した。しばらくは歌唱練習となる。
「ただいまー。結依ー?」
「あ、おかえり。先にお風呂入っちゃった。」
「いいよ。大丈夫。」
「今日のご飯なーに?」
「お刺身だよ。」
「やったぁ!お刺身好き!
「早く髪乾かしておいで。」
「うん!」
杏が髪を乾かしている間に買ってきたものを整理する。買いすぎたかなと思ったが、そうでもなかった。
「乾かしてきた!」
「はい。よく出来ました。」
頭を撫でてやる。これくらいはしないとね。
「私がお風呂入ってからでいい?ごはん。」
「うん!」
「じゃあお風呂入ってくるね。」
「はーい!」
30分後。お風呂から上がると、お刺身を目の前にうずうずしている杏がいた。猫みたいだ。
「さ、食べよう。」
「うん!」
「「いただきます!」」
自分の好きなサーモンのお刺身を食べてのけ反る杏に私は笑いを堪えられなかった。
「そこまで美味しい?」
「美味しいよ!結依が買ってきたお刺身だもん!」
「関係なくない?」
「関係あるよ!結依が買ってきてくれたものは何でも美味しい!」
「そう?ありがとう。」
「…カバーライブ頑張ってよ。」
「え?うん。頑張るよ。」
「私はSCISSORの曲何にも知らないけど、結依の歌声ちゃんと聞くから。」
「うん。期待しててね。」
食後の柔軟体操を終わらせて、布団に入る。
「おやすみ、杏」
「おやすみ…」
愛しい杏が眠りに就く瞬間を見届けたあと、私も目を閉じた。
意識が落ちていく。深い眠りに就く。明日はどんな一日になるだろう。




