第54話 wonder、オーディションを行う
「お前たち、話がある。」
神妙な面持ちで高山さんが私たちを集める。
「何?」
「…オーディションをすることになった」
「はぁ!?」
「うるさっ!」
「なんで!?この4人でいいじゃん!」
「上の意向なんだよ…」
「まぁまぁ杏。話だけでも聞こうよ。」
概要をまとめると、審査員は私たち4人と高山さんと持田さん。題材曲はClose to Youとworld wonder!で4人を選抜するらしい。
「新聞広告も出たんだ。」
「私たちの許可なしに!?」
[wonder追加メンバー募集!詳細はwebサイトで!」
一面広告だ。流石の私も閉口した。
「高山さん。ちょっと横暴過ぎない?」
「社長の意向…ぎゃっ」
高山さんの顔に靴が当たった。犯人は杏だ。
「高山ぁ!いい加減にしろ!wonderはこの4人でwonderなんだよ!新しいメンバー?いらねぇよ!!社長ぶっ○す!」
「落ち着いて杏!口調変わってるし、ぶっ○すはいけない!」
なんとか杏を羽交締めで抑える。こりゃ新入生入ったらすぐ辞めるだろうな。
「と、とりあえずオーディションは1ヶ月後だから。頼むぞ。
そそくさと高山さんが出ていく。私たち4人は作戦会議だ。
「新入生入ったらフォーメーション楽になるのかなお。」
「何?楽したいわけ?」
「ナンデモナイデス」
「まぁ刺激にはなるけどね。」
「一気に8人になるとかさ。4人でwonderでしょ!?」
「杏がそんなこと言えるようになるとは…」
「私は認めないから!」
そう言って杏はリハーサルルームを出て行った。
「ってことがあって。
「あはは。杏ちゃん相変わらずだね。高山さん胃薬欠かせないらしいよ。」
「でしょうね。」
「結依ちゃんはどうなの?増やしたくない?」
「増やしたくないといえば増やしたくないですけど、wonderに新しい風を吹かせたいなとは思いますね。」
「結依ちゃんらしいね。今回の課題曲Close to Youとworld wonder!じゃない?あれ、俺が考えたんだよ。」
「え、そうなんですか?」
「wonder二代難しい曲で振るいに掛ける作戦だよ。」
そう言って持田さんがステーがを口に運ぶ。私も口に運んだ。
「大丈夫ですかね?」
「さぁ?やってみないと分からないよ。合格者 いない可能性もあるしね、杏ちゃん審査員だし。」
「あぁ、確かに…」
「まぁやるだけやってみようよ。」
「そうですね…」
帰宅すると杏が泣いていた。
「どうしたの?」
「オーディション…」
「うん?」
「私の居場所無くなっちゃうの?4人のwonderが心地良いのに…センターじゃなくなる?」
「居場所は無くならないよ。無くなっても私がいる。それに、まだ新入生だよ?いきなりセンターに抜擢される訳がない。だから安心して。」
そういいながら背中をを撫でて上げる。涙はまだ止まらない。
「大丈夫。大丈夫。」
杏を宥めるのに30分掛かった。とりあえずお風呂に入る。その後柔軟体操をする。吹っ切れたらしい、いつもの杏なな戻っていた。
「負けない、新入生になんか。」
それでなくっちゃね。杏は。
翌日。次のシングルのミーティングで事務所に行くと、オーディションに向けてのミーティングが行われていた。持田さんと高山さんの2人で。
「お、おはよう結依ちゃん」
「平塚おはよう。」
「おはようございます。ミーティングですか?」
「そうそ。詰めてかなくちゃね。」
「平塚、お前には迷惑を掛けるかもしれないが、よろしく頼む。」
「分かってるよ。で?どれ位集まったの?」
「…2万通」
「はぁ!?嘘でしょ!?会場は?さいたまスーパーアリーナ?」
「とりあえず課題曲を歌ったものを応募フォームに上げてもらって、それで受かったら2次選考だ。」
「ダンスだね」
「そうだ。」
意外と倍率は高そうだ。選考する私たちは大変だけど。




