第12話 収録直後〜母、襲来
「2人ともお疲れ様〜!良かったよ!」
「あ、持田さん。ありがとうございます。」
「緊張した?」
「しませんでした。たのしかったですよ。」
「なら良かった。」
そう言って持田さんが冷たいお茶をくれた。私はそれを一気に飲み干した.
「すごいのど渇いてたんだね」
持田さんが笑う。のどが渇いてたんだからしょうがない。
「どうする?杏ちゃんと帰る?」
「杏はこの味も仕事があるらしいので送ってもらえますか?」
「いいよー。」
帰り支度をして、持田さんに着いていく。
「ありがとうございましたー」
「お疲れ様ー。」「またねー!」
ここのスタッフさんはみなさん優しい。お茶くれるし?
「杏、先帰るね」
「あ!結依!」
ドアを閉める、杏が何か言いたげだったが。
「良かったの杏ちゃんの話聞かないで?」
「お仕事してるのに私語はしてられませんから。」
「結依ちゃんってすごくシビアだよねぇ」
「そうでもないですよ。もともとこんな性格なんです」
「性格かぁ。あ、着いたよ。」
「ありがとうございます。」
「明日は大学だよね?」
「そうです。でも、事務所行きます。新曲の歌詞まだ書けてなくて。」
「1stの永遠良かったよねぇ」
「永遠を超える曲を作りたいので。」
「了解。明日ね。」
「はい、お疲れ様でした。あ、明日ドラマの収録じゃん。忘れてた。」
鍵を開け…空いてる?
恐る恐る中を空けると、お母さんがいた。
「なんだお母さんか。びっくりさせないでよ。」
「結依最近頑張ってるみたいね。大学は行ってるの?」
「無遅刻無欠席だよ。今のところ。」
「そう。ならいいけど。」
「どうしたの急に?」
「可愛い娘の顔見にきちゃいけない?」
「そんなことはないけどさ。ただいきなりどうしたのかなって思っただけだけど。」
「いきなりきた割には部屋きれいね。」
「杏と共同で掃除してるからね。あと、床に物置くの嫌いだしね。今、お茶入れるね」
美味しい深蒸し茶を頂いたので、それを淹れる。香りがいい。
「はい、お茶」
「あら、美味しいお茶ね。」
「頂き物だよ、突然どうしたの?」
「こっちの方に予定があるんだけど宿が取れなくて。結依の家に泊まらせて貰おうかと思って。」
「ほんとに急だね。私はいいけど杏がどうするかだね。」
「杏ちゃんはいいってLINEで言ってたよ。」
「いつの間にLINE交換を…」
「だからよろしくね。」
「はいはい。分かりましたよ。」
今日の夜は杏リクエストのシチューだ。材料を切っていると、母が覗いてきた。危ない。
「あんた私と同じ切り方するのね。」
「そりゃ小さい頃から見てますからね。」
「英才教育が身になったね。」
「料理好きになったのはお母さんのおかげだけどね。」
「嬉しいじゃない!」
母が私を抱きしめる。危うく指を切るとところだった。
「危ないよ!」
「ごめんごめん。可愛過ぎて。」
「流石自慢の娘?」
「あなたは可愛い可愛い私の娘よ。」
シチューの下ごしらえを終え、煮込み中である。母が話しかけてきた。
「杏ちゃんとは仲良くやってるの?」
「仲良くやってるよ。可愛がられてる。」
「そう。あなた可愛いからね」
「まぁもうアイドルじゃないけどね。」
「今となっては俳優業に邁進してるじゃない」
「まぁね。でもたまに歌番組とかに呼ばれたりするよ。」
「あー、こないだ歌ってたね。見た。」
「良かった?」
「及第点かな」
「及第点かい!」
「嘘よ。良かったよ。」
「なら幸いです。」
「ただいまー」
杏が帰ってきた。そろそろシチューミクス入れるか。
「おかえり。今日はシチューだよ。」
「やった!あ、お母さんお久しぶりです」
「最近あなたたちうちに顔出さないから寂しかったのよ。」
「あぁ、すみません。今後は行きますので。」
「いつでも待ってるからね。あ、お土産。」
「ありがとうございます。」
「ありがとう…赤ワインじゃんこれ」
「私が飲むために持ってきたのよ。あんたたちのジュースも入ってるでしょ?」
「あ、入ってた。いただきます。あ、シチュー出来たよ。」
次回、実食――




