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24 いつも通りの日常



朝。


いつも通りの通学路。

いつも通りの時間。


なのに――


「……落ち着け、俺」


落ち着くわけがない。


頭の中に浮かぶのは、昨日のことばかりだ。


校舎裏。

夕焼け。


そして――


「……」


思い出した瞬間、顔が熱くなる。


頬に触れた、あの感触。


あれは夢じゃない。


ちゃんと現実で。


ちゃんと意味があって。


「……」


――好きです。


ずっと前から。


「無理だろ……」


そんなの、いきなり言われて処理できるわけがない。


しかも。


キス付きで。


「いやだから頬だっての……」


一人でぶつぶつ言いながら、校門をくぐる。


心臓の音がうるさい。


頼むから今日は普通でいてくれ。


そう思いながら教室のドアを開けた。


────────


「おはよー」


いつも通りの声。


結希だ。


「……おう」


「何その反応。元気ないじゃん」


椅子に座る前から、もう隣に来ている。


距離が近い。


いつも通りなのに、やけに圧を感じる。


「別に普通だろ」


「ふーん?」


じっと見てくる。


やめろその目。


「……なに」


「いやー別に?」


ニヤッと笑う。


絶対何か気付いてる顔だ。


「なんかさー」


「なんだよ」


「昨日のゆーと、ちょっとかっこよかったよね」


「……は?」


急に何言い出すんだこいつ。


「アンカーのとき。あれ本気で走ってたでしょ、めずらしー」


「まぁな」


「へぇー」


にやにや。


完全に遊んでる。


「で?」


「で、って?」


「なんかあったの?」


「そんなのねぇよ」


「へぇー?」


結希は楽しそうに笑う。


こいつ、絶対何か企んでる。


でも。


今はそれどころじゃない。


「……」


教室を見渡す。


いる。


窓際。


いつもと同じ席に。


西園寺三奈美。


「……」


目が合う。


一瞬だけ。


ほんの一瞬。


心臓が跳ねた。


でも――


「おはようございます、一ノ瀬さん」


「……お、おう。おはよう」


普通だ。


声も、表情も、距離も。


昨日のことなんて何もなかったみたいに。


完璧なマドンナ。


「……」


え?


いや、待て。


昨日のあれは?


告白。


キス。


あれ全部。


「……夢?」


考えてるうちに三奈美と結希が入れ替わっていた。


「なにボソボソ言ってんの」


横から結希がツッコむ。


「いや、なんでもない」


「ふーん」


絶対信じてない。


でも。


三奈美は本当に普通だ。


周りの女子と話して、笑って。


いつも通り。


「……」


逆に怖い。


あれだけのことがあって。


こんなに普通でいられるのか?


俺だけがおかしいみたいじゃないか。


「ゆーと」


「……なんだよ」


「今、誰見てた?」


「見てねぇよ」


即答。


「へぇー」


またにやにや。


「まぁいいけどさ」


椅子に座りながら、結希がぼそっと言う。


「昨日から、ちょっと変だよね」


「……」


図星すぎて何も言えない。


「別にいいけど」


「……なんだよそれ」


「さぁ?」


意味深な笑み。


こいつ、ほんとに勘がいい。


「……」


そのとき。


「一ノ瀬さん」


名前を呼ばれた。


振り向くと、三奈美が立っていた。


「少しよろしいですか?」


「……あぁ」


心臓が一気にうるさくなる。


結希がじーっと見てくるのを感じながら、俺は立ち上がった。


────────


廊下。


人通りは少ない。


でも、完全な二人きりじゃない。


絶妙な距離。


「どうした?」


「いえ、少しだけ」


三奈美はいつも通りの表情で言う。


落ち着いてる。


冷静で。


昨日の面影なんて、どこにもない。


「……」


こっちだけが緊張してるみたいだ。


「昨日は、ありがとうございました」


「え?」


「体育祭のことです」


「あ、あぁ……」


普通の会話。


普通すぎる。


「楽しかったですね」


「……そうだな」


何だこれ。


本当に何もなかったみたいじゃないか。


「……」


三奈美が一歩近づく。


ほんの少し。


でも、確実に近い。


距離が。


「っ」


息が詰まる。


「一ノ瀬さん」


小さな声。


さっきまでとは違うトーン。


「……なんだ」


三奈美は周りを一瞬だけ確認して。


誰も聞いていないことを確かめてから。


少しだけ背伸びして――


耳元に近づく。


「ちゃんと、考えてくれてますか?」


「っ!?」


心臓が跳ねた。


距離が近い。


近すぎる。


昨日と同じ距離。


同じ空気。


「……あ、えっと」


言葉が出ない。


頭が真っ白になる。


「ふふ」


小さく笑う声。


「お返事は、まだで大丈夫です」


少しだけ離れる。


でも、目はまっすぐこっちを見ている。


「ただ」


一瞬だけ、柔らかい表情になる。


「逃げないでくださいね」


「……」


何も言えない。


「それでは」


三奈美は軽く会釈して、そのまま教室へ戻っていった。


一人、廊下に残される。


「……」


数秒。


いや、もっとかもしれない。


完全に思考が止まっていた。


「……無理だろ、こんなの」


ぽつりと呟く。


昨日のキス。


今日のこの距離。


あの言葉。


全部が一気に押し寄せてくる。


「……どうしろってんだよ」


答えなんて、出るわけがない。


でも。


逃げることも、もうできない。


俺の高校生活は――


確実に、昨日までとは変わってしまった。


皆さん、1番好きな作品は何ですか?私はロシデレです。あの焦れったい感じが良いですよね。あの感じを私の作品でも出せたら良いなーと思うんですけどね…やっぱり燦々SUN先生は本当に天才だと思います。なんかこの作品の本質を見失いつつあるような気がします。やっぱもっと人の感想や意見を聞いてこの作品が良くなって欲しいし良くしたいと思います。

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