七話 レベリング
先に謝罪を。すいません!
リアルで忙しかったので。
次からもうちょい更新頻度を上げたいと思います!
ギルド内のテーブルにて。
「それでさあイブキ! うちのカミさんが「また飲んだくれで帰って来たらミミュートの群れに丸腰で放り込むよ!!」って言うんだよ! もう飲まなきゃやってらんねえ!」
「た、大変だな……」
俺は同業者の愚痴を聞いていた。
異世界に身体一つで転生して早数日。
金が無いと喘いでいたところ、
「俺の愚痴でも聞いてくれよ。そしたらメシくらい奢ってやる。何たって俺は先輩だからな!」
と、冒険者である剣士の男——ダイスが誘ってくれたのだ。
シルフィとガブは少し離れたテーブルで食事を摂っているが、本当にありがたい。
「にしてもイブキは良いよな、あんな可愛い子連れて。俺なんか、幼馴染と結婚したから見飽きたって言うか……」
ダイスがため息をつきながらそんな事を……。
「お前、幼馴染と結婚したのかよ! 羨ましい! というかもっと奥さん大切にしてやれ! お前と奥さんが出会ったのは運命だよ、だからそれを大切にしろおお!!」
「きゅ、急に大きな声出すなよ! ……でもお前、結構運命とか信じるタイプなんだな」
う、それを言われるとなんか気恥ずかしい……。
でもそうだな、とダイスが言うと、
「確かにカミさんは世界中どこを探しても、俺の隣にしか居ないのか。……ありがとうイブキ、気付かせてくれて! お前は最高な奴だ!」
「礼なんていらない。俺はお前が幸せになればそれで十分さ!」
俺たちは椅子から立ち上がると!
「イブキ!」
「ダイス!」
「「ありがとう!!」」
真の男の友情が生まれた!
■■■■■
「——とまあ。こんな感じだな」
俺はギルド内のテーブルで、食後のコーヒーを啜った。
「分からない。全然分からないよイブキ。何で友達になったら抱き合うの?」
シルフィが困惑した表情で尋ねて来るが。
……そう言われても。
「男だから」
「シルフィ、男はこんな生き物なんです。構うだけ無駄です」
反対にガブは呆れた表情でこちらを見つめて来る。
「おいガブ、そんな目で見るな。……というかお前、男も何も友情すら分からないだろ。ぼっちさん」
「喧嘩上等!」
——その後、ボッコボコになった俺は気を取り直して。
「レベルを上げたいんですけど」
せっかくの異世界冒険。レベルという概念があるなら上げたくなるのがゲーム好きの性だ。
モンスターなどの生きているモノの生命活動を止める、要するに殺すと経験値が手に入り、それが溜まるとレベルが上がる。
レベルが上がるとステータスも上がりポイントも手に入る為、冒険者は日々レベル上げに励むのだ。
「レベルか……。ちなみにイブキのレベルは?」
「1です」
「い、1? イブキ、モンスター倒してないの?」
「倒してない。全部シルフィが倒してんだよ」
キマイラにしても、ビックミミュートにしても、全部シルフィが氷魔法で倒してきた。
出る幕が無いというか、俺が戦えないというか。
「ちなみにシルフィのレベルは?」
俺の問いにシルフィはギルドブックを取り出すと。
「んーとね、レベル8だね」
「お、おう……、結構上がってる……」
「ちなみに私は3です」
「ガブは聞いてない」
赤い眼で睨みつけて来る盗賊職は置いといて、
「でもどうしよう。なんか簡単にレベリング出来る裏技とか無いのかなあ。有れば楽なのに」
俺は自分のギルドブックをパラパラとめくりながら考える。
俺がモンスターを倒せば良いんだよな……。
「ま、そんな一朝一夕で強くなるのは無いって事ですよ。ではクエストに行きましょう。コツコツとお金を稼ぐのです!」
ガブがそんな事を言ってるが。
……つまりは最終的に俺がトドメを刺すと言うわけだから……!
「分かった、分かったぞ!! おいガブ、小型モンスターのクエストとか無いか?」
「え? 今だったら……ゴブリンの群れとかですかね」
ゴブリンか。俺でも知っている小さな鬼だ。
「よし、じゃあそれだ。シルフィ、見てろよ。俺もレベル上げまくってお前と肩を並べてやる!」
そう言われたシルフィは期待した表情で。
「おっ、今日こそイブキのカッコいい所が見れるって事だね? 期待していい?」
「やめて」
「何するつもりなの?」
■■■■■
ゴブリンとは小さな鬼の形をしているモンスターだ。
棍棒などを武器にしており、集団で小さな村やその畑などを襲うのだ。
今回俺たちはゴブリンの討伐クエストを受けた。
倒した数だけ金額が上がる。一匹三万円。
言っては何なのだが、割りが良すぎる。
「それで、どうやってゴブリンを倒すの? 確か、イブキの覚えている魔法は大半が魔力が足りないんじゃ……」
爽やかな風が吹く草原を歩きながら、シルフィが聞いてきた。
……そうなんだよなあ。
「悲しいけどそうだな。実際、俺が使える魔法は『コールド・ウィンド』『ウォーム・ウィンド』、ただの『ウィンド』。あとは『ウィンド・ナイフ』と『リード・ウィンド』か。……五つだな」
相手にダメージを与えるのは『ウィンド・ナイフ』だけ。それ以外は風を起こす魔法に分類される。
「やっぱり少ないですね……。『ウィンド・ナイフ』はそんなに殺傷力が高くありませんし……。イブキってもしかしなくても弱いですね」
「『コールド・ウィンド』ッ!」
「ぎゃああああああ!!」
無神経な事を言うガブの顔面に、冷たい風を吹かせてやった。
「なるほど。こうやって使うのか」
「うん、多分違うね」
——草原を歩き始めて一時間。林が見えて来た。
このあたりにゴブリンの群れはいるらしい。
そう言ってる間にも見つけた。
大体十匹ほど居るな。
「おー、思ったよりコワイ顔してんな。よし、なあシルフィ。さっきどうやって倒すのか言ってたよな」
「うん。で、どうするの?」
俺はシルフィとガブに今からの作戦を説明する。
「えっと、それ、大丈夫? 倫理的に」
「見たく無いので帰って良いですか?」
すごい嫌そうな顔しないで。
俺は自分自身の胸に手を当てて。
「俺だって乗り気はしないさ。だけどそれはこの世界の掟。まさに弱肉強食のこの世界を生き抜く為に、必要な事なんだ! あと簡単に金が手に入るし」
「おー! イブキがいい事言ってる! 分かった! 協力しよ…………最後なんて言った?」
真顔になったシルフィに俺は指示を出す。
「よし、シルフィ! 作戦通り頼むぞ!」
俺が考えた作戦とは……。
「分かったよ。……ごめんねゴブリン君! 『フリーズ・アイスバーン』——ッッ!!」
ゴブリンの足を地面と一緒に凍らせる事だ。
シルフィが魔法を放つとゴブリン達がいる一帯の地面が凍りついた。
足を凍らされたゴブリン達は動けないようで。
「ブボっ! ガガガ、テメェナニシヤガル! ナンノマネダコラァ!! クソォ!!」
……え。
「なあ、ゴブリンって喋るの? 凄い暴言吐かれてるんだけど」
「え? イブキ、ゴブリン語分かるの?」
……まさか、あのペンダントのせいで……!
「テメェラ、ダンマリキイテンジャネエヨ! ナンダ、キンタマツイテンノカ!」
ゴブリンは殺気だった顔で叫んでくる。
めちゃくちゃ口悪いな。
「あのー何言ってるんですか?」
「聞かなくても損しない程度にゲスい」
これは女の子が聞くような内容では無い。
俺はゴブリンの喋り方を真似してみる。
「ワルイナー! イマカラオマエラヲタオス! ウラムナラコノセカイヲツクッタカミデモウラメ!」
その言葉にゴブリン達は一瞬だけ固まり、その後。
「テメェ! アノオンナノマホウダロウガ! オマエガイキッテンジャネェ!」
……我慢だ。
「イブキ、こめかみが引き攣ってるけど何言われてるの?」
「大丈夫」
「ソモソモオマエヨクミレバ、ゼンゼンツヨソウジャナイジャネエカ!!」
……我慢だ。我慢だ。
「イブキ、私が言うのも何ですが、目が赤いですよ? 充血してますよ?」
「大丈夫です」
相手はモンスターだ。モンスターの挑発に乗るわけには……。
「テメェナンカ、アノギンパツオンナニアウワケネエダロ! コノクソヤロウガ!!」
「——テメェ! 静かにしてれば言いたい放題しやがって! どっちが土俵際なのか考えろおおおお!!」
俺はガブのダガーを奪い取ると、その首を狙って駆け出した。
「アアアアア!! クソヤロウ! ヒキョウモノオオオオ!!!」
レベルが四つ上がった。
■■■■■
今回のクエストで、一週間は生きていける量のお金を稼ぐ事ができた。
そしてレベルを上げた事で新しいスキルを覚えたの
だ。
本来そのようなことは無いとの事だが、あの女神の従者である俺は例外かもしれない。
そのスキルとは。
「『サイレント』……。静かにってどう言う事だよ」
俺は紅茶を飲んで考える。静かにするスキルとは一体何なのだ。
そう思ってると、ギルドに顔が赤くなったダイスが入ってきた。
俺と目が合うと一直線にこちらに向かって来る。
どうしたのだろうか。
「よう、イブキ」
「おう。ダイス、顔が赤いけど大丈夫か?」
俺の言葉にダイスは唾を飲み込んだ。
「い、いやさ。この前イブキに言われてカミさんと話し合ったんだよ。それで、子供を作ろうって話になってさ……」
「…………」
何だろう。凄くモヤモヤするのだが。
「それで?」
「……いやあ、昨日は凄かったなあ。……って言う話」
「……自慢かよ! お前何歳だ、こちとら十八の童貞だコノヤロー!」
俺なんか幼馴染も居なくて、細々と生きてたんだ!
俺は終始ニヤニヤしてるダイスに向かって両手を突き出し。
「童貞を弄んだ罪を償え! 『ウォームコールド・ウィンド』ォォ!!」
……何かこう言うの、冒険者らしくて良いな。
やっぱりRPGにおいてレベリングは必要ですね。
あと良ければ、ブクマや評価などをお願いします!
もししてくれたらイブキのレベリングが上がりやすくなり、彼が喜ぶかも




